不動産業界で19年働いて分かった!「マンションを管理で買う」のは簡単ではない

 

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最近、札幌市内にある築45年・6階建ての賃貸マンションで最上階のコンクリート製の庇(ひさし)が、6階ベランダを覆うように30mにわたって崩落。破片の一部が地上に落下する、という事件があったのをご存知でしょうか。

私はニュース映像で見ただけですが、恐らく何十年も保守点検を行わず、それによってコンクリートと鉄筋がボロボロになってしまっているように感じられました。

 

■「マンションを管理で買う」のは、ほぼ不可能!?

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不動産購入のマニュアル本などに「マンションは管理を買え」などと、よく書かれているのを目にしたことがある方も多いと思います。

分譲マンションでは、このような事態にならないように、区分所有者で組織した管理組合で管理を実施します。

しかし実際には、管理組合が管理委託契約を結んで管理会社に任せている事例が大半です。

その際は管理会社の担当者であるフロント社員と、マンションに入って清掃・受付等を行う管理員の2人が協力して進めていくことになります。

最近感じるのは「マンションは管理を買え」という言葉がひとり歩きし、「問題物件をつかまないための管理のチェックポイント」とか「管理の行き届いた中古マンションの選び方」といった記事やハウツー本ばかり氾濫しているように思います。

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それらを見ると、「過去の修繕履歴」「今後の修繕予定」「長期修繕計画」「修繕積立金の状況」といった項目が共通してチェックポイントとして挙げられています。

これらについては過去数年分の総会資料を見ればわかるとされ、売り主に見せてもらうとか不動産業者に頼んで管理組合から取り寄せるべき、などと書かれています。

しかし、実際にはそんな簡単な話ではないのです。

 

■いきなり「総会議事録」を見ても読み解くのはかなり困難

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修繕に関しては、一般会計の修繕費で実施する場合と修繕積立金の修繕費で実施する場合の2通りあり、手続きが全然違います。

修繕積立金で実施する場合は総会における承認が必要ですが、一般会計の範囲内で実施する場合は総会議案にはなりません。

過去の修繕履歴をまとめる、というのは管理会社のフロントをやっていた時代に何回もやりました。

まず、一般会計と修繕積立金会計では実績を計上する場所が違います。

そのため、過去の膨大な資料の中から数字を拾わなければならず、かなり大変な作業でした。

最近はどのマンションでも長期修繕計画があると思いますが、計画と実績の突き合わせるというもの簡単な話ではありません。

管理会社担当でもそうなのですから、外部の人が過去数年分の総会議事録を見たくらいでできるものではありません。

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資料の取り寄せは管理会社に依頼するしかありませんが、これは費用が発生する業務になります。

負担するのは仲介会社ですから、恐らく申し込みを入れた物件に対してしか受けてくれないでしょう。

結局のところ、契約時に仲介会社から提示される重要事項説明書を読み合わせするくらいしかできないはずです。

 

■管理会社のフロント社員が優秀かどうかまでは、住んでみないと分からない!?

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実際の管理業務については、管理会社のフロント社員が担当します。

管理会社の業務というものは大手でも中小でもフロント社員の個人商店に近いものがあります。

同じ会社でも担当者によって仕事の質がまったく異なってきます。

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ハウツー本に必ず書かれている「清掃の状態」とか「駐輪場、ごみ置き場の状態」といった表面的なチェックポイントよりこちらの方がよほど重要だと思うのですが、これも外部の人が判断するのはほぼ不可能です。

売主に聞いても、多分教えてくれないでしょう。

担当に問題があるなどと言えば、部屋が売れなくなるからです。

結局のところ、管理の良し悪しは実際に住んでみないとわからないのです。

あえて一つだけコツのようなものあげるとすれば、大規模マンションを選ぶということしかないと私は思います。

大規模マンションの管理を失うという事になれば管理会社の経営に響いてくるので、そのような重要物件は優秀なフロントが担当しています。

また重要物件なら担当フロントに丸投げされている可能性は少なく、総会や理事会に課長クラスや支店長が同行したりします。

仮に問題が発生しても組織的に対応してくれるでしょう。

 

いかがでしたか。

新築にせよ中古にせよ、マンションの購入にはどうしてもイチかバチかという部分が避けられません。

少しでもリスクを下げるためには、大手が関わった大規模物件を選ぶのがよいのではないかと、私は思います。