不動産業界で19年働いて分かった!「地震に強いマンション」はこう選ぶ

 

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東日本大震災が発生してから早いもので6年が経過しました。

その後、鳥取や熊本でも震災が発生し、建物の倒壊によって犠牲になられた方も数多くおられます。

熊本地震においてはマンションの地震に対する備えが有効に作用したにもかかわらず、あたかも欠陥建築であるかのような報道がなされたこともありました。

今回は地震に強いマンションの選び方とも現在のマンションが巨大地震にどのように備えているかについてご紹介したいと思います。

 

■新耐震基準とは「東日本大震災級の地震でも死なない」レベル

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現在の建築基準法上の耐震基準が定められたのは昭和56年6月1日で、その3年前に発生した宮城県沖地震を教訓にしています。

そのコンセプトは「建物が存続する期間中に1回起きるかどうかという規模の大地震に対し倒壊・崩壊しない」というものです。

もう少しわかりやすく言うと「東日本大震災級の地震でも死なない」ということです。

当然のことながら、震度5程度の地震ではほとんど損傷しないことが求められています。

それ以前の耐震基準では「震度5程度の地震で倒壊しないこと」というものですから、大幅な強化と言っていいと思います。

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阪神・淡路大震災においても、新旧両耐震基準で被害の大きさがまるで違っていました。

当然のことながら地震に強いのは新耐震基準に則ったマンションですから、部屋を借りる場合でも買う場合でもどちらの基準で建築確認を受けているか確認が必要です。

 

■建物の強度を示す耐震等級。「2」にこだわるなら中古マンションを探すのが得策

耐震等級とは品確法(平成12年4月施行)によって定められた建物の強度を示す指標の一つです。

ごく簡単に説明すると建築基準法の基準を満たせば耐震等級1、耐震基準の1.25倍の強度があれば耐震等級2、そして1.5倍の強度があれば耐震等級3です。

学校、病院、警察など災害時に避難所となるような建物は耐震等級2です。

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サンプルを見たことがあるのですが、耐震等級1と2では使用されている鉄筋の数が全然違います。

筆者が新築マンションの営業をしていた平成13年頃は耐震等級2のマンションもよく見ましたが、その後土地代や建築費が高騰したため最近の新築ではほぼ消滅したのではないかと思います。

どうしても耐震等級2がいい、ということでしたら中古マンションを探す方が良いと思います。

 

■「ピロティ形式」のマンションは地震に弱い

土地を有効活用するために1階部分を柱だけの空間とし、駐車場等に利用している建物を「ピロティ形式」と呼んでいます。

建物で最も重量のかかる1階に壁がなく柱だけで支えているため不安定な構造といえます。

大地震により1階部分がつぶれてしまったマンションの事例は数多く発生しています。

新耐震基準でも被害が発生したという事ですので注意が必要です。

 

■進化している!大地震に対するマンションの備え

それでは次に、地震に対するマンションの備えで代表的なものをご紹介します。

・エキスパンションジョイント

建物がL字、コの字といった形状の場合、地震の際に揺れる方向が棟ごとに異なります。

そのため各棟をガッチリつないでおくと大きなエネルギーが接続部にかかって大規模な破壊をもたらします。

それを防ぐために各棟の間にわざと隙間をあけておき、金属製のカバーで蓋をしたものがエキスパンションジョイントです。

大地震の際でも隙間によって建物にかかるエネルギーを逃がし、ジョイントが外れることはあってもマンション主要構造部への被害を最小限にとどめます。

 

・水道のレバーが「下げ止め」で統一

最近の水道の蛇口レバーは上げると水が出て下げると止まる「下げ止め」で統一されています。

阪神大震災の時、物が落ちてきて水道レバーに当たりそれにより水が流しっぱなしになったという事例が契機となったようです。

 

・耐震ラッチが標準装備

耐震ラッチとは、地震時に戸棚が開いて中の物が転がり落ちてこないよう工夫された留め具です。

写真の留め具では一度押し込むと開きます。

 

・玄関ドア

地震によって枠が歪んで玄関ドアが開かず避難できないという事態を防ぐため、ドア本体とドア枠の間に隙間があいています。

 

・防災備蓄倉庫

阪神大震災を経験した関西人は建物の構造を重視し、東日本大震災の時に物資不足に悩まされた関東人は防災備蓄倉庫の有無を重視するというニュースを最近見ました。

倉庫に備蓄される物といえば現在では救助用の工具、担架、ハンドマイク、簡易トイレといった物が主流です。

水や食料は賞味期限の関係で管理しきれないため、置いているマンションは減ってきていると思います。

 

■デマに惑わされず正しい知識を持つことが良いマンション選びにつながる

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昨年の熊本地震の際に、地震の揺れによりエキスパンション部分のカバーが外れ、棟を結ぶ渡り廊下部分に縦一列隙間が空いた状態となったマンションがありましたが、

これに対し一部マスコミが「マンションが裂けている」というあたかも欠陥建築であるかのような報道をした事例がありました。

ジョイント部の隙間だけでは揺れを吸収しきれず、渡り廊下部分が破損した事例もあったようですが、

建物の主要構造部にはまったく影響がなかったのですから、本来の仕組みが正常に作用したと言えます。

見た目がかなり派手でしたので居住者にとってはショックだったと思います。

しかし震度7が2回という、これまでほとんど記録されていないような大地震で建物本体にはほとんど影響していないのですから、新耐震基準の要件は立派に満たしています。

知識があればデマに惑わされることは少なくなります。

今回ご紹介した情報が皆様のマンション選びに少しでもお役に立てば幸いです。