学校では教えてくれない!住宅、金融、保険の「ポジショントーク」にご注意 vol.3
住宅コンサルタント兼住宅セカンドオピニオンである、寺岡孝さん著の最新刊『学校では教えてくれない!一生役立つ「お金と住まい」の話』を読んで、今後のライフプランニングに役立ちそうな内容をご紹介しています。
最終回は、「保険」と「老後資金」の話を交えながら、住宅、保険など大きな買い物の際に必ずと言っていいほど遭遇する「ポジショントーク」についてです。

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「貯金がしたい」「資産運用がしたい」「マイホームが欲しい」「安心な老後を送りたい」……。
本書では、誰もが今もこの先も安寧な暮らしを送るために不可欠な「お金と住まい」の話について具体的にかつ分かりやすく教えてくれます。
様々な場面で遭遇する「ポジショントーク」は知識を持って対処を
みなさんは「ポジショントーク」ということばを聞いた事ありますか。
意味深な和製英語ですが「自分の立場で自分に有利(有益)になる発言」という意味です。
もとは金融用語として使われてきたのですが、今は多くのシーンで使われています。

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営業マンが自社の商品を売りたいがために本来比較すべきでない事例を引き合いに出して、論理立てて説明し、その論理に公平性がなくてもストーリーを成立させてしまいます。
さもその商品が魅力的だ!お得だ!と勧めてくるのでついつい契約を結んでしまうのです。
もちろん購入するのは自身の判断ですので、自分の選んだものに後悔なし!と胸を張れる人にはお節介な話に聞こえるかもしれませんが、自分にとって魅力ある商品はひとつではないこと。
そしてどんな商品が自分にとって本当に魅力なのかは、家でも保険でも「仕組み」をきちんと知ることです。
「2人に1人はがんになる」のは80代以上の場合
つい先日のことです。
同世代で会社員の友人が「医療保険に入っていなかったから入った」というので、月額や詳細についてたずねてみました。
ちなみに筆者は現在、掛け金の少ない医療共済保険に入っており月の支払額はとても少ないプランです。
友人は筆者の2.5倍もの保険料を払っているので「結構高いね~」と言ったら「2人に1人はがんになる時代ですよ、言われて不安になって」と契約しました。

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寺岡さんも本書内でまさに同じ事例を述べていますが、正しくは80代以上の場合「2人に1人はがんになる」のが実状です。
大事な主語を隠してのポジショントークだよ!と、思わず言ってしまいました。
会社員の方は、万が一病気になった時、会社の制度を申請して給与補償や見舞金を受け取れます。
自営業でも高額医療費制度などの社会保障を申請すれば医療費は一定額を超えないので、医療保険は保障でまかなえない分を補えばよいという事です。
保険は自分や家族の日常活動に見合ったものを選ぶのが大切です。

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例えば高額のオーディオや家電を買って長く使いたいと強く思う場合は、家電は地震や火災保険で補償対象にならないため、「家財保険」に加入したり、
筆者のように日々の移動は自転車が多いという方は「自転車保険」の加入をおすすめします。
活発な男の子の母親である別の友人は、「お年寄りが多い街に住んでいるので、万が一息子が年配の通行人に自転車で怪我をさせてしまったら」という事態に備えて自転車保険に入ったと言います。
心配性になると、あらゆるものに保険をかけたくなりますが、
何が必要かを吟味し、保険に回す分を貯蓄するという手も有効だなと思いました。
ポジショントークで加入してしまっても、ローン同様「保険も見直し」できる
上記では友人の例を引き合いに出しましたが、筆者自身もポジショントークに乗ってしまったことがあります。
親から「貯蓄保険」はお得ということを聞き、筆者は昨年、貯蓄型の保険に加入しました。
親が現役時代に運用していた貯蓄保険は現在と金利がかなり違うので、運用に成功した方は多くいるようです。
(しかし金利が高い時代に住宅ローンを組んだので、実際にはプラマイゼロなのかもしれませんが)

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成功体験をもとに大きな買い物を我が子に勧める親のポジショントークというのもあります。
筆者が入った保険は、加入後10年以降は、元金が割れずに年を重ねるたびに元金が増えていくという商品で、目的は老後資金を少しでも貯めることでした。
普通預金に預けているよりはお金が増えますが、保険会社が万が一倒産してしまったら利率が減ることもあり得ます。
メリットのことしか考えなかったのが今回の反省点です。
もし寺岡さんの本を先に読んでいれば、老後資金を貯めるという目的なら個人型確定拠出年金(iDeCo)で長期運用することを選択していた気がします。
しかし、ローンや保険は定期的に見直しが必要という事を本書で学んだので、昨年契約した貯蓄型保険を10年後に半分あるいは全額解約し、iDeCoで運用するという方法を知ることができ十分な収穫でした。
iDeCoは60歳までなら加入できるので、今後もっと意欲的に学んで検討したいと思っています。

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筆者は今すぐにローンを組んで持ち家を取得するぞ!とは行動に移せませんが、マイホームを持つことはメリットの方が多いということ、住宅ローンを組む際は、賢明な選択が大切ということを学びました。
いち早く家を買いたい気持ちになりましたが、残念ながら十分な資金がありません。
機が熟したら、寺岡さんが教えてくれたお金と住まいの話を念頭において行動に出ようと思います。
(おわり)
【参考】