若者の車離れ、テレビ離れが不動産業界に及ぼす影響とは?
不動産業というものは生活全般に関わるものです。
そのため世の中の動きの影響をもろに受けることもあれば、お客様の動きから世の中の意外な流れに気付かされたりすることもあります。
今回は世の中の動きが仕事に影響した意外な事例を3つご紹介します。
1.若者の車離れがマンションの一般会計を直撃

ニングル / PIXTA(ピクスタ)
若者の車離れが進行しているといわれています。
車を持とうとしないどころか車そのものに興味を持たない、更には教習所に通うのは金と時間がかかるから免許も取らないという、車好きの筆者にとっては信じられないような世の中になっています。
これは自動車業界にとって深刻な問題となっていますが、実はマンションの管理組合にとっても重大な問題なのです。

YNS / PIXTA(ピクスタ)
マンション内の駐車場使用料は管理組合にとって管理費に次ぐ収入の柱であり、空き区画が増えることはその分だけ一般会計の収支が悪化することにつながります。
マンションの駐車場はおおむね稼働率7割~8割くらいを想定しています。
郊外のマンションの場合まだまだ問題になっていないようですが、筆者が担当していた都心部のマンションでは5割以下になってしまったところが多く、一般会計が大幅赤字になって繰越金が年々減少し、対応に苦慮したものです。
2.若者のテレビ離れも相当なものがある

Ushico / PIXTA(ピクスタ)
車離れほど話題になっていないようですが、若者のテレビ離れも相当なものがあるようです。
駅前の不動産会社に勤務していた時、地元のケーブルテレビと提携して「引っ越し時に無料でチャンネル調整をやります」というキャンペーンを展開したことがあります。

kou / PIXTA(ピクスタ)
お客様と日時を打ち合わせたうえで訪問してテレビのチャンネル調整をするというものですが、その際にしれっとケーブルテレビの新サービスを紹介するのが真の目的です。
ケーブルテレビ会社から紹介料がもらえることもあって積極的に告知しましたが、1Kタイプを契約した人の約半数が「テレビを持っていないので別にいいです」と言ってきたのは驚きでした。
3.リーマンショックが半年後に筆者の歩合給を直撃

オカキ / PIXTA(ピクスタ)
最後に、世の中の動きが仕事に影響した事例といえば、やはりリーマンショックです。
アメリカの歴史上最大規模の企業倒産であるリーマンブラザーズの経営破綻が発生したのは2008年9月15日でした。
筆者はその頃賃貸マンションの仕事をしていましたが、9月という比較的ヒマな時期であったこともあり、クビになった社員が段ボールを抱えて次々とビルから出てくるニュース映像をそれこそ他人事のように見ていたものです。
しかしこれをきっかけとして発生したリーマンショックと呼ばれる世界規模の金融危機が直ちに日本を直撃し、さらに半年後には筆者の歩合給を直撃しました。

maruco / PIXTA(ピクスタ)
賃貸マンションの営業といえば1~3月がとにかく忙しく、特に3月は賃料の高いファミリータイプのマンションが法人契約の借り上げ社宅としてガンガン動くため、1年で最も大切な月になります。
生命の危険を感じるほど忙しくなるのが常ですが、その分だけ歩合給も相当な額になります。
しかし景気が悪くなれば企業はまず福利厚生に関する支出を削減します。
2009年の3月はファミリータイプの法人契約がほぼなくなり、そのためとても3月とは思えない売上になってしまいました。

チンク / PIXTA(ピクスタ)
いかがでしたか。
マンション管理という仕事は景気変動の影響を受けにくいといわれていますが、電気料金の値上げや消費税増税が組合会計を直撃し、それが管理委託費の減額要求に結び付いたこともあります。
生活と直結している仕事であるためいつも気が抜けませんでした。