アラフォーカメラマンがゆく!自宅リノベ奮闘記no.25【自分の仕事をなかったことにする職人技】

 

9年前に購入した、都内築40年(昭和51年築)の中古戸建てをリノベしようと、奮闘する僕たち一家。

耐震工事で区からの助成金を生かしつつ、自分たちらしい我が家を目指しています。

ゴールデンウィーク期間を利用した珪藻土塗りを友人の助けを借りて無事に終えることができ、少しずつ我が家のリノベ完了が近づいてきました。

玄関の古いドアノブを取り外し、新しいノブの取り付け作業をする建具屋さん

親子2代です。跡継ぎがいるって頼もしい!

これまでは大工さんがひとりかふたりでこつこつと作業をしていましたが、この頃からキッチン機器や電気設備の工事などで一日に何人も職人さんが出入りし、現場に活気が出てきました。

 

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■「今日は補修が入っています」って、どういう意味?

そんなある日、僕が昼過ぎに立ち寄ると、スタイル工房の歌田さんが「今日は補修が入っています」と教えてくれました。

築45年の古家をリノベしているのですから、すべてが補修のようなものなのですが、そういう意味ではなく、補修職という立派な一つの職種があるのだそうです。

毎日、職人さんたちが作業をしていると、細心の注意を払っても、どうしても床や柱、壁などに工具などがぶつかり、細かな傷がついてしまいます。

本来ならば傷がつかないのが一番良いのですが、そういうわけにもいきませんし、工務店はそれをそのままに施主に引き渡すわけにはいきません。

なので、そうした細かな傷を目立たなくするのが補修職人さんというわけです。

我が家のリノベは、既存の柱や梁をできるだけ残そうということで進めてきました。

その結果、ところによっては組まれていた木材が引き抜かれて、穴がそのまま残って現れているところもあります。

それはそれで味なのですが、窓際でホコリなどが入りやすい穴のひとつを埋めてもらうようにお願いをし、その作業を拝見させてもらいました。

築45年なので、柱は茶色く日焼けしています。

その穴に薄く白い木片をあてて、着色し、木目の流れも筆で書いていきます。

わずか15分ほどで、ぱっと見では穴が分からなくなってしまいました。

すごい技です!

僕がしきりに感心していると、歌田さんが、

「いやー、そうなんですよ! Mさんは、腕がとっても良いので、あちこちから引っ張りだこなんです。いつも仕事をお願いしたいのですが、日にちをおさえるのが難しくて」

と、なんだか自分のことのように誇らしげ。

材質の色になじむように、補修材も色とりどり

補修職人のMさんは「傷などなかったかのように、住んでいる人が補修したこと自体を忘れてしまうようにするのが僕の仕事です」と淡々としています。

たまたま開いた求人情報誌でこの仕事を見つけて、それをずっと続けてきただけですと、至って謙虚ですが、現場監督の歌田さんが全幅の信頼を寄せている様子を見れば、彼の技がスタイル工房にとっていかに大事かが伝わってきます。

スゴ技のMさん。笑顔も素敵です。

大工さんや左官屋さんの仕事は、誰からもはっきりと目に見える形で残り、それが誇りとなります。

しかしMさんの仕事は、誰にも分らないように自分の作業の痕跡を見えなくしてしまうことが誇りなのです。

なんだかとってもカッコいい技を見せてもらいました。