電気もガスも水道も無い!? かなり不便な「コテージ」が、人を魅了するワケとは

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長く暗い冬が終わり、外が明るくなると、自然と外に出かけたくなるものです。

筆者の住むフィンランドも、ゆっくりと雪も溶け始めて、いよいよ春めいてきました。

そこで冬の間、使用していなかったコテージの点検を兼ねて、週末をコテージで過ごすことに。

以前、コテージには「水道も電気もガスもついていないのが一般的だ」というお話をしました。

一見すると不便極まりないコテージライフ、どうしてフィンランド人は愛してやまないのでしょうか?

 

■フィンランド人が愛する「コテージ」

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我が家のコテージは、フィンランド第9の都市と言われる「クオピオ」から、さらに東に30キロほど行った森の中にあります。

こちらは、首都ヘルシンキよりもずっと北に位置するので、まだまだ雪が残っています。

150平米ほどの木造2階建てのコテージは、1950年代に当時「クオピオ」に住んでいた義理祖父が、「家から通える距離で、夏の間に家族が集えるコテージが欲しい」ということでこの土地に建てたもの。

数年前に義理祖父が亡くなり、だいぶ古くなったコテージを、春と夏の間にコツコツと修復をしています。

 

■春夏しか使えない、コテージ

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冬に使用する事を想定して建てられていないので、熱源は、電気ヒーターと暖炉の火だけ。

極寒の冬の期間は滞在できないため、おのずとリノベーションも春と夏の間のみ。

春夏期間限定の修復作業でようやく修復完了したのは、サウナ小屋の外壁、2階の天井と壁板の張り替えと壁紙の張り替え、1階のキッチンと寝室の壁紙の張り替えとペンキ塗りだけ。

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毎年ここで夏を過ごし、湖で泳いだり、庭でバーベキューを楽しんだり……と、家族みんなの思い出がつまったこのコテージ。

思い出の中にあるコテージのイメージを壊さないように、修復する際は、オリジナルに近い壁紙やペンキの色を選んでいます。

そのため、良くも悪くも「ここを新しくしたの」と言わない限り、分からないほどです。

 

■水道も引いていない、コテージ

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湖の前に建つサウナ小屋は、数年前に壁の木材を新しくし、ペンキが塗られていますが、中は以前と変わらず昔ながらの、薪で炊くタイプのサウナです。

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サウナ室は暖かい空気が出て行かないよう、窓が小さく作られているので、室内は薄暗く、なんとなく落ち着く空間。

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水道が通っていないので、目の前の湖から水を汲みとり、サウナの上に設置されたタンクで沸騰させて、体を洗ったり、食器を洗うお湯を作ります。

フィンランドの湖の水は「世界で1番きれい」と評価を受けているそうですので、飲料水にはできないものの、体を洗ったりしても害はないようです。

 

■正直コテージライフは不便だけど……

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我が家のコテージは、電気は通っていますが水道は通っていません。

滞在期間中以外は電気を切っているので、3月末に滞在したときは窓ガラスに氷の結晶が出来るほど寒く、暖炉の火を1日中絶やさずに暖めないといけないほどでした。

飲み水は持ち込まなくてはならないし、湖水を運んで利用したりしないといけません。

湖の水で体を洗うなんて、まさにサバイバル生活、果てまた罰ゲームか!?という感じですが、コテージ生活の期間限定であれば、意外と慣れてしまえるもので、快適にさえ感じるようになります。

 

■フィンランド人が愛する、「静寂」な環境の重要さ

日本の、豪奢な別荘とは少し様子が違うかもしれませんね。

コテージにいると、音といえば、風の音、木々の葉が揺れる音くらいしか聞こえません。

静かな湖畔の森の中に建つ、水道さえないコテージは、ちょっとノスタルジックで非現実的な空間。

日常生活を完全にスイッチオフしてくれて、心身をデトックスしてくれます。

 

フィンランド観光局は「静寂な環境は、重要な観光資源である」という考えのもと、静かな環境を“優れた利点”として積極的に宣伝をしているそうです。

確かに、日常生活は車の走る音や、人の歩く音、工事現場の音、携帯の鳴る音など、雑音でいっぱい。

なかなか、本当に静かな空間、というのは難しいかもしれません。

国土は日本よりやや小さい程度なのに、全人口は東京都の半分ほど。国土の60%以上が森林というフィンランド。

だからこそ、こういった静寂な環境が実現できるのかもしれません。

 

春は外がとてもカラフルで気持ちの良い季節です。

皆さんもぜひ、携帯電話を少しの間だけ切って、暖かい日だまりでのんびりと心と体をリフレッシュしてみてください。

フィンランド式のデトックスは、きっとあなたの日々の喧騒を癒やしてくれるはずですよ。