掃除は息をすることと同じ!? 働き者のスペインの主婦に学ぶ掃除術
皆さんは、ヨーロッパの主婦の家事レベルはどれくらいだと思いますか?
スペイン人のイメージって、なぜか怠け者ではありませんか?
ラテン系でワインを飲んで、陽気に歌ったりというイメージ。
ところがスペイン主婦は働き者なんです。
スペインでお家を訪問すると、まず玄関だけでということはなく、すぐに中に通されてコーヒーを入れてくださり、恐縮してしまいます。
初めての訪問であれば、寝室も含めて全室を見せてくれます。
いつ、誰の家に訪問しても同じです。常に見せられる状態に保っているのです。
床だってピカピカに磨かれ、チリが落ちているということもありません。
犬を飼っているお宅に行っても同様です。
これはスペインに限らず、ヨーロッパのどこの国も同じなのでしょう。
そこで、筆者が見たスペイン主婦の掃除術についてお話いたします。
掃除をするのは息をすることと同じ!?
スペインに住み始めた頃、スペイン人のお宅はお掃除が行き届いてとても綺麗なので、つい「私、お掃除が苦手で……」と言ったら大笑いされました。
「お掃除が苦手だなんて言う人、初めて見た(爆笑)。だって、お掃除なんて、息をすることと同じだもの。息をするのが苦手なんて言う人いる?」
スペイン人は(多分他のヨーロピアンも)息をするようにごく自然に掃除をするのでしょう。
つまり、普段からこまめに綺麗にするから、汚れも貯まらず、掃除も苦にならないということなのです。
しかし、こういうことを聞くと、日本の家事レベルは高いからと思う人もいるかもしれません。
確かに日本の家事は、キャラ弁を作るといった細やかな作業を必要とする場合もあります。
しかし種類が違うだけで、「レベル」などはないのではないでしょうか。
汚れを溜めない!これがスペイン人流の掃除を簡単にする秘訣
大笑いしたスペイン女性は、それでも掃除のコツだけ教えてくれました。
汚れを貯めない。汚したら、その都度洗う。お風呂は使ったらその場で掃除。
寝室はベッドカバーを使えば、多少ベッドメイキングが下手でもあっという間に整った雰囲気になること、そして無駄なものを置かないこと。
つまり、とにかく全部どこかに押し込む、ただし箱にちゃんと何が入っているか書く。
今さら家を変えるわけにもいかないけれど、クローゼットの多い家に住むのもいいかもしれませんね。
外注できる仕事は任せる、使える機械は使う
ヨーロッパの主婦は、やはり合理的で、人に頼めるものは頼むし、機械で労力を減らしています。
スペインというと、古い時代を背負っているイメージが強く、最先端の設備機器類は少ないのではないかと思っている人も多いかと思います。
しかし、食洗機を使い始めたのもかなり早い時期です。
夫は1960年生まれですが、物心ついた時には(65年頃)ちゃんと食洗機が家にあったと言います。
ご近所のどこの家に行ってもあったそうですから、ごく普通に使われていたのでしょう。
ところで、食洗機の歴史はびっくりするほど古く、1850年頃なんだそうです。
ただし、最初の食洗機はただ食器や鍋を洗うだけで、乾燥機がついたのは1940年頃です。
それにしても、だいぶ以前から機械任せにしていたということがわかりますね。
「モップの専用バケツ」を発明したのはスペイン人だった
モップは手を使って絞らずに、バケツについているザルのような部分に入れて軽く回せば、水気を切れるシステムになっています。
現在は、ヨーロッパ各地で使われているこの方法は、実はスペインで発明されました。
いちいち腰を曲げる必要がない、軽く回すだけなので、食事の用意をしている時に床が汚れたらすぐ対処できるので、いつも綺麗な床を保てます。
「スペイン製のモップの柄はやわだ」と、息子の同級生の母親、ドイツ人女性40代が言いました。
私がキョトンとしていると、さらに「だから、毎週モップの柄がおれちゃうのよ」と続けました。
そのくらい力を入れてゴシゴシと掃除をしているようです。
ドイツでは、日本人は掃除が下手だから家を貸したくないという人がいるようですが、モップの柄が折れるほど力を入れる掃除が普通の国であれば、当然ですね。
ヨーロッパ人の「綺麗に住む」という情熱
それぞれの国で大切にしているポイントは少しずつ違います。
例えばオランダでは、澄み切った窓が大事だそうで、窓磨き専門の人を雇うそうです。
家を綺麗にするということは、人生を有意義に過ごすことの一部という考え方は、どの国の人も同じです。
呼吸をするように、ごく普通に綺麗にして、幸せな気分でいること。そういうところは見習いたいなと思っています。