日本のガウディ、世界最古の高層マンション…「名建築」を地元建築家がガイドする【長崎編】

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見慣れているいつもの街でも、ふと見渡してみれば、ちょっとフシギな建物に出会うことってありませんか?

いつも素通りしてしまう建物でも、実は有名な建築家がデザインしたものだったり、歴史的な背景があったり、その造形に深い意味が込められていたり……。

建物の“背景”を知れば、いつもの街もキラキラと光り出すものです。

このシリーズでは、さまざまな地域の知られざる“名建築”を、地元の建築家がご紹介します。

あなたの住んでいる街も、登場するかもしれませんよ。

第1回目は、400年も続く港町の歴史がつまった、珠玉の建築が集まる「長崎県」です。

 

【ナビゲーター】

橋口剛さん・・・1969年長崎市生まれ。長崎大学大学院修了、イギリスKingston大学大学院修了。建設コンサルタント会社勤務の後、2008年「HAG環境デザイン」設立。

 

■1:“異色”と評される建築家が建てた「親和銀行本店」(佐世保市)

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モダニズム建築が全盛期だった当時において、“異色”と評される建築家・白井晟一(せいいち)の代表作。

とくに3期工事で完成させたコンピュータ棟の懐霄館(かいしょうかん)は、哲学的な思索の末に生まれた造形といわれています。

丸みを帯びた外壁は、土偶の女性の身体を、入り口は子宮を表現しているのだそうです。

 

■2:日本最古の高層アパート「端島(軍艦島)」

端島(軍艦島)

世界文化遺産の登録をされた「明治日本の産業革命遺産」のひとつ。

1916年島内に、最古とされるRC造の高層アパートが建てられました。最盛期には小さなこの島に5,000人以上が暮らしていたといいます。

20数年前に、無人のこの島に上陸したことがありますが、朽ち果てて崩れ落ちたビル群の廃墟の中に、人々が肩を寄せ合い、ひしめきあって暮らしたころの痕跡が残されていて、強烈な印象を受けました。

 

■3:正面から見てほしい「旧香港上海銀行長崎支店 記念館」(長崎市)

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長崎港に面した海岸通りに建ち、明治期の港のにぎわいを伝える石造りの洋館建築です。設計者は、日本に始めて鉄骨造の建物を紹介した建築家・下田菊太郎。

建物の正面を見てみると、その外観はとても特徴的。1階部分は連続アーチ工法、2〜3階部分はコリント様式の列柱による構造で、その上に三角形の切妻屋根が載っています。

 

■4:日本のガウディ「日本二十六聖人記念館」(長崎市)

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戦前戦後に活躍し、日本にガウディを紹介した建築家・今井兼次の最高傑作と称されるのが、この日本二十六聖人記念館です。

二十六聖人記念碑(左)と2本の尖塔をもつ聖フィリポ協会(右)によって構成されています。

館内のステンドグラスや、ガウディを思わせる教会の双塔など、クリスチャンだった建築家の熱い思いが込められた造形の数々が印象的です。

 

■5:信仰の自由の喜びを感じる「カトリック大野教会」(長崎市)

カトリック大野教会

世界遺産の暫定リストに登録された「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」のひとつ。

漆喰をつなぎに、レンガに見立てた石をひとつひとつ積み上げて作った石積みの壁が特徴的です。

この壁は、私財を投げ打ってこの教会を建てたド・ロ神父にちなんで、「ド・ロ壁」と言われています。

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隠れキリシタンの里の中にあるこの教会は、何代にもわたって進行を守り通した隠れキリシタンの子孫が、キリスト教禁教令が解かれたあとに建設したもの。その熱意に心を打たれます。

 

いかがでしたか? 建物やその造形には、建てた人の想いや思想が色濃く残っているもの。

あなたも、気になった建物があれば、どうしてそんな形になったのか、調べてみると、意外な発見があって面白いかもしれませんよ。