どうして北欧の「家の外壁」は赤いの?そのヒミツとは…

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日に日に暖かくなり、春の訪れを感じる3月。

筆者が住むフィンランドも、ようやく少しずつ春めいてきて、氷で覆われていた世界がだいぶ明るく色付き始めて来ました。

フィンランド人の多くが、森の奥深くや、湖、海の近くにコテージ(別荘)を持っていて、これからの時期、夏休みや夏至祭、クリスマス休暇などを家族で過ごします。

以前、フィンランド人に「サウナとコテージに誘われたら大切な友達だという印」と教えてもらったことがあります。

それくらいフィンランド人にとって、コテージとサウナは思い入れの深い、大切な場所なのです。

今回はフィンランド人が愛する、森に建つ「コテージ」をご紹介したいと思います。

 

■一般的なコテージは、電気もガスも水道も通っていない!?

「コテージ(別荘)」というと、すごく華やかなようにも聞こえますよね。

しかし、フィンランドの典型的なコテージと言えば、水、電気、ガスは通っておらず、トイレも外で汲取式、湖や井戸から水を汲み、サウナで暖めた水で体や食器を洗う……という「いつの時代ですか?」と聞きたくなるようなものが一般的です。

さすがに最近は、「水道はないけど電気は通した」とか「電気も水も通したよ」という人も多くなってきています。

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今回ご紹介するコテージは、1947年に建てられ、2004年から3年間に渡って大掛かりなリノベーションをし、電気も水道も、そして地中熱を活かしたヒーティングシステムもある、“現代式“のコテージです。

リノベーションで現代式に生まれ変わりましたが、出来るだけ建てられた当時の雰囲気を大切に保ちたいという理由から、窓枠はオリジナルを修繕したり、同じ年代に作られた窓枠を探してはめ込んだりしたそう。

屋根の修理に至っては、いったん瓦を全て外して補強修理をし、瓦は再度使用可能な物と破棄する物と選別し、不足した瓦の代わりにフィンランド中から同じ年代に作られた瓦を取り寄せて使用するこだわりよう!

 

■北欧の「赤い壁」は、かわいいだけではない実用的な理由も

「北欧の家=赤い外壁」をイメージする人も多いでしょう。

Olga Polyakova / shutterstock

Olga Polyakova / shutterstock

北欧でよく見かける赤い壁の赤色は、酸化鉄の「ベンガラ」で、木の耐久性、強度を上げる効果があります。

今回お邪魔したコテージも、海に近い場所に建つため、リノベーション前は外壁が潮風でずいぶん痛んでいました。

そのため、オリジナルの外壁を全て取り払って、断熱材も新しいものに交換。

「外壁は何色にしようかしら……」と迷いに迷って選んだのが、北欧の家の定番とも言える、この“ベンガラ色”です。

白銀の世界に映える赤い家は、極寒の気候や雪、霜などから家を守るために作られた色だったんですね。

 

■できる範囲でDIYするのがフィンランド流

コテージに愛着を持ってほしいという夫婦の願いから、「ペンキ塗りくらい家族でやろうじゃないか!」ということで夫婦の子どもとそのパートナー、そして孫を収集し、一同で外壁に使われる新しい木板一枚、一枚にせっせとベンガラを塗ったのだそう。

この他にも、天井や壁、新しく作り付けたテラスのペンキ塗りは家族で行ったのだとか。ペンキ塗りは想像以上に結構な体力仕事。

家族のいい思い出になったのでしょうか?

 

■コテージにはサウナが欠かせない

では、早速中にお邪魔してみましょう。

コテージに欠かせないのが、フィンランド発祥の「サウナ」。くつろぐ場所にサウナは欠かせません。

通常、サウナはコテージとは別に「サウナ小屋」を庭や湖の近くに設けることが多いのですが、こちらはコテージ内にサウナ室があります。

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サウナ室の前は暖炉のあるラウンジスペース。

サウナの合間にゆったりとソファーに転がり、ビール片手に涼んだりするスペースです。

フィンランドはとにかく冬は日照時間が短いので、窓を大きくとりたがる人が多く、こちらのコテージもリノベーションでたくさんの窓を新しく付け加えたそう。

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ラウンジスペースには特にたくさんの窓を加えました。あらゆる方向に窓を取り付けたので、夜明けの太陽も夕焼け空も楽しむことができます。

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サウナの中にも、腰をかけるとちょうど外の景色が眺められるように窓がデザインされています。

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運が良い日は、鹿の親子や野うさぎ(このあたりの野うさぎは小型犬かと思うほど大きい!)が現れ、サウナの窓から野生の訪問者の様子をのんびりと見る事ができます。

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ラウンジスペースの端っこにひっそりとあるのは簡易式ワークスペース。

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立ったままでもデスクワークが出来るよう、高い位置に折りたたみ式のデスクが取り付けられています。デスクを折りたたみ、スクリーンを棚の中に入れてしまえば、すっきりと片付けられる設計に。

電気が通っていない時代のコテージの生活は、薪を切って、水を井戸から汲んできて、サウナの支度をしてご飯を作ったら1日が過ぎていく……というスタイルでしたが、最近はこのようにコテージでも仕事をする人が(残念ながら?)増えているようです。

コテージでの過ごし方も、時代とともにずいぶん多様化しているんですね。

 

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リノベーションにより、次の世代やそのまた次の世代に引き継げるようになった思い出深いコテージ。夫婦の願いはコテージでいつか孫が結婚式をしてくれる事。夢が叶うといいですね。