「早く決めないと部屋がなくなりますよ」は嘘じゃない!? 不動産業界の「オキテ」と「ご法度」

 

ふじよ / PIXTA

少し前になりますが、「週刊文春」が「週刊新潮」の中刷り広告をカンニングしていたという最近のニュースには驚かされました。

報道されている通りだとすると、文春の行為は週刊誌業界における「掟破り」だったのかもしれません。

プロ野球では、大差がついている試合で勝っているチームがバントや盗塁をしないという「暗黙のルール」があるともいわれ、これを破ると相手チームからデッドボール等の報復が待っていたという話もたまに耳にします。

このようにそれぞれの業界には特有の「不文律」というものがあるようですが、今回は不動産業界における「不文律」をご紹介したいと思います。

 

■一旦キャンセルさせ、自社を通して契約させる「抜き」は厳禁!

Graphs / PIXTA

A物件を、甲不動産を通して申し込みを入れているお客様に対し、乙不動産が「A物件ならうちでもご紹介できます」と言って一旦キャンセルさせ、自社を通して契約させるような行為を「抜き」といいます。

「仲介手数料を値引きします」「よくある事だから心配いらない」といった甘い言葉で誘われるとついつい乗ってしまいそうになりますが、「抜き」は賃貸・売買を問わず業界で最も嫌われる禁じ手です。

この場合、全然違うB物件をご紹介する分にはまったく問題ありません。

禁じ手とはいえ、これをやる業者はやはり存在します。

しかし抜かれた方の会社が黙っているはずはなく、道義を重んじるオーナーや管理会社の場合、契約を断られる場合もあります。

軽い気持ちで乙不動産の誘いに乗ってしまうと、とんでもないトラブルに巻き込まれ、お客様自身も火の粉をかぶることになるのでご注意ください。

筆者も一度悪質な手法で「抜かれた」ことがありますが、自分の売り上げのこともあるのでとことん食い下がった経験があります。

 

■いかなる場合でも、物件は先に申し込みを入れた方が勝ち

Sergiy Tryapitsyn / PIXTA

一つの物件を多数の方が同時に検討している場合、先に申し込みを入れた人が「一番手」として最優先されます。

たとえ医者や弁護士といった「内容のいい」お客様であっても、申し込みに後れを取るとあくまで「二番手」「三番手」となり、「一番手」が破談となることを祈るしかありません。

2~3月の引っ越しシーズンになると、人気の物件は競争が激しくなります。

そのような物件を案内する場合は申込書を現地で書ける範囲で書いてもらい、近所のコンビニのFAXで管理会社に送るということまでやりました。

watanabe / PIXTA

そういえば以前、こんな苦い経験もしました。

親会社が管理している物件について、事前に確認した時には空いていたにもかかわらず、案内中に他から申し込みが入ってしまったのです。

物件は浅草橋の隅田川沿いの賃貸マンション。

最上階角部屋で当時は建築中だったスカイツリーが綺麗に見えました。

家賃が26万円くらいだったと記憶していますが、その一件だけで月のノルマの最低ラインをクリアできるような物件であったため、

上司を通じて親会社に泣きつきましたがあっさり却下されました。

営業マンが「早く決めないと部屋がなくなりますよ」というのはあながち嘘ではないのです。

 

■優秀な代行管理員の引き抜きはご法度

Non+i / PIXTA

大半の分譲マンションには管理員がいると思いますが、管理員が休んだり退職したりする場合に穴埋めに「代行管理員」が派遣されてくる場合があります。

管理員が退職して補充が間に合わない時など、本来臨時のはずの代行管理員が結果として長期間同じマンションに勤務する場合があります。

この代行管理員の評判がいい時によくあるのですが、入居者や担当フロントから「この人を引き抜いてくれ」と頼まれることがあります。

しかし代行管理員の引き抜きはマンション管理の世界では絶対の御法度で、これをやった場合はその派遣会社は間違いなく二度と取引してくれなくなります。

freeangle / PIXTA

いまや全国の不動産屋の数はコンビニの数より多いそうです。

不動産業界はそれ程多くの会社が激烈な競争をしていて「法令で禁じられていなければ何でもあり」という世界なのですが、

それでも最低限の秩序が保たれているのは、こういった不文律のおかげかもしれません。