1万5000件以上が介護で虐待!介護者の暴力は認知症への誤解が原因?

在宅介護では暴言や暴力が絶えないともいわれています。このいわゆる虐待は大きな問題でもあります。

認知症の人に接するうえで最も大切なことは何か。

このような悲劇を招かないために、一度立ち止まって考えてみる必要がありそうです。

最も暴力に発展しやすいのは子が親を介護するケース!?

平成27年度、家族や親族による虐待数は15,976件でした。これは前年と比べて237件増えています。

介護 虐待

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介護者と要介護者の関係を大きく分けると、子が親を介護、妻が夫を介護、夫が妻を介護、妻が姑を介護、という4つのケースがあります。

この中で最も感情を乱しやすいのは、子が親を介護するケースです。

また認知症の人は感情のコントロールがうまくできないため、何かと怒ったり頑固になったりします。

しかも言うことを聞かないうえ、暴言や暴力までふるうこともあります。

その結果、介護者がストレスを抱え、今度は介護者による虐待が始まることも少なくありません。

 

虐待で最も多い!息子が親に対して行う暴力

平成27年度の虐待事例15,976件のうち、息子が全体の40.3パーセント(7,099件)を占めています。

暴力

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以下、夫の21.0パーセント(3,703件)、娘の16.5パーセント(2,906件)の順に続いています。

では、なぜ息子の暴力が多いのか。

それは、もともと力の差があるうえ、身内という遠慮のない関係が災いし、暴力をふるいやすいのではないかと思われます。

 

在宅介護で虐待が起こる最大理由はストレス!

息子や娘は、自分を育ててくれた親をいつまでも気丈で尊大な人と思いたいものです。

しかし、幼児のようにわがままや身勝手な振る舞いをする親に、我慢できなくなり、つい手を挙げてしまうのではないでしょうか。

厚生労働省の調査によると、在宅介護で虐待が起こる最大の理由は「介護疲れ・介護ストレス」とのこと。

介護ストレス

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徘徊や異常行動を起こす親に振り回されると、疲れ、ストレスが溜まり、やがて冷静に対処することができず、大声で怒鳴ったり、手が出たりします。

 

病に対する理解不足は悲劇を生む根源

同じ質問を一日に何十回もされると、多くの人は冷静さを失うでしょう。

でも、それが認知症なのです。

言ったこと、聞いたことをすぐに忘れる病が認知症なのに、性格が悪いとか頭がおかしいとか、本気で思ってしまう人もいます。

口論

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認知症で最も悲しいことは、こうした誤解による関係性の崩壊です。

では、どうすればいいのでしょうか?

最大の防止策は、認知症を理解することです。

多くの介護者が認知症を理解しないまま介護をしていると考えられます。

介護方法は知っていても、病気についての理解がないため基本的な接し方ができない人が多いのです。

これは悲劇の根源でもあります。

認知症の人は病人である前に人なのです。

汚い言葉には汚い言葉で返します。優しい言葉には優しい言葉で返します。

 

認知症を理解し受け入れる寛容さが大切

認知症は治らない病気、認知症になったら家庭は崩壊する、などの言葉が独り歩きし、誤解を信じ込んでいる人はたくさんいます。

認知症を理解することは相手を理解することであり、それによって憎まない・怒らないにつながります。

介護

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病を憎んで人を憎まず。

難しいことかもしれませんが、病気を理解し真正面から受け入れる寛容さが私たちには必要なのだと思います。

 

【参考】

※ イリーゼ 高齢者虐待を防止するには?介護現場の実態と今後の解決策

※ 厚生労働省 医療経済研究機構 「家庭内における高齢者虐待に関する調査」概要

※ 厚生労働省 平成27年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果