「やる気」だけでは片付けできない!心理学を応用した片付け習慣・その10
「やる気があればできる!」「気持ちが大事!」
何かに取り組もうとしたとき、こんな言葉をかけられたことはありませんか?
例えば、学生時代の部活動や会社でのプレゼン準備などで、先輩や上司から喝を入れられた経験がある方も多いでしょう。
「やる気」というのは魔法の言葉で、まるですべての問題を解決してくれそうな響きがあります。
この「やる気」とは、一体なんなのでしょうか?
当然、やる気は大事!でも、やる気とは何かを考えてみると……。
「やる気」とは、具体的に言えば「意思力」です。

Deja-vu / PIXTA(ピクスタ)
一般的に「あの人は意思の力が強い」という使われ方をしていますね。
この「意志力」をさらに詳しく説明すると、「自制心(セルフコントロール能力)」ということになります。
通常、意思の力が必要なのは、次の2つの場面です。
- やりたいことを我慢する
- やりたくないことをやる
「お腹が減っている時に、美味しいものを食べる」という場面では、意思の力は必要ありませんよね。

xiangtao / PIXTA(ピクスタ)
「お腹が減っているのに、美味しいものを我慢する」ときにこそ、「自制心」という意思の力が必要になります。
では、この「自制心(セルフコントロール能力)」というのは、無限に引き出せるものなのでしょうか?
目に見えない「自制心」の仕組みを解明した、意地悪な実験。
フロリダ州立大学の心理学者であるロイ・バウマイスターは、学生を対象にちょっと意地悪な実験を行いました。
「味覚の調査をします」と言って集めた被験者を、2つのグループに分けます。
そして、目の前に美味しそうなクッキーを置きます。
- Aグループ:クッキーを食べてもらい、その後パズルを解く。
- Bブループ:クッキーを我慢してもらい、その後パズルを解く。

ささざわ / PIXTA(ピクスタ)
ちなみに、実験では絶対に解けないパズルを使いました。
そして「どのくらいの時間パズルを解こうと努力したか」を計測します。
その結果は、「自制心(セルフコントロール能力)」の正体を明らかにしてしまいました。
体力と同じく消耗する!「自制心」は使えば使うほど減ってしまう。
Bグループの被験者(クッキーを我慢した人)は、Aグループ(クッキーを食べた人)に比べて、パズルに取り組んだ時間が60%近くも短くなったのです。

utoi / PIXTA(ピクスタ)
なんと半分以下……。Bグループの中には、実験中に文句や愚痴を言う学生も多かったそうです。
このように「何か(クッキー)に対して自制心を消耗すると、まったく別の何か(パズル)に対して自制心を保てない」という現象は、「自我消耗」と呼ばれています。
つまり、人間の自制心は無限ではないということです。
個人差はありますが、使い続ければいずれなくなってしまうものなんですね。
片付けられないのは、他の何かを我慢しすぎているからかも。
片付け習慣も、身につけるには「自制心(セルフコントロール能力)」が必要です。
それは一般的に「やる気」と呼ばれていますが、実験が明らかにしたのは「やる気」の量にも限りがあるということ。
なかなか片付けに手がつけられない方は、どこかで「やる気」を使い切ってしまっていませんか?

A_Team / PIXTA(ピクスタ)
「ダイエットしている」「仕事がハードな時期」などの場合は、「やる気」の残高が底をついているのかもしれません。
そんな時はまず優先順位をつけて、「やる気を片付けにも残しておける環境を整える」ということを意識してみてはいかがでしょうか。
【参考】