連載
写真家小林キユウの森をめぐる冒険

写真家・小林キユウの森をめぐる冒険【週末は森にいます】

森がほしいとずっと思っていた。

けれど世間では、かなり少数派らしく、「家がほしい」「家探しています」と話題にする人は珍しくないが、「なかなかいい森がなくて」と話す人に今まで一度も会ったことはない。

会ったことはないが、僕自身は3年をほど「いい森」を探していた。

そこに小屋を建て、週末、時々そこで過ごすための小さな気持ちのいい森をずっとほしいと思っていた。

「森」はどこにも売っていない

森

3年かけて見つけた小さな森(山梨県清里)。周囲より少し小高く、風通しがいい。

けれど、森はどこにも売っていない。

ネットで検索しても、さすがのアマゾンにも森は売っていなかった。

地方の森林組合みたいなサイトで時々、販売情報などがあったが、面積が東京ドーム100個分ぐらいの広さ(しかもアプローチの道がない)。

とても個人が買えるものではないし、その情報はなぜか西日本に多く、横浜に暮らす僕には現実的ではなかった。

結局、出た結論はどこかの別荘地の一角を買う、という至極単純な手法。

当たり前だが、アプローチの道(しかもアスファルト)もある。

きっと森を買う方法はほかにもあると思うが(例えば個人的なコネがあるなど)、不動産屋が仲介するし、素人にはこれが一番現実的だと思った。

 

で、別荘地っていくらするの?

河口湖

PhotoREX 21 / PIXTA(ピクスタ)

別荘地であれば、確かにたくさん売っている。

ネットでも多くの情報があふれている。あとはエリアを選べばいいだけだ。

横浜から車で2~3時間で行けるエリアに絞ると、自然な流れで富士山麓周辺になった。

河口湖や山中湖のエリアを探し、実際に何度か現地に足も運んだ。

けれど、もともと土地勘もなく、なんだか自分にはしっくりこなかった。

そして、次に八ヶ岳南麓周辺のエリアを考えた。

茅野市

NISH / PIXTA(ピクスタ)

実は僕は長野県茅野市生まれで、八ヶ岳は超地元。

現在も実家があり、年末年始や夏休みなど今も時々帰省するエリア。

土地勘もあるし、地図なしでもたいがいどこにでも行ける。

将来的に小屋を建てるとしても、実家の軽トラや大工道具なども借りやすく、なにかと便利だと思った。

富士山麓と比べれば、若干遠いが、帰省と絡めることもできるし、八ヶ岳エリアに絞ることにした。

でも、別荘地っていくらするの? と最初は見当もつかなかったが、決して多くはないが100万円前後の土地もあるということが分かった(ただし多くが傾斜地)。

予算はとりあえず100万円と自分で決めて、ネットを中心に探し始め、気なる物件があると現地に何度か見にいった。なるべく平坦地を探した。

さらにエリアも絞った。

小淵沢

Hiroko / PIXTA(ピクスタ)

中央道のICでいうと「小淵沢」「長坂」の2ポイント周辺。

ちなみに僕の実家の最寄りのICは小淵沢ICの一つ先の諏訪南IC。ここが重要なのだけど両ICの間には山梨、長野の県境がある。

探したエリアは山梨県、でも八ヶ岳山麓であれば土地勘はある、というのが僕には重要だった。

なぜなら、実家近く(長野県)は避けたいと思った。もちろん、周辺には蓼科などたくさんの別荘地があるが……(理由については次回以降に)。

 

求む!「森」感のある土地。予算は100万円

清里

Moco Lock / PIXTA(ピクスタ)

何度か現地に行くうちに、エリアをさらに絞り、清里を中心に探すことにした。

子どものころから、一番近い夏のリゾート地として家族で何度か遊びに来た思い出もあったし、学生時代は山登りサークルに所属していたので、周辺はよく歩いた土地。

久しぶりに訪ねた清里はバブル期の駅前の原宿を思わせる喧騒はすっかりなくなっていて、品よく落ち着いた雰囲気になっていた。

「清里いいなぁ」と実感。

条件は、予算100万円で、平坦地。周辺にほかに建物があまりなく、「森」感のある土地。

僕自身の中で探す熱意の波があったこともあり、その土地に巡り合うまでに結局3年もかかってしまった。