心理学を応用した片付け習慣

片付けがはかどる「魔法の言葉」って?【前編】心理学を応用した片付け習慣・その20

12月に入り、年末の大掃除のことが気になる時期になりました。

窓や換気扇など、普段はなかなか掃除できないところにも手を伸ばす大掃除。

このタイミングで、「いらない物を処分しよう!」と考える方も多いのではないでしょうか。

でも、いざ捨てるとなるとなかなか思い切れない。「いや、これはまだ使うかも」「うーん、旅行のお土産だし……」と、結局あまり整理できず。

そんな方のために、今回は心理学的に見た「片付けがはかどる魔法の言葉」をお伝えします。

ノーベル経済学賞も受賞した心理学者、ダニエル・カーネマンによるプロスペクト理論を参照しながら参りましょう。

直感は正しい?間違い?議論を呼んだ有名な実験!

行動心理学の第一人者であるダニエル・カーネマンは「人の直感」に関するこんな実験を行いました。

あなたも被験者になったつもりで、直感的に考えてみてください。

工場

スイマー / PIXTA(ピクスタ)

「あなたは、3つの工場と6,000人の従業員を雇用する経営者です。今回、不景気の煽りを受けて工場を閉鎖することになりました。しかし、まだ選択肢があります。以下のA・Bのどちらのプランを選びますか?」

  • プランA…3つの工場のうち、確実に1つの工場と2,000人の従業員を救える。
  • プランB…3つの工場のうち、すべての工場と6,000人の従業員を救える確率が1/3の確率である。しかし、2/3の確率で工場も従業員もまったく救えない。

悩ましいですね。答えは決まったでしょうか?

それでは、もし選べるプランが次の2つだった場合はどうでしょう?

  • プランA…3つの工場のうち、確実に2つの工場と4,000人の従業員を失う。
  • プランB…3つの工場のうち、すべての工場と6,000人の従業員を失う確率が2/3である。しかし、1/3の確率ですべての工場と従業員を救える。

それでは、種明かしです。

 

同じ内容でも感じ方が異なる!考え方ひとつで行動が変わる理由。

勘の良い方はお気づきかもしれませんが、最初の選択肢と次の選択肢は理論的にまったく同じことを言っています。

工場

Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)

  • プランA…確実に1つの工場と2000人の従業員を救えます(=確実に2つの工場と4000人の従業員を失う)。
  • プランB…1/3の確率ですべての工場と従業員を救えます(=2/3の確率ですべての工場と従業員を失う)。

狐につままれたような気分になりませんか?

それはあなただけではありません。

実際の実験においても最初の選択肢ではプランAを選んだ人が80%だったにもかかわらず、次の選択肢ではプランBを選んだ人が82%でした。

理論的にはまったく同じことを言っているにもかかわらず、なぜ選ぶプランに違いが出てしまうのでしょうか?

 

「得る」VS「失う」人の反応が強いのはどっち?

最初の選択肢では、「得るもの」に焦点を当てています。しかし、次の選択肢では「失うもの」に焦点を当てています。

つまり、2,000人の従業員を「救う」か、4,000人の従業員を「失う」かです。

この実験で明らかになったのは、「人は得るものに焦点を当てると保守的になり、失うものに焦点を当てるとリスクを取るようになる」ということです。

つまり「失うものを意識すると、人はリスクを取って行動しやすくなる」ということが分かったのです。

大掃除

KAORU / PIXTA(ピクスタ)

では、これを年末の片付けに活かすにはどうすれば良いのでしょう?

後編では、実際の片付けの場面を想定しながら考えていきましょう。

 

【参考】

※ ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?』