建て替えの見積もりが9,000万円!? 銀行と税理士からダメ出しされて気付いたこと【なんでも大家日記@世田谷】

 

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こんにちは、「なんでも大家」のアサクラです。

今回は、僕がマンションを引き継ぐことになった際、建て替えを検討したものの断念し、リノベーションを決意するにいたった経緯について書きたいと思います。

当時、うちのマンションはすでに築45年を迎えていました。

前回書いたとおり、中途半端なリフォームでとにかく住みにくくなっていた現状にうんざりしていたため、

家族みんなで資金を出し合い、心機一転、マンションを建て替えようということになりました。

いまでこそ「古いマンションにも魅力があるし、きちんとメンテナンスすれば長く維持できる」という考え方をするようになりましたが、

あの当時は、築50年もすれば建て替えるのが当たり前だと思い込んでいたのです。

思えば、マンションにまつわる知識もほとんど持たないまま、新しいことを始めようという高揚感であっさり建て替えを決めてしまった気がします。

無知って怖いですね……。

 

※ 【なんでも大家日記@世田谷】過去の記事を読む

 

■1フロア減るのに建て替え費用は9,000万円。高すぎる見積もりにびっくり!

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というわけで、数十年お世話になっている不動産会社に相談し、建て替えの図面と見積もりを出してもらうことになりました。

ところが! できあがった図面を見て、いきなり驚かされるはめになりました。

うちの現在のマンションは三階建てなのに、もらった図面は二階建てなのです。

「アサクラ様のマンションの場合、現行の法律に従うと二階までしか建てられないんですよ」

ええ!そんなことってあるの?と思いましたが、調べてみると「マンション建て替えあるある」でした。

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マンションが建てられた頃とくらべ、現在は建築基準法も改正され、同じ土地でも建てられる物件の高さ制限も変更されていたのです。

言われてみればたしかに、まわりにはうちより高いマンションはほとんどありません。

それにしても困るのは、一階少なくなると部屋数もガクッと少なくなること。

これでは、ひと部屋の賃料がかなり上がったとしても、トータルではいままでよりも賃料が下がってしまう可能性もあるじゃないですか!

しかも、見積もりだって相当な金額です。写真をごらんください!

きゅ、きゅうせんまん、だと……!?

た、高い……ここに解体費と入居者の退去費用がのっかるので、総額は軽く「億」を超えそうな勢いです。

今までの人生で100万円も動かしたことのない自分には、もはや天文学的な金額といっても過言ではありませんでした。

この時点で「建て替えは無理」という判断にいたってもよかったのですが、正直いって、額が大きすぎて無理かどうか判断すらできないような感じでした。

 

■「自宅を兼ねると評価は厳しくなる」銀行は超・“塩対応”

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もっとも、いくら世間知らずの物件シロウトの僕でも、新築のマンションが借金なしで建てられると思っていたわけではありません。

立地は世田谷ですし、建てさえすれば入居者は入るはずだから、銀行は融資してくれるだろう……。

そんな無根拠な思いを胸に、うちが50年以上取り引きしてきた大手銀行に向かいました。

が! プランを見た担当者はサクッと言い放ちました。

「う~ん、これだと、ざっくり言って4,000万円ってとこですかねえ」

あのう、それだと半額いかないんですけど……。

さすがに頭金で5,000万円なんて用意できません。

「自宅を兼ねるとなると、評価は厳しくなるんですよ。それに奥様の仕事も現在は順調そうなようですが、やっぱり自営業ですからねえ」

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出た! 自営業の心をえぐる決めゼリフ!

で、融資を増やしていただくには、どうしたらいいんでしょうか?

「もう一度不動産会社さんと話をして、賃料プランを見直してみてはどうでしょうか」

……。

(くっ……バブルのときは、うちの親戚みんなのところに担当者が日参して「マンション建て替えませんか。じゃんじゃん儲かりますよ」

とか甘いことばっかり言って、とにかくお金を貸したくてたまらない雰囲気をムンムン出してたのに……)

と、内心、恨み言も浮かびましたが、よくよく考えてみると建設会社の見積もりをペラッと持ってきただけで事業プランもなにもない経営者に、

今どきの銀行が簡単に融資なんてしてくれるわけがありません。

というか、むしろ貸してくれなくてよかったです。

あのまま、建て替えていたら、どうなっていたことか……、もし時代がバブルなら、すごく痛い目に遭っていたかもしれませんね。

とにもかくにも、銀行の窓口をあとにする頃には、建て替えに対する高揚感はすでに消え去っていました。

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とにかく資金繰りをイチから考え直さねば……。

すぐにうちの顧問税理士さんに連絡をとりました。

この面談が僕の思い込みを打ち砕くことになるのです。

 

■「借金をしたうえに収入も増えないのに、なにがうれしいんですか?」税理士さんの言葉に目が覚める!

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「え!? どうして建て替える必要があるんですか?」

これが税理士さんの第一声でした。

いや、でも、うちのマンションはもうすぐ築50年ですし……。

「50年で建て替えるなんて法律があるわけじゃないでしょう? 日本で、鉄筋のマンションが古くなって倒れたとか崩れたとか、そんな話、聞いたことあります?」

それはないですけど……でも、どの部屋も半端なリフォームのせいで住みづらくて……。

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「いやいや、今はまだ空室だって多くないでしょう? 建て替えなんて、ほんとに入居者が見つからなくて空室だらけになったりしないかぎり、よしたほうがいいと思いますよ」

ええ!? そういうものなんですか?

「じゃあ、逆に聞きますけど、ウン千万の借金をしたうえに収入も増えなくて、なにがうれしいんですかね?」

う、うれしくないです……。

「オリンピックまでは、とにかく人手も足りないし資材も上がるし、新築はリスクが大きいと思うけどなあ」

と、こんな具合で鋭い指摘をビシバシ受け、うちの建て替えプランには根拠も信念もないことが自分でもよくわかりました。

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でも、不思議にホッとした自分がいたんです。

築50年なら建て替えるのは当たり前、建て替えたら借金は当たり前――。

そう思い込んでいましたが、言われてみれば、いまの物件を直して維持していくほうがリスクも少ないし、僕や家族の身の丈に合っている気もします。

いろいろ調べてみると、最近は古い分譲マンションをリノベーションしておしゃれに暮らしている人がたくさんいるということもだんだんわかってきました。

そうか、うちみたいなダメ物件も、きちんとリノベーションすれば、いまよりもおしゃれで暮らしやすくなって高い賃料で貸せるのかもしれない……。

こうして、税理士さんのありがたい助言のおかげで建て替え計画はめでたく(?)中止となり、空室をリノベーションすることになったのでした。

次回は、「どうやって工事業者を選んだか」について書こうと思います。