心理学を応用した片付け習慣

目標設定を間違えると片付けられない!? 心理学を応用した片付け習慣・その7

片付けを進めようと思っても、手につかないこともありますよね。

「自分でやろうと決めたのに、今日もダメだったなぁ……」こんな日が続くと、片付けのことを考えること自体が嫌になってしまいます。

今回はそんな悩みを抱える人の多くに共通する片付けが陥りがちな問題点と、ビジネスやスポーツの現場でも積極的に取り入れられている「目標勾配仮説」からその対策を解説します。

片付け初心者が陥りがちな大きな間違いとは?

まず、片付け習慣を身につけようと考えた時のことを思い出してみましょう。

その時、あなたはどんな気持ちでしたか?

雑誌で素敵なお部屋の写真を見た直後かもしれませんし、誰かが遊びにくると決まったタイミングだったかもしれませんね。

リビング

YsPhoto / PIXTA(ピクスタ)

そんな時には、やはりテンションが上がっているものです。

そしてその状況では、人はどうしても思い切った目標を立ててしまうことが多いのです。

片付けでいえば「この写真みたいなお部屋を目指す!」とか、「友達に羨ましがられるようなお部屋にしよう!」といった感じでしょうか。

つまり、現状からゴールまでの距離があまりにも遠すぎるのです。

 

1世紀近く前から実証されている「目標勾配仮説」とは?

1884年にアメリカのニューヨーク州で生まれた心理学者のクラーク・ハルは、若くして腸チフスやポリオに感染してしまいます。

一命はとりとめますが、視力の低下や肢体不自由といった後遺症が残りました。

しかし、彼は学者としての半生を諦めることはありませんでした。

書物

SK Photo / PIXTA(ピクスタ)

他人から見れば過酷な状況ですが、その中でも彼は「人のモチベーションはどこから生まれるか」という研究に没頭します。

そして数ある心理学の中でも非常に有名で、現在でも有効性が証明されている研究を発表しました。

これは「目標勾配仮説」と呼ばれ、ビジネスやスポーツの現場で積極的に取り入れられています。

 

「もう少しで目標達成だ!」という感覚が行動意欲を刺激する

この仮説を分かりやすく一言で言うと、「人は目標までの距離が近くなるほど頑張れる」ということです。

逆に言えば、「目標までの距離が遠すぎると頑張れない」ということにもなります。

有名な24時間テレビのマラソンの例を考えてみましょう。

「24時間で100キロを完走する!」と言うと、とてつもなく困難な作業に思えます。

マラソン

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しかし、こう言い換えてみるとどうでしょう?

「普通の速度で24時間歩く」

人の歩行速度は平均で時速4〜5km程度。

つまりこれは、計算してみるとほぼ同じことを言っています(24時間×5km=120km)。

ウォーキング

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つまり、休憩時間を考慮しても実は小走り程度で十分クリアできる目標なのです。

丸1日寝ずに歩くのは確かに大変ですが、「平均で1時間に5キロ歩けばゴール」と考えてみれば自分でも実践できそうな気がしてきませんか?

これが、目標を小分けにした時の効果です。

 

意欲が湧きやすくなる「スモールゴール」とは

片付けも同様で、「この部屋を見違えるように綺麗にしよう!」というよりも「まずはテレビボードの周辺を整頓しよう」という方が達成意欲が湧いてきます。

このように小分けにされた目標は「スモールゴール」と呼ばれています。

先の例で言えば、人によっては「テレビボード周辺」というのも少し大きすぎるかもしれません。

テレビ台

kouchan / PIXTA(ピクスタ)

もっと細かく、「今日はビデオデッキが入っているスペースを掃除する」「明日は引き出しの中身を確認して、いらないものを捨てる」という目標でも十分です。

「綺麗なお部屋」という大きな目標を達成するためには、達成意欲の湧きやすい「スモールゴール」の積み重ねが大事だということを意識してみてはいかがでしょうか。

 

【参考】

※ Ran Kivetz『The Goal-Gradient Hypothesis Resurrected』