知ってた!? 家賃上げますと言われても…住人は「応じる義務は無い」

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賃貸に住む人にとって、1番の出費はやはり「家賃」。毎月固定でかかってくるお金なだけに、少しの増額でもトータルで考えてみると大きな出費になることも考えられます。

もし、ある時あなたが大家さんから「家賃を上げたいんだけど……」と増額を要求されたら?

街の再開発や、東京オリンピックを見越した影響などで、家賃が高騰している地区も多くあります。

今回は、賃貸物件に住まれている方にとって、きっと気になる“家賃”に関するお話しをしましょう。

■家賃の増額に「応じる義務」は、無い!?

もし、大家さんから家賃の増額を打診されたら……。

まずは、家賃の増額に関して大家さんと双方の意見を交えて話し合いましょう。話合いで折り合いがつき、大家さんとの良好な関係を保てるのであればそれに越したことはありません。

話し合いにより折り合いがつかず、大家さんが一方的に増額された家賃を請求してきても、あなたはそれに応じる“義務”まではありません。

法律上は、「あなたが相当だと思う金額を支払えばOK」とされています。ただしその後、裁判等で家賃の増額が認められた場合は、足りない分に年10%の利息を付けて支払わなければならないということになります。

 

■もし話合いがまとまらなかったら……

話合いで決着がつかない場合は、大家さん側が裁判所に「調停」の申し立てを行うことが考えられます。

「調停」とは、あなたと大家さんが直接顔を合わせて話し合うのではなく、調停委員を介しての話合いを裁判所で行う手続きのことです。

この調停でも話合いがまとまらない場合は、「訴訟」により決着をつけることになります。

賃料増額の請求については、いきなり裁判所に訴えることはできず、まず調停で話合いをする必要があるため、このように調停の後に訴訟、という流れになります(「調停前置主義」といいます)。

 

■こんな時は「家賃の増額請求」が認められる可能性大

家賃の増減を請求できる場合は、「借地借家法」という法律によって定められています。その32条1項によれば、

  1. 土地や建物に関する税金等が増加するなどにより土地や建物の価値が増加した場合
  2. 1以外の経済事情の変動があった場合
  3. 近所の相場と比較して不相当となった場合

には家賃の増額請求ができるということになっています。

逆にいうと、上記1~3の条件がなく、単に大家さんの気まぐれで家賃を上げようとしても、請求してはいけないということになるんです。

 

■調停、裁判のポイント

もし、話し合いで折り合いがつかず、調停や裁判になったら……。

どういったことが“決め手”になって、家賃の増額についての判断がなされるでしょうか?

もちろん、事案ごとに具体的なポイントは異なりますが、上述の1~3の条件を満たすかどうか?が争点になることが多いでしょう。

これ以外では、「家賃を定められた時期からどれくらい経過したか」という視点も軽視できません。

家賃等も含めて合意に至ったから契約したのに、わずかな期間で家賃増額が認められるようなことになると、とても不合理だからです。

「あとですぐ家賃上げる前提で、契約取るために安い家賃に設定していたのか!」ということになりますからね。

特に訴訟となった場合、“証拠の有無”も当然重要です。多くの場合、不動産鑑定士さんが作成した鑑定書が大きな意味を持ちます。

 

■もし、調停・訴訟で「家賃の増額」が認められたら……

調停、訴訟において家賃の増額が“認められた”場合、足りなかった家賃分に年間10%の利息を付けて大家さんに支払わなければいけません。

定期預金の利息が“0.数%”という時代ですから、10%というのはかなり高額です。

実際のところ、「調停をして訴訟をして……」と仮定した場合に、「どのくらいの増額に収まりそうか?」という着地点を想定し、判決までの“期間”を検討し、「差額としていくら利息を支払う必要があるか?」という観点も重要になってくるでしょう。

逆にいうと、自分も家賃が安いと自覚していて、かなり高い確率で一定の増額が認められると思うのであれば、調停や訴訟に至る前にさっさと合意しておいた方が、結果として得になるという考えも十分に成り立つということです。

 

以上のように、家賃の“増額”について、法律によってルールが整備されています。

「大家さんに一方的に言われたからといって、ただちに家賃の増額に応じる“義務”はない」「ただし、正式に増額が決まった場合には一定のリスクはある」

もし、大家さんから家賃の増額を言い渡されたら、これらを理解した上で、弁護士などに専門的なアドバイスを求めても良いかもしれませんね。

次回は「家賃の減額」についてお話しましょう。お楽しみに!