異常気象でも大活躍!コンクリートのこと、どれくらい知ってる?

猛暑に加えて豪雨、台風、竜巻、地震と、この夏は自然災害のニュースに頻繁に接しましたが、その中で「鉄筋コンクリートの丈夫な建物に避難するようにしてください」という呼びかけを聞くことが多かったように思います。

今回は丈夫な建物を建てるために不可欠なコンクリートについて、いろいろとご説明したいと思います。

そもそもコンクリートとは?

コンクリート

ミック / PIXTA(ピクスタ)

実は大半が砂と砂利

コンクリートはセメントに砂利や砂を混ぜ、水を加えて固めたものです。

コンクリート=セメントと思っている方も多いのではと思いますが、コンクリートの中で砂利や砂(これを「骨材」と呼ぶ)が占める割合は意外と高く、体積比で何と約7割を占めています。

 

歴史は古いが建材となったのは19世紀以降

イスラエルの紀元前9000年の遺跡からコンクリートを使用した跡が発見されており、人類とコンクリートの関係は大変に長いのですが、建材として使用されるようになったのは、鉄筋コンクリートが発明された19世紀以降になります。

強度、コスト、施工のしやすさの点で優れているため、コンクリートは現在では幅広く使用されています。

 

日本初の鉄筋コンクリートは?

軍艦島

zak / PIXTA(ピクスタ)

日本で最初に鉄筋コンクリートが使用されたのは明治36年で、琵琶湖疎水に架かる橋で使用されました。

鉄筋コンクリートといっても当時はまだ専用の鉄筋が無く、疎水の建築工事で使用したトロッコのレールで代用したそうです。

筆者にとって鉄筋コンクリートといえばマンションですが、日本初の鉄筋コンクリートの集合住宅は大正5年に竣工した長崎の軍艦島にある7階建ての建物で、昭和49年に軍艦島が閉鎖されるまで使用されました。

 

お互いの弱点を補いあう鉄筋コンクリート

コンクリートは圧縮には大変に強いのですが、引っ張る力には弱いという弱点があります。

そのため圧縮には弱いが引っ張りに強い鉄筋と組み合わせ、お互いの弱点を補い合うことにより、あらゆる力に対して十分な強度を保つことができるようになりました。

鉄は錆びると膨張しますが、弱アルカリ性のコンクリートで包むことによりこれを防止することができます。

 

工事現場におけるコンクリート

打設の際の注意点

鉄筋

極楽蜻蛉 / PIXTA(ピクスタ)

鉄筋コンクリート造の建物の工事は、まず鉄筋を組むところから始まります。

マンションの基礎

ABC / PIXTA(ピクスタ)

次いで鉄筋の周囲にコンクリートを流し込むための型枠を設置しますが、このとき鉄筋を覆うコンクリートの厚さ(かぶり厚という)が一定以上になるように設置しなければなりません。

コンクリートミキサー車

極楽蜻蛉 / PIXTA(ピクスタ)

枠の中にコンクリートを注入する作業を打設といいますが、均一性を確保して隙間や気泡などが入ることを防止するため、文字通り「打ち込み」ます。

コンクリート打設の際に作業の中断があると、前に打ち込んだコンクリートと後から打ち込んだコンクリートの継ぎ目部分が一体化しない「コールドジョイント」という状態が発生する恐れがあります。

そのため一旦打設作業が始まると、何が何でもキリのいいところまでは作業を継続しなければなりません。

ビルやマンションの建設の際は周辺の住戸と建築協定を結んで作業時間や休日を細かく定める事例が多いですが、その際の例外として「コンクリートの打設」という事項が必ず書かれています。

 

コンクリートと水の悩ましい関係

コンクリートの強度に関して水の量は大切で、セメントに対する水の比率を示す「水セメント比」は重要な数値となっています。

このときセメントの量が多いほど、また水の量が少ないほど強度が大きくなるといいますが、それが行き過ぎると粘りが強くなりすぎ、型枠の隅々にまで隙間なくいきわたらせることが困難になります。

また作業効率も低下して仕事が大変になるため、現場の判断で勝手に水を足すというようなことが横行した時代もかつてはあったようです。

 

すべては鉄筋を錆びさせないため

爆裂

さわだゆたか / PIXTA(ピクスタ)

鉄筋コンクリートは弱アルカリ性のコンクリートが内部の鉄筋を守っていますが、空気中の二酸化炭素や風雨による中性化が進行して鉄筋にまで到達してしまうと錆により膨張し、それによってコンクリートが剥がれ落ちて鉄筋が露出する「爆裂」という現象が発生します。

鉄筋コンクリート造の建物は外壁タイルや塗装などで表面を覆っている場合がほとんどですが、これはコンクリートを空気から遮断して中性化を少しでも遅らせるためのものであり、見てくれをよくするためではありません。

マンションで10数年に一度の頻度で実施する大規模修繕工事も同様の狙いで行われるものです。

 

ダムはなぜタイルや塗装が不要なのか

ダム

T2 / PIXTA(ピクスタ)

以上のことはすぐに理解できることだと思いますが、「それならダムは一体何なんだ?」というのが筆者にとっての疑問でした。

タイル貼りのダムなど存在しませんし、ダムの大規模修繕工事という話も聞いたことがありません。

ダムの目的は水を堰き止めることにあり、中性化の進行しやすさという点ではマンションの比ではないはずです。

実はダムには鉄筋が使用されていないという話を聞き、長年の疑問が文字通り氷解しました。

川の水を堰き止めるためのダムの場合、圧縮に強ければそれで十分であり、引っ張りに対する強さというものは一切必要ありません。

内部に鉄筋がないということはセメントと砂と砂利だけでできているということになり、ダムはいわば巨大な石灰岩の塊ということができます。

これなら何年たっても内部が劣化するということはないのです。

 

注意して街を歩けばセメント工場を見かけることは多い

セメント工場

スイマー / PIXTA(ピクスタ)

コンクリートは時間の経過とともに変質するため、工場でミキサー車に積み込まれた生コンクリートはできるだけ早く施工現場に運ばなければなりません。

工事現場がどこであろうと90分以内に運び込まなければならず、そのためセメント工場は日本中に均一の間隔で設置されていて移転することはほとんどないという話を聞いたことがあります。

注意して街を歩いていればセメント工場を見つけることは多いと思います。

その際にこの話を思い出していただけると幸いです。