現役不動産営業マンの本音「値引きしたくなる客」の条件3つ
多くの人にとって、住まいの購入は一生で最も大きな買い物です。
いざ購入となれば、他人よりも良い条件で購入したいと思うのが当たり前。
私は現役の不動産営業マンであり、現在は複数の営業マンを束ねる立場にあります。
その立場から言える最も大切なことは、担当営業マンに「値引きするならこの人に」と思わせることです。
営業マンは「売主」と「買主」をつなぐキーパーソン
物件の値引きをするかどうかを最終的に決めるのは、物件の「売主」です。
新築物件であれば「売主・事業主」と言われる企業であり、中古物件であれば物件を所有する個人になります。
営業マンの立ち位置は買主とこれらの売主との間にあります。

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通常、売主は買主と直接交渉することはありません。
売主は買主の情報を、営業マンを通じてのみ知ることができます。
売主が「値引きしてでも物件を売りたい」と思う相手は「トラブルなく、スムーズに購入してくれる人」であることが大前提です。
そして売主がそう判断するかどうかは、営業マンの提供する情報次第。
これは営業マンが買主に抱く印象に大きく左右されるものです。

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たとえば、顧客が商談中に大きなあくびを何回も繰り返していたとします。
担当した営業マンが売主に「多忙で寝不足の中、わざわざ物件見学に来られた」と伝えるか「物件に興味がなく、人の話を聞いていない」と伝えるかでは、売主の抱く印象はまったく異なります。
営業マンは御用聞きではありません。背後に、値引きの決定権者である売主がいることを忘れてはならないのです。
「値引きしたくなる客」になる3つのポイント
では、営業マンに「このお客様なら値引きしたくなる」という印象を抱かせるにはどうしたらよいのか? 筆者の経験上、ポイントは3つあります。
1.「意思が明確であること」
これは、「どういう条件なら購入するのか、はっきりしていること」です。
月々の住宅ローンの支払いが10万円以内であれば買う、マンション内に駐車場が確保できれば買う、などです。

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これらを営業マンにきちんと伝えることで、売主にとっても条件が明確になります。
もちろん必ず条件が通るわけではありません。しかし、条件や態度が曖昧なままでは、売主に情報が伝わることはありません。
結果、交渉の土台にすら上がれないのです。
2.「誠実であること」
営業マンも人間です。印象や態度が悪い人のために、わざわざ売主から値引きを引き出そうとは思いません。
営業マンに対して高圧的な態度で接したり、乱暴な言葉を使ったりするのはもちろんご法度。

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また最近多いのは、「個人情報だから」と自分の情報を何も明かさないこと。
住宅ローンの審査や契約前の本人確認のために個人情報は必須です。
過度に何も伝えないことは、「不誠実な態度」になります。
「誠実であること」とはつまり「営業マンと適切なコミュニケーションを取ること」なのです。
3.「購入のための動きが素早いこと」
住宅ローン審査に必要な書類を素早く揃える、親の了解が必要ならすぐに実家に行く、などです。
営業マンにとって営業とは「仕事」です。他に動きの早い顧客がいれば、早く結果を出そうとそちらに注力します。
結果、受けられるかもしれない値引きの機会を逃してしまうことになります。大切な買い物だからこそ、スピード感が大切です。
「騙されないようにしよう」という態度は逆効果

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ここまで述べてきた内容は、皆さんが普段仕事をするときに大切にしていることと同じではないでしょうか。
「営業マンをやりこめよう」「営業マンに騙されないようにしよう」という態度をむき出しにすることは、逆の立場だと嫌ですよね。
営業マンに気分よく売主との橋渡しをしてもらえるよう、相手を1人の人間として尊重すること。これが物件の値引きを引き出すコツなのです。