80万円オーバーで現実に直面!賃貸リノベは予算との戦い【なんでも大家日記@世田谷】

 

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こんにちは、「なんでも大家」のアサクラです。

今回から具体的なリノベーションの話に入っていきます。

その前に、僕が「リフォーム」と「リノベーション」という言葉をどう使い分けているかをかんたんに説明しておきましょう(言葉の一般的な定義については、ほかの書籍やサイトにゆずります)。

自分にとって、「リフォーム」は、キッチンを新しくしたり、壁を塗り直したりといった単純な修繕や更新工事です。

それに対して「リノベーション」は、部屋のイメージを一新するような工事だと思っています。

※ 【なんでも大家日記@世田谷】過去の記事を読む

 

■「リフォーム」か「リノベーション」か

さて、数室ある空室のうち、手始めに手がけたのは、このマンションが建てられて以来、一度もリフォームされていない部屋です。

僕が経営を引き継いだときには家族の倉庫として使われていましたが、現状では賃貸に出しようがない状態なので、この部屋から工事することになりました。

まずは、間取りをご覧いただきましょう。

広さは30平米で、設備の状態としては第4回でお話しした「失敗リフォーム」が施される前の状態にあたります。

建設業者さんから提示された案は2案。

ひとつめは、予算をおさえて現行の間取りのまま最低限の設備交換をおこなう案です。

もうひとつは、ユニットバスを入れ、洗面の位置も変える案です。

具体的には、前者がおよそ150万円強、後者がおよそ300万円強となります。

「リフォーム」か「リノベーション」か――「失敗リフォーム」の部屋で暮らした苦い記憶もあり、

単に設備を交換するようなリフォームでお茶を濁したくはありませんでした。

そこで、300万円かけてしっかりしたリノベーションをして高い賃料で貸すことをめざそうと考えたのです。

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当時は建て替えをあきらめたせいもあり予算的に余裕があったため、わりと即決してしまいました。

ですが、いま思えば、借り手が見つかるあてもないのに築45年のマンションの一室に300万円を費やすのは、

怖いもの知らずというか、なかなかの決断でした。

本来なら、ほかの業者にも見積もりを出してもらって費用をくらべたり、

書籍やインターネットでもっと相場を調べたりするべきなのですが、あのときはそういう知識も余裕もありませんでした。

 

■とにかくアイデアを出してみるが……

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300万円のプランでは、ユニットバスが入り、洗面が脱衣所代わりにもなり、トイレのドアも前向きでゆったりとしていて使いやすそうです。

これなら、工事によってかえって住み心地が悪くなるような「改悪」の心配はないでしょう。

しかし、このプランにも不満はありました。

提案されたような一体型の洗面が個人的に好きではない。
・間取りを変えてまでユニットバスにしなくてもいいのでは?(この直感はのちにまちがっていたことが判明します)
・玄関から室内へ回り込む動線なので、荷物の運び込みがしづらく、ソファなどは搬入できない可能性もある。

僕としては、「失敗リフォーム」を施される前の浴室・洗面・トイレの並んだ間取りはシンプルで気に入っていたので、

これを活かしつつ部屋の印象を一新したいと考えました。

そこで、インテリアを特集した雑誌や書籍を買い集め、自分が気に入った要素をピックアップすることにしました。

・間仕切り位置を変えてダイニングスペースを広げ、大きめのステンレスキッチンを入れる
・間仕切りの引き戸に光を通す素材を取り入れ、キッチンを明るくする
・洗面と浴室の仕切りをガラスに変え、広い印象を与える
・洗面と浴室をタイル貼りにして、ホテル風のインテリアに
・既存の天井を抜き、「躯体現し」にして開放感を出し、配管などを露出する
・クローゼットをオープンにして部屋の一部としても使えるようにする

こうしてさまざまなアイデアを集めながら、新しい部屋のできあがりを想像するのは、自分の仕事のなかでももっとも楽しい時間のひとつです。

そのリクエストをまとめたのが、この書き込みです。

早速、リクエストを反映させた図面を返していただき、個人的にはかなり気に入りました。

 

■予算を80万円もオーバー!

8th / PIXTA(

ところが、このプラン、肝心の予算が思いっきり超過してしまいました。

なんと80万円のオーバーです(!)。

さすがに、こんなお金は払えません。

当時は自分も知らないことだらけで、タイルやガラストビラやステンレスキッチンが高価で、

ふつうの賃貸にほとんど用いられないことなど、知りもしませんでした。

間仕切り位置の変更だって地味に費用がかさみます。

もし自宅のリノベーションなら予算を度外視して趣味に走っていたかもしれませんが、

さすがの僕でもソロバンをはじけば商売にならないことはわかります。

(費用をかけてさらに高額な賃料をめざすという選択もないわけではありませんが、これはちょっとリスクが高すぎます)

photoman / PIXTA

結局、ステンレスのキッチンも、タイル貼りのホテル風の洗面も、間仕切りの変更もあきらめることになりました。

「世の中の賃貸はなんでみんな同じような設備で同じような雰囲気なんだろう」と思っていましたが、

こういう予算的な制約があったわけだと思い知りました。

ここからどうにかして予算内に収めるために知恵をしぼらなければなりません。

(まあ、世の中の賃貸物件経営者が当たり前に立っているスタートラインにようやくついたともいえますが)

KEIKO / PIXTA

もちろん、最初にもらったプランに戻してそのまま進めるという選択もできます。

ただ、下手にいろいろとリサーチしてしまったせいで自分好みの物件を作りたいという気持ちが高まってしまい、

ただあきらめるのも悔しいと思うようになっていました。

なんとか妥協点と解決案を見出して、自分なりに満足できる部屋作りをしたい……。

次回は、そのためにどうやって工夫したかをお話しします。