心理学を応用した片付け習慣

プラスの想像がマイナス要因に!? 心理学を応用した片付け習慣・その14

「もし、この散らかった部屋が綺麗に片付いたら……」

片付け習慣を身につけようとする時、「綺麗に片付いたあとのこと」を想像しない人はいないでしょう。

ピカピカに磨き上げられたキッチン、ホコリひとつ落ちていないリビング。

「綺麗になった部屋を具体的にイメージすれば、片付けに対するモチベーションが上がるはず!」と思いませんか?

実はそれ、心理学的に考えると大間違いだったんです!

「難題をやり切ったあとのこと」を想像すると逆効果になってしまうという、常識に反するような研究結果があります

ここに素敵なハイヒールがあります。それを履いたあなたは…。

ニューヨーク大学の心理学者であるガブリエル・エッティンゲンの実験をご紹介しましょう。

女性の被験者を集めて、2つのグループに分けます。

  • Aグループ……ハイヒールを履いて「足が痛くて辛いわたし」を想像してもらう
  • Bグループ……ハイヒールを履いて「都会を颯爽と歩くわたし」を想像してもらう
ハイヒール

tobe / PIXTA(ピクスタ)

想像してもらう時間をとったあと、それぞれの血圧の変化を測ります。

するとAグループの被験者は血圧が変わらなかったのに対して、Bグループは血圧が下がったのです。

ちなみに、血圧はモチベーションにとって非常に重要な要素です。

血圧が下がるということは「リラックス状態」になったことを意味しており、「やる気が出てくる」状況ではありません。

 

「想像上の満足」だけで、人は本当に満足してリラックスしてしまう

『「パブリック・コミットメント」ってなに?心理学を応用した片付け習慣・その3』でもご紹介した通り、人は「まだやっていないことを周囲から褒められる」だけでも十分に満足してしまう可能性がります。

さらに「まだ達成していないことをやりきった自分」を想像するだけでも、モチベーションを失ってしまう可能性が高いのです。

ガッツポーズ

さわだゆたか / PIXTA(ピクスタ)

つまり、「ポジティブな想像は、実際の行動力を奪ってしまう」ということです。

 

実は逆効果かも?巷に溢れるモチベーションアップ方法。

受験生に対して、「試験に受かった自分を想像しよう!」という号令。

合格発表

Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)

仕事において、「営業成績でトップになった自分を想像しよう!」という激励。

営業成績

freeangle / PIXTA(ピクスタ)

思い当たる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

これらの「想像上の満足」を与えるイメージは、リラックスするには最適です。

しかし、実際の行動を起こすためには逆効果であることが心理学的には証明されています。

 

本当に片付けをしたいなら、想像はほどほどに。

雑誌やインターネットで綺麗なお部屋の写真を見て、「こんな風に暮らしたい!」と思うのも大事なことです。

お手本がなければ、どこを目指せばいいのか分からないですものね。

ただし、片付けに関しては少し注意が必要です。

「綺麗になったあとのお部屋のイメージ」よりも、「お部屋が散らかっているという現実」にしっかり目を向けてください。

汚い部屋

polkadot / PIXTA(ピクスタ)

「これをどうにかしなきゃ!」という危機感も、片付け習慣を身につけるためには必要な刺激なのですから。

 

【参考】

※ ガブリエル・エッティンゲン『成功するには ポジティブ思考を捨てなさい 願望を実行計画に変えるWOOPの法則』