意外に曖昧!? 不動産チラシの「駅徒歩〇分」は果たして正確なのか?

 

スポッティー / PIXTA

不動産の広告に関してどこを見るかについては、人それぞれニーズが異なるかと思いますが、

誰もが必ずチェックするのは「●●駅徒歩〇分」という駅からの距離ではないかと思います。

この「〇分」というのは適当に書いているのではなく、きちんとルールが決められています。

インターネットの普及により、最近は不動産の知識が一般の方にも普及しているように思いますが、まだまだ誤解している方も多いようです。

今回は「駅徒歩〇分」のルールについてお話したいと思います。

 

■知識ゼロだった筆者の大失敗

イッシー / PIXTA

筆者は社員寮のある製造業の会社に約7年勤務した後に不動産業界に転職したのですが、それは同時に会社の寮を出て初めて自分で部屋を借りるということでもありました。

小田急線の新百合ヶ丘駅周辺で「駅徒歩圏で駐車場付きでなるべく安い部屋」ということで見つけたのが徒歩16分の1Kでしたが、

不動産の知識ゼロだった当時の筆者は「俺の足なら10分くらいだろう」くらいの感覚で決めてしまいました。

内見の際に「これ遠くねぇ?」となぜ思わなかったのか、今となっては思い出せません。

小田急線は登戸を過ぎるとしばらく谷底のような地形を走るため、駅前物件以外はどうしても坂がつきものです。

筆者が部屋を借りた場所も丘の中腹のような場所にあったため、駅前から延々と坂を上らねばならず、一人で歩いたら30分近くかかりました。

 

■80mで1分の根拠は?地図上で計算するため、信号も階段も歩道橋も坂道もすべて無視!

photoman / PIXTA

駅からの距離の出し方としては地図上で最短ルートの距離を測定し、80mを1分として計算するルールとなっています。

駅から物件までの一直線の距離で計算していると思っている方もまだまだ多いようですが、ちゃんとした道順で測定して計算しています。

なぜ80mという距離になったかというと、公正取引委員会の女性職員がハイヒールを履いて1分間歩いてみたら80mだったからだと言われています。

Caito / PIXTA

1分未満は切り上げとなるため、以前は駅の真ん前にある場合「0分」という事例がありましたが、現在ではそのような表記はできません。

あくまで地図上で計算するため、信号も階段も歩道橋も坂道もすべて無視します。

不動産広告上にうたわれた距離と実際のギャップはこの点が原因によるものと思います。

 

■不動産業界でいう「コロコロ」とは?

筆者が不動産の営業をしていた時代は、距離の測定にゼンリンの住宅地図を使用していました。

ローラーの回転数で距離を測定する「マップメジャー」と呼ばれる器具(業界ではこれを「コロコロ」と呼んでいました)で地図上の道順をなぞって測定するのです。

当然ながら距離は短い方がいいですから、最短のルートを求めて地図上をコロコロで何度もなぞるため、地図にギザギザの跡が付いたものです。

コロコロのローラーは滑らないように歯車のような形状になっていました。

現在は何でもパソコンでできてしまうのですが、ネット上の地図で出発地と目的地を指定し、「探索」をクリックしれば最短のルートと距離がすぐにわかります。

ひょっとすると不動産会社の若い社員はコロコロの使い方を知らないかもしれません。

 

■意味不明な「サブエントランス」に込められた真の意味

YNS / PIXT

当時は駅からの経路のゴールとしてはマンションのエントランスとしていたため、マンションの敷地が広い場合は駅に最も近い場所に必ず「サブエントランス」を設けたものです。

意味不明なサブエントランスを見つけた場合、「駅徒歩〇分」のためだと思ってもいいでしょう。

この記事を書くにあたって「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」をあらためて読み返してみたところ、

「団地(一団の宅地又は建物をいう。以下同じ)と駅その他の施設との間の距離又は所要時間は、

それぞれの施設ごとにその施設から最も近い当該団地内の地点を起点又は着点として算出した数値を表示すること。

ただし、当該団地を数区に区分して取引するときは、各区分ごとに距離又は所要時間を算出すること」となっていました。

この通りだとすると、駅に最も近い敷地までの距離を測定すればいいので、エントランス等の施設は不要となります。

筆者が不動産売買の取引の最前線から離れている間に規則が変わったのかもしれません。

 

■必ず自分の足で歩いて確かめよう

Graphs / PIXTA

不動産の広告に表記された駅からの距離はこのようにして決められています。

あくまでも地図上で計算したものですから、実際とは異なることが多くなります。

筆者の経験則でいうと広告上の表記が「徒歩10分」以内なら本当に徒歩圏。

BR01 / PIXTA

「10分」を超えると少しツラく感じ、「15分」以上だとバスに乗りたくなるような距離です。

駅までに坂があるような場所では行きと帰りで所要時間が異なる場合もあります。

ですから広告を鵜呑みにせず、必ず自分の足で歩いて確かめるようにしてください。