片付けが予測した時間内に終わらない理由!心理学を応用した片付け習慣・その17
「心理学を応用した片付け習慣・その16」でもご紹介した通り、人は予測を立てるのが苦手です。
今回は、人が予測する片付けにかかる時間がいかに曖昧なものかについてご紹介いたします。
その片付け、どのくらい時間がかかりますか?
片付けに必要な時間を考える時に、今までの経験を参考にする方も多いでしょう。
「去年はこのくらいかかったから」「似たような片付けでこのくらいかかったから」というのが、判断の根拠になります。

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しかし、一年のうちに数回程度しかない衣替えや大掃除などの所要時間は、記憶も曖昧になりがちです。

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そんな時は、「なんとなく、このくらいで終わりそう」というとても曖昧な判断になってしまうのも仕方ありません。
人の心理が分かる!課題提出に必要な時間を予測する実験
片付けに必要な時間を予測する上で、参考にしたい事例があります。
カリフォルニア大学の経済学教授、ステファノ・デラ・ヴィーニャ氏によって行われた実験です。
被験者となる学生を集めて、課題として論文を作成してもらいます。

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その前に、あらかじめ「自分が論文の提出に何日かかるか」を予測させます。

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そして、課題の論文が実際に提出するまでの日数を計測しました。
人は誰しも自信過剰!? 論文に間に合った学生は少数派だった!
その結果は、誰しも身に覚えのある結果となりました。
2/3以上の学生が、自分が立てた予測より実際の提出が20日以上も遅れてしまったのです。
これは論文なのでピンと来ない方もいらっしゃるかもしれませんが、分かりやすいのは夏休みの宿題ではないでしょうか。

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「最後の3日だけ頑張れば終わらせられる!」と思っていたのが、いざ手をつけてみるとまったく終わらず……。
休み明けに先生に叱られた経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)
論文を提出した学生たちも、同じ心境だったかもしれませんね(笑)。
人は無意識に「都合の良い条件」で考えてしまうもの!
実験を行ったヴィーニャ氏は、「人は自分の能力を高く見積もる傾向がある」と考察しています。
また「すべてが調子良くできたら」という希望的観測に基づいた予測を、そのまま目標設定にしてしまう傾向もあるそうです。
少し大掛かりな片付けについては、「意外とはかどらないかも」「調子の良い時もあれば、悪い時もある」と冷静な判断をするように心がけることが大切と言えます。

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時間に余裕があれば、気持ちにも余裕が生まれます。
あらかじめ「もう少し時間がかかるかも」と考えて予測を立てておけば、きっと片付けも楽しみながら進めることができるはずです。
【参考】