親と同居経験者の7割以上が介護者!親を介護しやすい二世帯住宅とは?
親と同居しようと思っている人の中には、二世帯住宅を建てる人が多くいます。
それらの人たちには、やがて介護という現実と向き合うことになります。
では、介護者とどのようにして家に住めばいいのでしょうか?
そこで、気になる介護がしやす住まい「介護住宅」についてご紹介します。
同居の最も多い理由は「親の老後が心配だから」
日本人の平均寿命が90歳に迫りそうな昨今ですが、すべての人の老後が明るいわけではありません。
なぜなら、2025年には65歳以上の人の5人に1人は認知症を発症するという現実が立ちはだかっているからです。
つまり、今は大丈夫でも10年後、介護している可能性は高いということです。
親と別々に暮らしていた息子や娘が、再び親との同居を考える理由として最も多いのが、「親の老後が心配だから」というもの。

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特に片親だけになってしまった場合、同居の可能性はより高くなります。
ちなみに、父一人または母一人という片親比率について旭化成ホームズが調べたところ、50代・60代では2割ほどですが、80代になると8割にも達します。
また、親子同居経験者に限ると、じつに7割以上が介護を経験しているという調査結果もあります。
介護がしやすい「共用型」二世帯住宅
親世帯と子世帯が同居となった場合、二世帯住宅を新築するという人も多くいます。
二世帯住宅には独立型と共用型があります。
独立型はキッチン、浴室、玄関などすべてが親世帯と子世帯とで別々になっている住宅です。

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親世帯が元気なうちは互いのプライバシーが保ちやすい独立型がよいかもしれません。
一方の共用型は、基本的な生活空間を共用し、サブキッチンやサブリビングなどのサブ空間を設けた住宅です。

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3階建住宅では、2階に共有のLDKをつくり、1階に親世帯、3階に子世帯の居室をつくることがよくあります。
2階で互いに交流するよう、メインとサブの空間を使い分けています。
老親の介護に向いているのは、共有部分が多い共用型二世帯住宅でしょう。
共用型は食事を一緒にとったり、リビングでくつろいだりと親を常に見守りながら生活することができます。
「娘夫婦同居」と「息子夫婦同居」の違いは何?
同じ同居でも娘夫婦と息子夫婦とでは親子関係がかなり違ってきます。
息子夫婦同居の場合、嫁姑問題に配慮して独立型にすることが多いようです。

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娘夫婦の場合もそれなりに互いの立場を考えなければならないでしょう。
息子夫婦同居の特徴として、親は子世帯のところへあまり行かないという傾向があります。
これは、お嫁さんへの気遣いの表れでもあります。
いざ介護することになっても親は自分たちだけで介護することが考えられますので、一人だけで介護しないよう、協力しあうことを心がけましょう。
主介護者の負担を軽くするルールづくり
認知症を発症すると実の親子でも仲が悪くなったり、介護放棄したりするなど、これまでの関係が悪化することがあります。
意外にも血縁関係のない夫や妻のほうが介護しやすいこともあるでしょう。
認知症の初期には親も元気なのでよく動き、いろいろな問題を起こしやすいので、見守りや付き添いで主介護者は心身ともに疲れます。

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家族みんなが協力できるところは分担し、主介護者の負担を軽くするようルールを作ることも大切です。
家事や見守りは子どもでもできる部分はたくさんあります。

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介護で家族が一つにまとまるチャンスであると考えれば、協力は得られると思われます。
移動のスムーズさがカギ!介護がしやすい加齢配慮の二世帯住宅
現在の住宅は家族の成長に合わせて、間仕切りや空間が変化しやすいよう設計されていることが多いといわれます。
同じように、二世帯住宅を新築する場合、加齢による体力の変化にスムーズに応じられる住まいであることが重要です。
介護で最も問題なのは移動で、想定すべきルートは3つあります。
- トイレへの移動
- リビングへの移動
- 外への移動
トイレの中では車椅子が回転できる広さを得るため、洗面と間仕切りを設けないワンルームにするなどの工夫が必要です。

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リビングは家族との団らんを楽しむ場であり、できるだけ一緒に過ごせるよう通行しやすいルートにします。
外出のルートは、デイサービスや病院のほかに買い物や行楽に出かけやすいよう、玄関、階段、玄関アプローチに配慮が必要です。

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これらのルートについては、車椅子でも通れる幅であることが大切です。
段差や障害物をなくして、スムーズに通れるようにしておきましょう。
介護住宅について、まだまだ個々の家庭で対処している状況ですが、親との同居やリフォームを考えている方は、ぜひ参考にしてください。
【参考】