弁護士が教えます!「こんな時は敷金返ってくるの?」【後編】

shutterstock_199448408

【前編】では、そもそも「敷金」はなぜあるのか、また敷金トラブルの原因になりやすい「原状回復」とは何を指すのかをご紹介しました。

それでは実際に、このような場合は敷金が戻ってくるのか否か?を考えてみましょう。

 

■1:画鋲や押しピンの跡は・・・OK!

常識的な使用の範囲なら、原状回復の対象とはなりません。生活する上で多くの人が壁にカレンダーを貼ります。カレンダーを留めるために画鋲等で壁に穴をあけていたとしても、許容範囲内です。

ただし、壁に釘などを打ち、大きな穴を開けて何か重いものを吊るすなど、壁紙の奥の板まで深く傷めるような使用の場合、 原状回復を求められることになりそうです。

 

■2:「ペットOK」マンションで、ペットがつけた傷・・・程度によりOK!

これも“程度”問題ということになりそうです。原状回復の定義からひも解けば、「普通にペット飼っていればこれくらいは傷むよね」という以上に元に戻す必要はありません。

例えば、フローリングに爪の跡が付いたというような傷は、仮に大家さんがペットを飼っていたとしても付いてしまうものだと思うので、負担させられることはないでしょう。

ペット可のマンションは、通常、同程度の家賃相場よりも高額に設定されています。それは、“通常損耗”がペットを飼えない物件よりも高額になることを考慮してのものですので、借り主とすれば相応の負担をすでに負っていることになります。過度に卑屈になる必要はありません。

 

■3:喫煙でついたクロスのヤニ・臭い・・・喫煙禁止でなければOK!

喫煙を特に禁止されていない物件の場合、室内で喫煙したからといって、ただちにクロスの全面張り替えを求められる筋合いはありません。

普通に掃除をして落ちるレベルのヤニ汚れであれば、通常損耗の範囲内であるといえます。臭いについても同様で、一般的な消毒等で落ちるレベルの臭いであれば通常損耗の範囲内といえます。

また、クロスの全面張り替え等一般にいえることですが、長く住めば住むほどクロスなどは劣化していくものですから、仮に張り替えることとなっても、 「普通に劣化した分」まで借り主が負担する道理はありません。

 

■「敷引き特約」はアリ?

最後に「敷引き特約」について。最近では上にあげたような敷金トラブルを防ぐために、契約時にあらかじめ敷金からいくらかを確実に引くことを記載した「敷引き特約」を結ぶケースが増えてきています。

こういった特約が有効か無効かについては、一概には言えずケースバイケース。例えば、「契約時に礼金を取っていたか取っていなかったか」、「敷引きの割合がどれくらいか」、「家賃が相場と比べてどうだったか」、という事情を総合的にみて、高額すぎる敷引き特約は無効になる(=敷金は返ってくる)可能性があります。

 

いかがでしたか? しっかりと敷金を取り戻すためにも、敷金のしくみを考えておく事が大事。もちろん、部屋は丁寧に使うこと、契約時は条項をスミズミまでしっかりと読んでおくことも忘れてはいけませんよ!

 

弁護士が教えます!「こんな時は敷金返ってくるの?」【前編】