心理学を応用した片付け習慣

「フット・イン・ザ・ドア」って知ってる?心理学を応用した片付け習慣・その12

「フット・イン・ザ・ドア」という言葉を聞いたことはありますか?

直訳すると「ドアの中に足」という意味ですが、ビジネスの現場で頻繁に使われる心理学テクニックです。

たとえば、セールスマンと顧客の交渉の場面。顧客の承諾を得る確率を、一気に引き上げる方法があるとしたら……。

こんな話、自分と関係ないように思えますよね。

いえいえ、実は片付け習慣を身につけるためにも効果があるんです。

イメージは訪問販売?ドアの中に足を入れたら勝ち!

スタンフォード大学の社会学者であるスコット・フレーザーとジョナサン・フリードマンによって、こんな実験が行われました。

戸建住宅を訪問して、庭に「安全運転をしましょう!」という看板を設置させてもらえるよう家主に依頼します。

安全標識

森さん / PIXTA(ピクスタ)

  • グループA いきなり看板の設置を依頼する。
  • グループB 「カリフォルニア州を美しく保つ」という嘆願書に署名してもらう→2週間後に看板の設置を依頼する。
  • グループC 「安全運転するドライバーになろう」という小さなシールを玄関先に貼らせてもらう→2週間後に看板の設置を依頼する。

それぞれの家庭で看板を設置させてもらえた確率は、以下の通りとなりました。

  • グループA:17%
  • グループB:50%
  • グループC:76%

この差は、一体なぜ起きたのでしょうか?

 

「小さなお願い」を承諾すると、「大きなお願い」も断りにくくなる

「あなたの家の庭に看板を設置させてください」というのは、心理的になかなかハードルの高い依頼です。

ところが、前もって簡単に承諾できること(嘆願書への署名や、玄関先のシール)をやってもらうと、ハードルの高い依頼も受け入れてもらえる確率が上がるということが分かっています。

署名

wizard / PIXTA(ピクスタ)

「小さなイエス(承諾)を積み重ねると、大きなイエス(承諾)を得やすくなる。」

これが、「フット・イン・ザ・ドア」というテクニックです。

営業や交渉など、相手の承諾を得ることが必須とされるビジネスの現場では非常によく使われています。

 

自分に使っても効果がある?人間心理の不思議な現象!

実は、このテクニックは自分自身に使っても効果があります。

「片付けするの面倒だな……」と思った時は、まずは一瞬で完了する作業をしてみましょう。

倒れている本を戻したり、テレビのリモコンの位置を整えたり。

本棚

tadamichi / PIXTA(ピクスタ)

「やらないよりは、やった方がマシ」という程度の、呆れるくらい簡単な作業で大丈夫です。

本の整理

Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)

そして、自分に「もう少しだけ片付けできるかな?」と聞いてみましょう。

いきなり「片付けしなきゃ……!」と思って動き出すよりも、「やってみよう」と思う確率が上がるはずです。

「頭で分かっていても効果がある」というのが、心理学の不思議なところ。

面倒な時は、小さなお願いを自分にしてみる。

ぜひ、実践してみてください。

 

【参考】

※ ロバート・チャルディーニ『影響力の武器[第二版]-なぜ、人は動かされるのか-』