介護者の約8割が虐待未遂の経験あり!「認知症」介護での怒りの抑え方
親を介護していて、つい怒鳴ったり叱ったりすることがあります。
怒りはなかなか抑えづらいもので、抑えれば抑えるほどつい言ってしまいます。
自分でいかに感情を制御できるかが、介護で苦しまないためのコツでもあります。
そんなときは我慢するのではく、あきらめることをオススメします。
今回は介護者の怒りを抑えるために考えるべきことをご紹介いたします。
同じ行動を繰り返す親につい怒ってしまう原因は?
認知症の親が問題行動をとったとき、つい怒って大声を出すことがあります。
認知症ONLINEが行ったアンケートによると、介護家族の約8割が虐待しそうになったと回答しています。

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例えば、仏壇の供え物を食べたり、トイレの水で手を洗ったり、鼻をかんだティッシュをポケットに入れたり、あるいは家にいるのに「はやく家に帰りたい」と言ったときなどです。

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最初はそうした行動に戸惑いますが、何度もやられると感情が乱れて怒りへと変わります。
本当は怒りたくない、だけど反射的に暴言が出てしまう。そして、後悔する……。
こうしたことの繰り返しに自分を責め、次は我慢しようと思います。
しかし、問題行動を見た瞬間、どうしても怒鳴ってしまいます。
怒るより“あきらめた”ほうがお互いにラク!
そこで提案したいのが、どれか一つだけ諦めてみること。

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親の問題行動の中で一つだけ選び、今日は怒らないことにしよう、と決めてしまうのです。
そう強く決意すると、不思議と冷静でいられます。
どちらかというと諦めに近い心境ですが、怒らないでやり過ごすことができます。
例えば、鼻をかんだティッシュをポケットに入れても、見て見ぬ振りをすること。

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やがて時間が経ってから、「ポケットのティッシュ、捨てたほうがいいよ」と言います。
すると、え、何これ?と言って、親はティッシュを捨ててくれるはずです。
問題行動にも、本人には本人なりの理由がある
実はこうした問題行動にも理由があります。
鼻をかんだティッシュをポケットに入れるのは、ティッシュがもったいないから。

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ティッシュなどがない時代に育ち、紙を大切に使うという意識が働いているのかもしれません。
すべての問題行動になんらかの理由があると思えば、少しは感情的にならずに済みます。
これは子育てにもいえることでしょう。
怒っても変わらないなら、こちらの考え方を変える
目をそむける、諦める、といったことは一般の人にはほめられたものではないでしょう。
しかし、介護ではよくあることです。自分が感情を荒げなければ相手も落ち着いています。
怒っても何も変わりません。
相手が変わらないのなら、こちらが変わるしかありません。
まずは自分が何に対して怒るのかを知ること。
それを一つずつ潰していくようにあきらめていくことが、怒らないコツだと思います。

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まあ、いいか。少しぐらい汚くたって死にはしないわ。
そう思えば、気持ちは楽になり、今まで怒ってきたことがバカバカしく思えてくるのではないでしょうか。
いい意味で、あきらめる選択は介護において有効だといえます。
【参考】