マンションは「現代の長屋」。“使わない自転車ラックを撤去したい”はアリ?

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「マンションに住む」とは、どういうことなのでしょうか。

前回は「マンションは現代の長屋」であり、共有の資産価値を維持していくためにはコミュニティが必要、ということについて考えました。

今回は、共用部の考え方について、もう少し掘り下げてみましょう。

 

■実際にあったケースから見る、共用部への考え方の違い

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これは、実際に筆者がマンションに住んでいた時にあった話です。

新築のマンションに越してから初めての総会に出席したときのこと。

とある女性がこんなことを言い出しました。

「屋外にある自転車用の2段式ラックってすごく重くて不便ですよね? 私、上の段は持ち上げられないので使っていないんです。どうせ使わないし邪魔なので、私のところだけあれ、取ってくれませんか?」

一瞬、全員があっけにとられ、その後司会進行を務めていた管理会社の担当者が何事もなかったように議事を進めました。

しかし、彼女は納得せず「どうして私の意見を取り上げてくれないんですか?」と食い下がります。

結局、誰も彼女にきちんと説明しなかったので彼女はとても不満そうでした。

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筆者の住んでいたマンションは、1世帯につき2台分の自転車置き場の割り当てがありました。

スライド式の2段ラックで、確かに上段をスライドさせて自転車を乗せ、それを持ち上げて戻す作業はかなり重労働です。

その女性の言うことも前半部分はよくわかりますが、後半の「使わないから取ってくれ」というのには、ずいぶん驚きました。

みなさんはどう思われますか?

 

■もう一度よく考えよう!「共用部」の意味とは?

前回ご説明したとおり、マンションは「区分所有法」という法律のもとにその権利関係が定められています。

基本的には、ひと世帯が暮らす居住空間を専有部、専有部以外のすべての建物部分を共用部といいます

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居住空間といってもベランダや専用庭、玄関ポーチなどは各部屋に割り当てられているだけで専有部ではありません。

これらは全居住者の合意のもとに、「特定の居住者が専用に使用する権利を認められた専用部分」ということになります。

建物全体の美観や災害時等の避難経路にも関わってくる部分ですから、勝手に物を置いたり通路をふさいだりしてはいけないのです。

共用部は管理組合が運営・管理を行います。

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駐車場や駐輪場も同じで、使用したい居住者は管理組合から「借りる」という形をとります。

ここまでくると、先ほどの女性が言った「駐輪場のラックはいらないから取って」というのが間違っていることがわかりますよね。

もしも、こういう考え方をする人がマンション内にたくさんいたらどうでしょう。

共用部に対する認識が違うことで、色々なもめごとが起こることが容易に想像できます。

 

■共用部が壊れたらどうする?もしものためにみんなで備えるのが「管理費」

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またまた、江戸の長屋で考えてみましょう。

もしも長屋の下水や井戸を、誰かが壊してしまったら?

壊してしまった人が弁償すればいいとも思いますが、その人に修繕するお金がない場合はどうすればいいのでしょうか。

長屋に住むみんなが困るのですから、例えばそんな場合に備えてみんなで少しずつお金を貯めておけばいいと思いませんか?

マンションでは、万が一共用部が壊れたり破損したりしてしまった時のために、居住者全員から毎月管理費を徴収し、日々の管理や維持業務、ちょっとした修繕費用などに充てています。

もしも、女性の言う通りラックを取り払ってしまったら、借りているものなのでいずれは原状回復をしなければなりません。

その費用を誰が払うのでしょうか?

結局はみんなが毎月コツコツ払っている管理費から拠出しなければならないのです。

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いかがでしたか?

マンションの専有部と共用部について、共用部に対する考え方についてお分かりいただけたと思います。

共用部は「みんなの資産」。

居住者みんなで守っていくものだという認識をあらかじめ全員が持っておくことが大切なんですね。

次回は、管理費についてもう少し考えてみたいと思います。

 

【参考資料】

公益財団法人マンション管理センター

マンションライフ総合支援サイト マンションのWa

国土交通省 区分所有法