敷金は原則返還!? 民法改正で「賃貸借契約」は借り主に有利になるか?

 

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契約のルールを明確化することを主な目的とした民法の改正案が、先日衆議院・参議院で可決、成立しました。

周知のため施行は3年後となるようです。

 

■「敷金は原則返還」となると不動産取引が劇的に変わることに…

nonchanon / PIXTA ※写真は記事の内容とは関係ありません

契約に関する規定は、なんと明治29年の民法制定時から変わっておらず、約120年ぶりの改定となります。

これを報じるネットニュースの見出しが「敷金は原則返還に」となっていたため、びっくりしてチェックしたのですが、見出しの通りだとすると、今後不動産取引が劇的に変わってしまうことになります。

今回の法改正で賃貸物件の契約がどのように変わるか、現時点で予想できることを書いてみたいと思います。

記事をよく読んでみると「改正法は賃貸借の終了時に家主は敷金から未払い賃料などを差し引いた額を返還しなければならない、と明記」となっており、

この場合、退去時には貸主に預けた敷金は賃料の未払いがない限り、全額返還しなければならないことになります。

しかし続けて「借り主は原状回復義務を負うが、通常の生活で生じた傷や経年劣化については修繕費を負担する義務はない、としている」とも書かれています。

 

■退去時の原状回復についてのガイドライン「東京ルール」とは?

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賃貸住宅を退去する場合の原状回復の負担については平成10年3月に国土交通省よりガイドラインが出され、

平成16年10月1日に東京都で「賃貸住宅紛争防止条例」が制定されました。

業界ではこれを「東京ルール」と呼んでいて、重要事項説明書と併せて契約前に書面で説明しなければならないものとなっています。

私が最初に賃貸住宅の営業に従事した平成19年頃は、首都圏でも東京と他県では費用負担の基準が異なっていましたが、

現在では神奈川・埼玉・千葉の各県も東京都の基準に則っているようです。

基本的な考え方としては「借主は故意・過失・善管注意義務違反・その他通常の使用を超えるような使用による損耗等を復旧する」と定めています。

具体的には経年劣化・自然損耗・通常の使用による住宅の損耗等の復旧は貸主の費用負担で行い、借主は費用を負担しないものとされています。

つまり現状の契約においても、今回民法に盛り込まれた「通常の生活で生じた傷や経年劣化については修繕費を負担する義務はない」という内容となっているのです。

従って今回の法改正は、これまで国交省のガイドラインや条例レベルで対応していた内容を法律に明記しただけだということになります。

 

■首都圏においては賃貸借契約の内容は現状維持

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見出しだけ見ると大ニュースであるかのように感じるかもしれませんが、

少なくとも首都圏においてはこれで賃貸借契約の内容が変わることはほとんどないと筆者は考えます。

「通常の生活で生じた傷や経年劣化については修繕費を負担する義務はない」ということは、それ以外で発生した損耗については負担するという事です。

改正民法が施行されて以降も、退去の際は「退去立ち合い」に基づいて敷金を清算するという流れのままだと思われます。

とはいえ、過剰に心配することはありません。

賃貸であれ分譲であれ、住まいを大切にする気持ちを忘れずに暮らすことが大切なのではないでしょうか。

 

【参考】

※ 産経ニュース