モダニズム建築の宝庫!「名建築」を地元建築家がガイドする【島根編】

 

見慣れているいつもの街でも、ふと見渡してみれば、ちょっとフシギな建物に出会うことってありませんか?

いつも素通りしてしまう建物でも、実は有名な建築家がデザインしたものだったり、歴史的な背景があったり、その造形に深い意味が込められていたり……。

建物の“背景”を知れば、いつもの街もキラキラと光り出すものです。

このシリーズでは、さまざまな地域の知られざる“名建築”を、地元の建築家がご紹介します。

あなたの住んでいる街も、登場するかもしれませんよ。

第3回目は、モダニズム建築の宝庫、「島根県」です。

 

【ナビゲーター】

山根秀明さん・・・1985年島根県松江市生まれ。83年工学院大学大学院修了。95年IMU建築設計事務所を設立。「NPO法人まつえ・まちづくり塾」副代表理事。

 

■最古の大社造り「神魂(かもす)神社 本殿」(松江市)

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南北朝時代の建立とされ、最古の大社造りとして、昭和27年に国宝に指定されました。

寺社建築としては出雲大社よりも古く、大社造りの本来の姿を表していると言われています。

本殿は簡素ですが、その力強い構造に、古代の息吹を感じる“パワースポット”を思わせます。

 

■モダニズム建築の代表的作品「島根県庁」(松江市)

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実は、島根県松江市は「モダニズム建築の宝庫」だということを知っていますか?

松江城の景観を損ねることなく絶妙に配置された、島根県庁とその周辺の建築物は、1970年(昭和45年)には、計画的な整備と景観に配慮した設計が高く評価され、日本建築学会賞を受賞しています。

その中心的建築物である島根県庁は、建築家安田臣が建設省時代に設計した、モダニズム建築の代表的作品。

一見すると典型的な庁舎建築ですが、黄金比を取り入れた外観デザインや、庇のすぐ下に大型窓を設けて、雨や雪の日でも採光を確保したディテールは見事です。

 

■建築家・菊竹清訓「島根県庁 第三分庁舎」(松江市)

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2000年にユーゴスラヴィア・ビエンナーレにて「今世紀を創った世界建築家100人」に選ばれた菊竹清訓。

先述の島根県庁とその周辺の建築物は、安田臣氏と、菊竹氏によって手掛けられています。

もともと県立美術館として建てられたこの建物は、現在では県庁分庁舎に転用されています。

水害の多い松江で収蔵品を守るために、コンクリートの太い柱と梁で薄い箱を持ち上げたような形は菊竹氏らしいデザインです。

 

■出雲文化とモダニズムの融合「出雲大社庁の舎(ちょうのや)」(出雲市)

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これも菊竹氏の作品。構造はRC造で、当時の最新技術が用いられました。

出雲大社の祭神が農耕の神であることを象徴し、刈り取った稲を吊るして干す「稲掛け」をモチーフにしています。

粟津潔氏による出雲の雲をデザインしたドアグリルをはじめ、細部に出雲文化を思わせる素材や表現が見て取れます。

1963年に日本建築学会賞作品賞を受賞しています。

 

島根県が、実はモダニズム建築の宝庫だなんて、ちょっとビックリですよね。島根を訪れた際は、ぜひ見てみてはいかがでしょう。

次回はあなたの街にお邪魔するかも?

 

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