戦火を免れた民家、復興のシンボル…「名建築」を地元建築家がガイドする【沖縄編】

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見慣れているいつもの街でも、ふと見渡してみれば、ちょっとフシギな建物に出会うことってありませんか?

いつも素通りしてしまう建物でも、実は有名な建築家がデザインしたものだったり、歴史的な背景があったり、その造形に深い意味が込められていたり……。

建物の“背景”を知れば、いつもの街もキラキラと光り出すものです。

このシリーズでは、さまざまな地域の知られざる“名建築”を、地元の建築家がご紹介します。

あなたの住んでいる街も、登場するかもしれませんよ。

 

第2回目は、琉球石灰岩の石造建築が輝く、「沖縄県」です。

 

【ナビゲーター】

金城司さん・・・1972年沖縄県南風原町生まれ。95年武蔵野美術大学卒業。2001年、兄の金城豊とともに門(じょう)一級建築士事務所を設立。

 

■1:沖縄独特の民家建築「しむじょう」(那覇市)

撮影:金城司さん

国の登録有形文化財に指定された古民家で、沖縄そばの食堂としても営業しています。建物は築50年以上、琉球石灰岩を積んだ屋根囲いと「ヒンプン」は築150年とも。

撮影:金城司さん

伝統的な沖縄の民家には、玄関はありません。そのため、目隠しや魔除けなどの役割をもつ「ヒンプン」という仕切り弊を、門と家の間に建てるのです。

 

■2:戦火を奇跡的に逃れた「新垣家住宅」(那覇市)

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300年以上の伝統を誇る陶芸街として栄えた壺屋地区(やちむん)。その中にある新垣家住宅は、奇跡的に戦火を免れて、伝統的な陶工の住宅形式を唯一残しています

この一体には、荒焼のぼり窯やガジュマルの木と生け垣が続く集落が今も残り、散策が楽しい街並みです。

 

■3:城(グスク)をイメージ「沖縄県立博物館・美術館」(那覇市)

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琉球王朝の時代の城(グスク)をイメージした、やわらかな曲線をもつ外観が特徴的。

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よく見ると、二重壁になっていて、強い日差しを遮り、台風の暴風雨から開口部や内側の外壁を守っています。

 

■4:伝統的な竹垣(チニブ)をイメージ「国立劇場おきなわ」(浦添市)

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特徴的な反り返る曲面の外壁は、「チニブ」といわれる沖縄の伝統的な竹垣をモチーフにしています。

今ではほとんど見られなくなった「チニブ」ですが、この懐かしいモチーフを近未来的なデザインに昇華させ、当時の最新工法で建設した手腕に驚きを感じます。

 

■5:戦後復興のシンボル「カトリック与那原教会」(島尻郡)

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戦後まもなくつくられた、こちらの教会は在日米陸軍技術部隊・建設部の片岡献の作品。

聖堂の北側前面にはカラフルなステンドグラスを、西側には「花ブロック(装飾的な穴あきブロック)」を使っています。

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当時は、RC造もステンドグラスも、非常にモダンな存在。

そのため、戦後の復興のシンボルとして愛され、地元住民はこの建物を見て、新時代の到来を感じ、勇気づけられたのだといいます。

 

戦争で、県全体が焦土と化した沖縄は、現存する歴史的建造物が残っておらず、復元・修復されたものがほとんど。

戦後生まれの沖縄の建築遺産を、今度は大切に保存・活用していきたいものですね。

次回はあなたの街にお邪魔するかも?

 

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