造り付けのテレビボードって本当に必要?

新築や改築のタイミングで家具を新しく揃える方も多いと思います。

また、いわゆる「造り付け収納」「造作家具」などと呼ばれる、家の構造と一体になった家具をオリジナルでつくる方法もあります。

見た目がスッキリする、建築時のローンに組み込めるなどのメリットがありますが、注意が必要なものもいくつかあります。

ライフスタイルの変化や様々な事情で撤去するとなると、多額の費用がかかる造り付け家具。

筆者は新築や改築直後の家具のコーディネートをお受けする機会が多いのですが、そんな現場から見えてきた「設置には要注意!」という造り付け家具であるテレビボードについてお伝えしたいと思います。

技術革新の影響が大きい!規格が不安定な「テレビボード」。

造り付け収納

Sunrising / PIXTA(ピクスタ)

2003年から2004年にかけては、テレビが大きく姿を変えた時期でした。

従来のブラウン管に代わり、薄型テレビが市場に登場したためです。

大手電機メーカーが次々を新作を投入し、家電売り場があっという間に薄型テレビに埋め尽くされたことを覚えている方も多いでしょう。

そして、家具にも大きな変化が起こります。そう、テレビボードの規格が一変したのです。

 

600ミリ程度の奥行きが必要だったブラウン管テレビ

ブラウン管テレビ

ENO / PIXTA(ピクスタ)

ブラウン管テレビを載せるためには600ミリ程度の奥行きが必要でしたが、薄型テレビでは450ミリあれば十分です。

実は、この変化によって実質的に消滅しつつあるテレビボードがあります。

それは“コーナーボード”と呼ばれ、かつて人気を博したテレビボードの形です。

 

ブラウン管テレビを置くための「コーナーボード」が人気だった時代も

このコーナーボードは、ブラウン管のような奥行きが大きいテレビを置くための家具として人気がありました。

お部屋の隅に斜めに置くことで、できるだけ奥行きを感じさせないようにテレビを設置できたのです。

空間的には効率の悪い置き方ですが、600ミリという奥行きはそれだけ圧迫感のあるサイズだったんです。

薄型テレビでは、わざわざスペースを取るコーナーボードを使う必要はありません。

壁に沿ってまっすぐ置けば省スペースで置けてしまうからです。

したがって薄型テレビの普及にともなって生産数は少なくなり、今ではあまり見かけなくなりました。

ブラウン管テレビが全盛期の時代は、“造り付け家具”という概念自体があまり一般的ではありませんでした。

そのため「コーナーボードを造り付けてしまった」という方はかなり稀だと思います。

それでも、もし当時から造り付け家具が流行していたら……。

そう考えると、この「ブラウン管から薄型への規格変更」というのはなかなかゾッとする出来事です。

 

今後のテレビの規格はどうなる?

テレビ 壁掛け

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現在のテレビの主流は置き型ですが、薄型になったことで壁掛け型も珍しいものではなくなりました。

テレビ自体にハードディスクを内蔵し、録画や再生のための機器が不要なモデルもあります。

このような壁掛け型(かつ周辺機器が不要なモデル)でも見た目のバランスからテレビボードを用意する方も多いのですが、もはや必需品ではありません。

また、パソコンやスマホの台頭による“テレビ離れ”という言葉が象徴するように、そもそもテレビを置かないという家庭も出てきています。

スマホやタブレット

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「数年前まではよく見ていたけど、そういえば最近ほとんど見ないね」という方もいらっしゃるでしょう。

そして今後、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)といった映像技術が進歩すれば、もしかしたら各々がヘッドマウントディスプレイを装着して映像を楽しむ時代になるかもしれません。

kou / PIXTA(ピクスタ)

そうなった時、もはやテレビボードは無用の長物。

かつてのコーナーボードのような運命を辿るかもしれません。

それが造り付けだったとしたら、固定されているだけに取り扱いにとても困ることになりますよね。

時代の流れに応じてデザインやサイズの変化が想定される家具は、造り付けではなく置き型で対応するのがベターといえるのではないでしょうか。

(written by  深澤 将)