マンションの「専用庭」の意外なメリット・デメリットとは?
マンションにおいて「広さ」というものを満喫できる施設として、前回ルーフバルコニーをご説明しました。
今回は同様の設備として専用庭のメリットとデメリットについてご説明したいと思います。

ABC / PIXTA(ピクスタ)
専用庭とはマンションの地盤面の階(ほとんどの場合は1階)において、住戸の前に設けられた庭のことをいいます。
専用使用権が与えられており、その住戸の所有者だけが使用できますが、月額1,000円前後の使用料が発生します。
1階住戸のデメリットは改良が進んでいる
傾斜地に建てられたようなマンションを除き、専用庭のある部屋は1階ということになります。
マンションの1階は湿気や底冷え、外から覗かれやすい、防犯面で不安といったマイナスイメージを持たれがちですが、最近は随分と改良がなされているようです。
湿気、底冷え
1階住戸は地面から湿気が侵入したり、底冷えがしたりするというイメージを持っている人も多いと思います。
最近のマンションの場合は対策として地下ピットが設けられている事例がほとんどです。
地面と部屋の間に空間を設けることにより湿気の侵入や底冷えを防止しています。
外から覗かれる
専用庭があれば前面道路から部屋までの距離を確保することができ、また生け垣を設けることにより外部からの視界を最大限遮断するよう工夫されています。
泥棒に遭いやすい
これはどうしようもありませんが、筆者が住んでいるマンションの場合は、1階住戸だけは特別な防犯センサーが設置されています。
専用庭のメリット
1階住戸の最大のメリットは専用庭があることです(専用庭のない1階住戸もありますが)。
広さを満喫できるのはルーフバルコニーと同じですが、地盤面にある専用庭は特有の強みがあります。
土に触れられる
ルーフバルコニーと比べた際の専用庭の最大の強みはこれだと思います。
専用庭の多くは芝生が植えられていますが、ホームセンターで販売している人工芝と比べれば心地よさの違いは歴然としています。
庭に植物を直接植えることの可否についてはマンションによって判断が分かれているようであり、管理会社に問い合わせてみるといいと思います。
下階への影響を心配する必要がない

AOI / PIXTA(ピクスタ)
ルーフバルコニーは下の階の住戸の屋根を使用しているため、音が伝わりやすいという弱点があるのに対し、専用庭においてはその心配はありません。
子どもが思い切り暴れても大丈夫ですし、盛大に水遊びをすることも可能です。
優先駐車場
専用庭付きの1階住戸の場合、優先駐車場が付いてくる場合もあります。
自宅の庭先に車を停められるため乗り降りが大変に便利で、私のような車好きにとってはうらやましくてたまりません。
ちなみに優先駐車場は車の有無にかかわらず強制的に使用料が発生するため、車を持たない方にとっては無駄になります。
専用庭付住戸ならではの施設
専用庭付住戸の場合、上層階でバルコニーとして使用しているスペースを別目的で使用することが出来ます。
テラスやサンルームが設けられているマンションもありますので注目してみて下さい。
専用庭とは関係ありませんが、1階住戸の場合のみ床下収納が設けられている物件もあります。
専用庭のデメリット
一見するといいことづくめに見える専用庭ですが、やはり弱点というものはあります。
専用庭が抱える最大の弱点は意外なところにありました。
隣と上からは丸見え

ABC / PIXTA(ピクスタ)
最近の専用庭は生け垣を設けることにより前面道路からは視界が遮断されるよう工夫されていますが、隣の住戸の専用庭との境はフェンスしか設けられていない場合が大半です。
また上部を覆うものが何もありませんから、当然ながら上層階からは丸見えです。
眺望は絶対にない

Dit Sangthongsuk / PIXTA(ピクスタ)
ルーフバルコニーは高層階の角部屋に設けられている事例が多く、眺望を期待することができます。
一方、専用庭は1階に設けられており、外部からの視界をシャットアウトするための生け垣が講けられているため、眺望は絶対に望めません。
植栽剪定で人が入ってくることがある

papilio / PIXTA(ピクスタ)
専用庭は専用使用権を与えられてはいますが基本的に共用部分であり、植えられている植栽の手入れ(剪定、消毒等)は管理組合で実施します。
そのため業者が入ってくることもありますので注意してください(事前の予告は当然あります)。
最大のデメリットは…上から物が落ちてくること!

dorry / PIXTA(ピクスタ)
筆者が考える専用庭の最大のデメリットは上から物が落ちてくるという事で、煙草の吸殻が落ちていたということは筆者がフロント時代に良く寄せられた苦情です。
このような悪質なものでなくても、風で飛ばされた洗濯物が落ちてくることはよくあることのようで、筆者が住んでいるマンションでも管理室の前によく置かれています。
いかがでしたか。
2回にわたりルーフバルコニーや専用庭というマンション特有の設備についてご説明してきました。
それぞれ一長一短があって使いこなすのが難しい設備です。
使用料がそれほど高額ではないので「損した」ということはないでしょうが、購入にあたっては十分な検討が必要なことだけは間違いありません。