大切な客人のおもてなし…デリバリーは「手抜き」?京都人の考え方とは

ケータリングパーティー風景

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みなさんは、“デリバリー・ケータリング”にどんなイメージを持っていますか?

「今日は疲れたからご飯を作りたくない。ピザか寿司でも取る?」などと、やはりどうしても“お手軽・手抜き”のイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。

友人や親戚を呼んでのパーティーなどでも「後片付けや準備が大変だから」という理由でデリバリーを取るイメージがあると思います。

デリバリーは、“手軽で手抜き”。

手作り料理は、時間と手間ヒマがかかっているから、おもてなしや相手を敬う心がある。

そんな“固定概念”が、もしかしたら思わぬトラブルを生むかもしれませんよ。

 

■京都のデリバリー「仕出し屋」

京都の路地裏

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筆者が以前住んでいた京都には、デリバリー・仕出し屋がたくさんありました。高級店も多く、全国で知られています。

しかし京都の人が、仕出し屋を利用するのは「準備や片付けをラクにしたい」時ではありません。

 

■両家の顔合わせ…「仕出し屋」でおきた、トラブルとは?

興味深い実話を紹介しましょう。

ある京都の娘さんが、他の地域の男性と結婚の運びとなりました。

いよいよ両家の顔合わせ。男性が自分の両親を連れて、京都にある娘さんの実家を訪れます。

娘さんのご両親は、愛娘のために「最高のもてなしをしよう」と、準備を重ねていました。

豪華な仕出し弁当

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食事会が始まり、食卓の上には豪華な数々のお料理が並びます。男性のご両親はさぞお喜びになったことでしょう、と言いたいのですが、真逆!

特に男性の母親は、機嫌を損ねてしまいました。

何がいけなかったのでしょうか?

……それは、お料理が全て仕出し屋のものだったからです。「大切なお客様を、手料理でもてなすのは当然じゃないの!」ということです。

もちろんその場はつつがなく進んだものの、客人の様子がおかしいことに、京都のご両親は気が付いていました。

「なんや、あの態度」と京都のお父さん。「なにが気にくわへんかったん」とお母さん。

「料理も作れないのか」と男性の父親。「常識のないお母さん。あきれた」と母親。

かわいそうなのは結婚したい2人です。両家の親たちの反応に困り果ててしまいました。

 

■大切なお客様だからこそ「仕出し屋」の文化

京都では、大切のお客様をもてなすときにこそ、仕出し屋を利用するのです。

「蓼(たで)食う虫も好き好き」ということわざがあります。それほど蓼そのものは辛く、苦く、決しておいしい味をしているとは言えません。

この蓼で鮎(あゆ)の塩焼きをいただくのです。

スーパーマーケットで簡単に蓼は手に入りません。インターネットで蓼酢(たです)を購入する手はあるかもしれませんが、なかなか蓼は手に入らない物です。

さすが京都の有名な仕出し屋さんのお料理です。

普段では手に入らないような贅を尽くしておもてなしをする、それが京都の「仕出し」文化です。

 

ご安心してくださいね、ご紹介したカップルは、今ではちゃんと結婚し夫婦となっています。

しかし、自分が当たり前と思っている文化が、他の地域では案外“当たり前”ではないこともしばしば。大切なシチュエーションの時には、充分に注意してくださいね。