間取りから学ぶ二世帯住宅の基本タイプ~特長と暮らし方のコツ

二世帯住宅は、多くが親の家の建て替えと合わせたタイミングがいいようです。
初めて二世帯住宅を考える方へ、間取りの特長や暮らし方のコツを基本から解説します。

特に都市部の子世帯にとっては土地代なしで家を持てるメリットが大きく、さらに子育ての協力も得やすいため、検討する人が増えています。
また、将来的に相続がスムーズになる点も見逃せません。

今では、マイホームの選択肢のひとつが二世帯住宅になっています。
費用面の優遇、子育てや家事などで協力し合える……と、メリットもいろいろあるようです。

二世帯住宅は、数年先より10年先、20年先を視野に入れた計画を!

2世帯住宅メイン
二世帯住宅は、誰と住むのか、その関係性で設計プランが違ってきます。

妻にとって夫の親と暮らす場合、独立タイプが賢明です。
妻側の親だと同居で大丈夫と思いがちですが、自分たちの空間にサブ的なダイニングキッチンやご主人がくつろげるスペースがあると良いです。

もし親を呼び寄せて二世帯を建てる場合は、親が寂しくならない配慮が大切です。
子世帯と顔を合わせやすい間取りを考えたいもの。

さらに長期的な視野も入れ、いずれ部屋が空いた際、どう使うのか。
例えば、ある程度の広さがあり玄関が2つで水回りも独立していれば賃貸転用も可能になります。

数年先より、10年先、20年先まで予想して二世帯住宅を建てることをオススメします。
 

知っておこう!二世帯住宅の基本タイプ

基本タイプは3つ。
分離型の独立タイプと一部共有の共用タイプ、同居に近いけど専用空間も充実させた融合タイプとなります。

独立タイプ

2世帯住宅独立型

壁で仕切り、あるいは上下で分けて外階段をつけ、完全に生活空間を分離させたタイプ。
玄関をはじめ水回りや食事空間も別で、言わばマンションの隣同士に近いイメージです。

二世帯住宅

千和 / PIXTA(ピクスタ)

メリット

  • 家族がすぐ近くにいる安心感を持ちつつ、プライバシーを保ちやすい
  • 2世帯それぞれの生活時間のリズムや習慣を崩さず暮らしやすい

ここに注意!
壁や天井で完全に仕切り、玄関も設備も2軒分必要になるので、建築コストがアップ!

 

共有タイプ

2世帯住宅共有型
玄関、浴室などの設備を一部共有しながら、お互いの生活ゾーンを分離させたタイプ。
同じ玄関を入り、1階に親世帯、内階段を上がった2階に子世帯が住むパターンが一般的

二世帯住宅 玄関

K.M.S.P. / PIXTA(ピクスタ)

メリット

  • 適度にプライバシーが保たれ、お互いの空間への行き来もスムーズ
  • 玄関や水回りなどの設備を共有するぶん、建築コストが抑えられる

ここに注意!
設備を共有で使うため、お互いの生活時間帯や動線を邪魔しない間取りの工夫が必要!

 

融合タイプ

2世帯融合型
基本的な生活空間を共有し、家事・育児や生活コストの効率化を図るタイプ。
それぞれサブリビングやミニキッチンなど専用空間も設け、完全同居とならない間取りが特長

キッチン

K.M.S.P. / PIXTA(ピクスタ)

メリット

  • 共有部分が多いので、3タイプのなかで最も建築コストを抑えられる
  • 専用空間があるため、同居に近くても適度にこもれてストレスをためにくい

ここに注意!
全員が集まる場所と専用空間のメリハリをつけ、とくに義理の間柄でも居心地よくできる工夫が必要

 

間取りから学ぶ二世帯住宅

共用タイプ

共有の玄関からホームエレベーターで昇降。親世帯を日当たりのよい3階に!
玄関共有の二世帯住宅。
親世帯は日当たりのよい3階、共働きと学校で昼間は家を留守にしている子世帯は1・2階とし、お互いの暮らしを尊重する住まいを実現しています。
3階への移動はホームエレベーターの活用でラクラク!ゆったりとした2階の子世帯LDKにも行き来しやすく、3世代での食事も楽しめます。

2世帯共有_間取り

2世帯住宅共用タイプ間取り

ポイント1. エレベーターで親世帯のムリのない3階住まいが実現
以下の写真は、3階建ての外観。
玄関ポーチを広く取り、親が近所の人と気軽に会話を楽しみやすい工夫になっています。
2世帯住宅3階建て

そして、3階を親世帯に充てられたのは、ホームエレベーターがあるから。重い荷物運びにも大助かりなのです。

ポイント2. 子世帯のLDK はアイランドキッチンで広々と開放的!
2世帯住宅共用タイプ
3世代でゆったりと食事や会話を楽しめる2階の子世帯LDK。
アイランドキッチンは数人で囲みやすく、壁沿いの長いベンチで大人数のホームパーティもOK!

(設計/設計事務所アーキプレイス プロデュース/OZONE家design 撮影/大槻夏路)

融合タイプ

小さくても専用空間を確保し、玄関と水回りは共有で気配がよくわかる

親世帯は山が望めるよう角度をつけた平屋、子世帯は2階建てとした二世帯住宅です。
両世帯の間に共有の玄関と水回りを設け、高齢の親の気配を感じつつ、子世帯の専用空間も十分にキープしています。

親世帯は広いワンルーム仕様で、動きやすさと見渡しのよさが特長です。

2世帯住宅融合型
2世帯住宅間取り融合タイプ

ポイント1. ゆったりとして動きやすい水回り。着替えもスムーズ!
2世帯住宅融合タイプ
水回りは広めの設計で動きやすく、壁と天井にはサワラの板を張ってまるで和風旅館のよう。
洗面室兼脱衣室に設けたベンチで、高齢の親も着替えがスムーズにできます!

玄関ホールから子世帯と親世帯が視界に。親世帯は引き戸とフィックス窓の設置で、出入りしやすく、見守りもしやすい
融合タイプ玄関ホール
ポイント2. 庭のテラスは二世帯が出会う共有のリビング
2世帯住宅融合タイプ外観
親世帯はキッチンから、子世帯はリビングからそれぞれ出られるデッキと石張りのテラス。
二世帯が顔を合わせてくつろげる、庭と一体化した第2のリビングになっています。

(設計/熊澤安子 撮影/大槻夏路)

独立タイプ

家を挟む2つの接道を生かし、それぞれの玄関を建物の反対方向に設置。将来は賃貸への転用も可能!

高低差のある敷地に建てられた二世帯住宅です。
東西2方向の接道を利用し、玄関を世帯別に設置。1階を親世帯、2階を子世帯の完全分離型を実現。
子世帯南側のデッキは孫たちの遊び場になっていて、ここから1階の親世帯の気配を感じられ、声をかけられる仕組みになっています。

2世帯住宅独立型
2世帯住宅独立タイプ間取り

ポイント1. 仲はいいけれど玄関は別にして、適度な距離をキープ
親世帯は平らな西側道路、子世帯は高低差のある東側道路から外階段でアクセス、と振り分けて適度な距離をキープ。
将来的に賃貸への転用も可能なように、生活機能を完全に分離させた設計になっています。

ポイント2. 親世帯の暮らしを思いやるアイデアと仕様をプラス
2階バルコニーは1階親世帯の天窓とつながり、明かりが消えると就寝の合図。
子世帯は静かにするよう配慮されています。
2世帯住宅独立タイプバルコニー

子世帯の廊下は床下に防音シートを敷き、音漏れを軽減しています。
2世帯住宅独立タイプ子供部屋

(設計/中村高淑 撮影/中村風詩人)