快適な部屋には窓の断熱方法がカギ!~断熱セミナーに参加して分かったこと
先日、「個人向け不動産コンサルティングサービス」 のパイオニアであるさくら事務所さん主催の断熱に関するセミナーに参加したのですが、断熱と断熱材の大切さについて前回はご説明しました。
今回は年間通して室内を夏の暑さや冬の寒さに対応した、快適に過ごすための具体的な方法について、実際のセミナーに沿って解説していきます。
断熱に大切なことは「窓からの熱の流出入を抑えること」

freeangle / PIXTA(ピクスタ)
住まいの省エネを進めるためには夏の暑さや冬の寒さから室内を守ることが必要ですが、その際に大切なのが窓からの熱の流出入を抑えるということです。
最近の住宅は断熱が進んでいますが、窓だけは断熱が施されておらず、いくら冷房で室内を冷やしていても外気の高い温度が窓を通って室内に侵入してきます。
温度というものは高いところから低いところに流れていきますが、ガラスは熱伝導がよいため夏場は何と外気の熱の74%が室内に侵入し、冬場は室内の熱の52%が外気に流れてしまっているといいます。
そのためここを何とかすれば室内の温度は大きく変わってきます。
とにかく窓から日差しを入れない!
室外の高い温度を室内に流入させないために大切なことは、「とにかく窓から日差しを入れない」ということに尽きますが、その一方で通気性を確保することも大切です。
通風雨戸
雨戸でありながら通風や採光もできるようにしたものが通風雨戸で、ルーバーの角度を調整することにより様々な状況に対応できるようになっています。
網戸のまま外出したり就寝したりすることは防犯面で問題がありますが、通風雨戸は施錠ができるため大変に便利です。戸建の場合、意外に簡単に後付できるようです。
オーニング

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日除け効果のある布製のキャンバスなどを張り出すことにより直射日光を遮るのがオーニングです。
日陰を作り出すだけでなく庭をリビングと一体化させることも可能で、またプライバシーの確保という点でも有効です。
シェード

東北の山親父 / PIXTA(ピクスタ)
シェードも日除けを目的とした生地ですが、オーニングよりも簡単に脱着できるようになっており、日本古来のよしずのようなものといえます。
直射日光を遮ることができる上、通風を確保できるという点でも大いに有効です。
カーテン

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筆者は西向きのマンションに住んでいるため、夏の午後は西日がリビングを直撃します。
そのため長時間外出するときはカーテンを閉めるよう心がけていますが、これだけで帰宅時の室温が全然違います。
二重サッシはもともと断熱対策用だった

ぱぱ〜ん / PIXTA(ピクスタ)
線路沿いや高速道路沿いのマンションで筆者はこれまで二重サッシというものを何回も見ており、その遮音性能のすばらしさについては十分に理解していました。
サッシの内側にさらにサッシを設けるインナーサッシは、元々は断熱を目的として開発されたものだったそうです
熱の伝わりやすさは固体>液体>気体の順とされており、2層のサッシの間に空気をたっぷりと含んだインナーサッシは確かに断熱に有効です。

hapiku / PIXTA(ピクスタ)
マンションの大規模修繕工事で新たに全住戸に設置された事例もあるそうで、今後最も可能性がある手法に感じられました。
またガラスを交換する場合は二層になった遮熱ガラスも検討可能で、その際に間の空気をアルゴンガスにするとより高断熱になります。
表面だけのフルリノベーションにならないために

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断熱材自体は安価であるため、屋根裏に断熱材を敷き詰めれば、それほどお金をかけずに確実な断熱を施すことができます。
また熱は高い場所にたまるため、最上階に換気扇を取り付けることにより室温を下げることができます。
自然エネルギーとして話題の太陽光発電ですが、屋根の大部分にソーラーパネルが載るため熱が室内に伝わりにくくなり、断熱という点でも効果があります。
いかがでしたか。
リフォームというと設備機器やフローリングといった目を引きやすいものに重点を置いたものになりがちですが、断熱や給排水管のなどの目に見えない部分の性能にも十分注意し、表面だけのフルリノベーションにならないようくれぐれも注意してください。
【取材協力】 さくら事務所