耐震化が100%進めば、首都直下型地震が来ても8割以上死者数が減少する!? 建物の耐震化が必要な理由

カワグチツトム / PIXTA(ピクスタ)

カワグチツトム / PIXTA

首都直下型地震の可能性が叫ばれ、建物の耐震化が急務だといわれています。

では、なぜ耐震化する必要があるのでしょうか? そもそも耐震化って? 耐震診断や改修の方法は? その費用は?

地震大国である日本に住みながら、私たちには意外に知らないことが多いものです。

まだ記憶に新しい今年4月の熊本地震。

大地震が起こった年の年末に、もう一度「耐震」について考えてみましょう。

 

■熊本だけじゃない。世界で起こった地震とその時の建物の被害は?

kai / PIXTA(ピクスタ)

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今年の4月14日から、熊本でマグニチュード7.3などの地震が相次ぎました。

その様子は何度もテレビで中継され、立派な木造家屋が倒壊してい様子を皆さんもよく覚えていると思います。

熊本地震の被害としては、161名の方が亡くなり、2600人以上が負傷。

住宅は8369棟が全壊、3万棟以上が半壊したそうです(12月14日現在、内閣府防災情報のページより)。

今年、大きな地震が起こったのは熊本だけではありません。

世界に目を向けてみると、2月6日の台湾地震、4月17日のエクアドル地震、8月24日のイタリア中部地震など、多大な人的被害を出した地震がいくつも発生しました。

どれも古い、もしくは粗雑に建てられた家や構造物が倒壊し、その下敷きになって亡くなった方も多かったといわれている地震ばかり。

つまり、建物の耐震化が進んでいれば、被害をもっと少なくできたかもしれないのです。

 

■「耐震基準」の基本、旧耐震と新耐震って?

日本では、建物の耐震化を進めるにあたって「耐震基準」というものを設けています。

耐震基準とは、ある強さの地震が起きても倒壊や損壊をしない建築物が建てられるように、建築基準法で定められた基準のことです。

中古の住宅購入を検討した方なら一度は聞いたことがあるかもしれませんが、昭和56年(1981年)を境に、それ以前を「旧耐震基準」、それ以降を「新耐震基準」と呼んでいます。

■旧耐震基準(1981年5月31日まで)

震度5強程度の地震でほとんど損傷しないことを検証

 

■新耐震基準(同年6月1日以降)

震度5強程度の地震でほとんど損傷しないことに加えて、震度6強~7に達する程度の地震で倒壊・崩壊しないことを検証

fine! / PIXTA(ピクスタ)

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1978年に起きた宮城県沖地震を受けて、より強固な建物をつくらなければならない、と1981年に新耐震基準が施行されたのです。

中古物件を買う時によく「1981年以降の建物なら大丈夫」と言われるのは、そのためです。

実際に、1981年以降に起こった阪神・淡路大震災(1995年)では、亡くなった方6434人のうち9割が住宅などの倒壊による圧死だったそうです。

さらに被災した木造家屋の98%が旧耐震基準で建てられていました。

 

■進まない耐震化。このまま首都直下型地震が来たら?

しかし、2013年時点の耐震化の進捗状況は、住宅・多数の人が利用する建築物ともに8割程度にとどまっています。

約900万戸の住宅と、約6万棟の建築物はいまだに耐震性がない状態とのこと。

もしも、このままの状況で近い将来必ず来るといわれている首都直下型地震が起こったとしたら…どうなるのでしょう?

政府広報オンラインより

政府広報オンラインより

政府の中央防災会議による被害想定では、建物の倒壊などによる死者数が約1.1万人、全壊する建物が約17.5万棟にも上るとされています(最大規模での地震発生時)。

しかし、もしも耐震化が100%まで進めば8割以上も死者数が減少し、全壊する建物も約2.7万棟に減らすことができると想定されているのです。

 

いかがでしたか。

建物の耐震化が重要だということが、よくお分かりいただけたと思います。

自宅だけでなく、車に乗っていて橋が壊れたり、歩いていてビルが崩れてきたりと、地震時の建物による被害は色々な状況が考えられるだけに、耐震化が進んでいない建物がたくさん残っていると聞くと、とても怖いものですね。

次回は、耐震化のための第一歩ともいえる、耐震診断についてご説明したいと思います。

 

【参考】

※ 政府広報オンライン「住宅・建築物の耐震化のススメ」

※ 内閣府「防災情報のページ」

一般財団法人日本耐震診断協会