マンション火災も経験したから分かる!「本来マンションは火災に強い」理由とは?

 

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ニュースなどでご覧になった方も多いかと思いますが、筆者が最近のニュースで最も驚いたのはロンドンにおける高層住宅の火災です。

24階建ての公営高層住宅全体が、まるで松明のように燃えている映像は衝撃的でした。

 

■マンション火災を経験したからわかる!「本来マンションは火災に強い」

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実は、筆者はマンション管理会社のフロント時代に1回だけ火災を経験したことがあります。

その日は新入社員の歓迎会があった関係で、定時に会社を出て会場に向かっていたのですが、

担当マンションの一つで火災報知機が作動しているという連絡がコールセンターから入りました。

フロントをやっているとこういう連絡は珍しいものではなく、しばらく待てば、ほぼ間違いなく「現地を確認したら誤報でした」という結果に落ち着きます。

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警備会社のガードマンが現地に向かっているということで安心していたのですが、まさに乾杯というタイミングで入ってきたのが「本火災」という連絡でした。

現地に駆け付けるとマンションの前に消防車が3台止まっています。

前面道路に張られた非常線の黄色いテープを「管理会社です!」と叫んでくぐりました。

ちょっと不謹慎ですが、まるで自分がドラマの中にいるようでした。

居住者の留守中にエアコンの電気関係から出火したらしいということで、3LDKのリビングだけが丸焼けとなっていました。

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リビング以外はまったく無傷で、襖で仕切られただけの隣の和室で留守番をしていたワンちゃんも無事。

共用部も廊下がすすで汚れていただけでした。

消火のために放水した水が下の部屋に漏れていないか心配でしたが、確認した結果それもありませんでした。

鉄筋コンクリート造の集合住宅というものは、本来このように火災に強い建物であり、

火災が発生しても延焼することはほとんどなく、ましてやロンドンの住宅のように全館炎上ということは本来ありえないことなのです。

 

■マンションの「タイル」は、美観のためだけに貼っている訳ではない

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今回の火災が建物全体に燃え広がった原因として指摘されているのが、外壁に燃えやすい断熱材が使われていたということです。

日本のマンションにおいて断熱材は通常コンクリートの内側に貼られており、ロンドンの住宅のような外断熱はほとんどありません。

一般的に外壁はタイル貼りかコンクリートの上に吹き付け塗装されたものがほとんどですが、これはコンクリートを外気から遮断するためです。

コンクリートは本来弱アルカリ性で、それによって内部の鉄筋をサビから守っています。

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コンクリートが空気中の二酸化炭素に触れることによってアルカリ性を失っていくことを「中性化」といいますが、

中性化が進み内部の鉄筋が錆びて膨張すると、それによりコンクリートが剥がれ落ちることになります。

少しでも中性化を遅らせるためにタイルや塗装により外気との接触を防いでいるのです。

外壁のタイルは美観のためでだけではなくコンクリートを保護するためのものなのですが、

それとともに火災が起きた際に燃え広がることを防ぐ役割も果たしているのです。

外壁に燃えにくい素材を使用している日本のマンションでは、燃えたとしてもその部屋だけで、建物全体が火に包まれる今回のような事故は起こらないと思われます。

 

■日本のマンションは、2通りの経路が確保されている

ロンドンの火災の映像を見ていて気になったのは、避難通路のようなものがまったくなさそうなことでした。

日本のマンションの場合はどこが出火場所であっても間違いなく避難できるようすべての部屋で2通りの経路が確保されています。

共用廊下を通ることができない場合はバルコニーを利用して避難できます。

隣との境のパーテーションは意外に簡単に破ることが出来るのです(台風で破れたなんてしょっちゅうです)。

マンションのバルコニーは基本的に避難通路だと考えてください。

そのため避難に支障をきたすような物(物置等)は置くことができないのです。

下層階に避難する必要がある際は避難はしごを利用できます。

下の階から見上げると、このようになっています。

カバーの間にはこのように折り畳みのはしごが格納されています。

上のカバーを持ち上げると下のカバーが下がるようになっています。後はワンタッチではしごは下がります。

構造の関係で垂直に下りることができないマンションの場合は、斜めに下りることができるようはしごが設置されています。

また、皆様はマンション内に設置されているこの設備についてご存知でしょうか。

これは連結送水管の送水口で、火災発生時に消防車のホースをこちらに接続できるようになっています。

送水口はこちらの送水管に接続しています。

送水管は最終的にこちらにつながっています。

ボックスの下段にはホースが折りたたまれて格納されており、火災発生時の放水に使用できるようになっています。

 

■火災報知機を押しても、全館一斉に警報が鳴らない理由とは?

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とある大型マンションで避難訓練を実施した時に気が付いたのですが、最近の火災報知機はボタンを押しても全館一斉に警報が鳴るという仕組みにはなっていません。

まずボタンが押された階及びその上下階で鳴動し、それ以外の階には順々に伝わっていくのです。

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全館一斉に警報が鳴動すると、全入居者が非常階段に一度に殺到して危険であるという考えに基づいているようです。

最上階まで警報が到達するにはかなりの時間が必要であることから消防署に相談したことがあるのですが、

マンション内ではよほどのことが無い限り避難するより室内にとどまっている方が安全であるということでした。

おっしゃる通りだと思いました。

※写真は記事の内容とは関係ありません