施主であるあなたは設計の依頼をして、提案プランが目の前に出されたとしましょう。
それを見たとき、おそらくあなたは、ぱっと見て気に入れば「わ~い」と舞い上がってしまうでしょうし、そうでなければ「う~ん」と悩んでずっとそのプランをみつめてしまったりするでしょう。
何がよくて何がだめだと感じたのでしょうか。客観的に提案されたプランのどこを見ればいいのか。
今回は設計者がプランを発想する視点から追っていき、そのポイントを解説します。
設計者はどのようにプランを生みだしているのか!
私が建築プランをどのように発想しているのか。
それは、「建物をどう配置すればいいか」「リビングからそれぞれの個室へどうつなげるか」「敷地から見える美しい風景をどう生かすか」「敷地建てることができる法的面積を有効活用できる方法から探ってみる」など、どういうアプローチがしっくりくるかを確認しながら検討しています。
そして、実際にイメージをかたちにするとき、できるだけ頭の中だけでつくりこまないようにしながら手描きでスケッチを書き、さらに施主の希望や法規、構造等とどう折り合いがつくのかを捉えなおします。
このとき私は「手に脳みそがある」意識をもって手を走らせています。
施主様が提案をみて「いいな!」と思うのは頭だけでない感覚的な部分でもあります。
それが私たちの手先によって生み出され、心地よさにもつながると考えています。
プランは「いいな!」に対するロジック!
私たちは、上記で施主様が感じた「いいな!」にきちんと意味と理由があることをお伝えし、「そうなんだ!」と理解をしてもらえるようにこころがけています。
そういう案は、プランが成立しています。

KY / PIXTA(ピクスタ)
プランというものは、設計者が「これはいける!」と思ったイメージを論理的に施主様に説明するものでもあります。
そのバランスがきちんと紙を見て、模型を見て、表現されているかということを私は大切にしています。
いいなに対するロジックをプランで展開しているのです。
現在、提案中のスケッチ例をひとつあげてみましょう。
旦那さん奥さんと子ども1人の3人家族に提案しました。
リビング・ダイニングに家族が集まってくる家がほしいと要望されて私が提案したのが、以下の案です。
「いいな」をいただきました!
プランでは、個室や水周りなどの空間をコア状にもうけ、そして、その他の空間をリビング、ダイニングなどのメインの空間としています。
南側には要望にあった畳コーナーをもうけ、縁側から庭にアクセスできるように計画しています。
施主様からは、限られた予算のなかで、家族が集まるリビング・ダイニング空間を可能な限り大きくとりたいという要望がありました。
なので、彼らが「いいな」と思った部分は、メイン空間がひとつながりに大きく確保できていることであったそうです。
そしてさらにプランを見てみると、無駄な廊下もなく、水回りや個室、階段などが合理的に区分され解決できているので、ご自身のなかでも整理ができたとのことでした。
施主様が求める豊かな空間をつくりだすためには、解決しなければならない課題が必ず出てきます。それをプランに落とし込みます。
「いいな」と感じる理由が、なんなのか。
それを頭の中に入れながらプランを眺めると、建物を見るのがさらに面白くなるはずですよ!