認知症は、不明確な物事ばかりの世界にいる状態!? 発病時に陥る不安

風邪やインフルエンザは、それぞれの体験を通してどんな病気かわかります。

ところが認知症は頭で理解していても、本当のところは発症した人しかわからない病です。

そんなよくわからない病について、実際に発症した方の意見を紹介してみたいと思います。

すべてのことが不明確でぼやっとした感じ

認知症医療の第一人者で精神科医の長谷川和夫氏は昨年、自身が認知症を発症していると明かしました。

長谷川氏は1974年に認知症診断の物差しとなる「長谷川式簡易知能評価スケール」を公表し、今日まで多くの医療現場で使われています。

氏の場合は、それほどひどい症状でなく、正常な状態と認知症とを行ったり来たりするという比較的軽度な認知症です。

そんな氏が語ったのは、認知症って実はこういうことだった、という自分なりの体験でした。氏が痛切に感じているのは、確かさが欠如するということでした。

老人 悩む

freeangle / PIXTA(ピクスタ)

今がいつなのか、今どこにいるのか、目の前の人が誰なのか――。

そうしたすべてのことが不明確ではっきりしないということです。

 

不明確なことは何度も確かめたくなる

病気のようで病気でないような、単なる物忘れと思われがちな初期の認知症のころは、同じ行為を何度も繰り返すことがあります。

たとえば家を出て行くとき、ドアに鍵をかけたかどうかが不安になり、途中で引き返して確かめる。

ドアに鍵

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あるいは、昔の同級生や先生の名前がわからなくなり名簿を調べたり、学校に電話することも。

同窓会名簿

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わからないままだと不安が募り、それが原因でパニックになることもあります。

 

はっきりしないことが大きな不安と恐怖になる

認知症の人は、よく「怖い、怖い」と口にします。

何が怖いかと聞くと「よくわからない」と答えます。

悩む老人

B612 / PIXTA(ピクスタ)

おそらく何事もはっきりしないというのは、とても恐いことだと思われます。

もし自分が急に知らない町で目覚めたとします。しかも、そこに至った経緯さえもわからない。

え、ここはどこ? 最初は不思議に思うでしょうが、やがて怖くなる。

それが常に起きている状態が、認知症ではないでしょうか。

 

笑顔とやさしい声がけで安心感を与える

長谷川氏は週に一回、デイサービスに通うようになり、そこでの体験はとても心地良いとも語っています。

自分には馴染みのない職員でも、彼女らは自分のことをよく知っていてくれ、とても安心感があると言います。

ボーッとしていると、長谷川さんどうしたの、何か困ったことでもあるの?と声がかかる。それがとても嬉しいと感じているそうです。

デイサービス

kou / PIXTA(ピクスタ)

こうした声がけはどこのデイサービスでも行うものですが、こんな一言だけで安心して過ごせるそうです。

 

やさしく接すれば相手もやさしくなれる

不安に苛まれる人が多い認知症ですが、誰かが常にそばにいて声をかけてあげるだけで安心できるのです。

時には手を取って、笑顔とやさしい言葉で話しかけてあげましょう。

デイサービス

kou / PIXTA(ピクスタ)

多くの認知症の人はこちらの対応次第で笑ったり、怒ったりします。

言葉もそうですが、相手の顔の表情をよく見ています。

やさしい言葉でも顔がこわばっていれば、不安になってしまいます。

それはあたかも人と接することの基本的な行動であり、心のクスリのようなものなのかもしれません。

常にやさしい気持ちで接することができるといいですね。

 

【参考】

※ 認知症ねっと 長谷川式認知症スケール