心理学を応用した片付け習慣

片付けの目標時間はアバウトな方がいい!? 心理学を応用した片付け習慣・その18

片付け習慣を身につけようとした時に、あなたならどのような目標を立てますか?

例えば、こんな目標はどうでしょう?

「1日15分、掃除しよう!」。

とても分かりやすいですよね。

でも、この目標には心理学的に見て「間違えている箇所」があるんです。

意外に見落としがちな「間違い」についてご説明いたします。

「きっちり目標」と「アバウト目標」は、どっちが良い?

ダイエットクラブで行われた実験で、非常に興味深い事例があります。

ダイエットクラブ

kou / PIXTA(ピクスタ)

被験者全員に栄養指導と運動方法を教えたあと、2つのグループに分けます。

  • Aグループ…「最初の1週間で1キロ痩せる」という目標を立てる
  • Bグループ…「最初の1週間で0.5〜1.5キロ痩せる」という目標を立てる

つまり「きっちりした目標を設定したAグループ」と、「アバウトな目標を設定したBグループ」に分けたのです。

ダイエットノート

Fuchsia / PIXTA(ピクスタ)

そして、1週間後に結果を測定します。

 

この実験は失敗…?ではありません。

結果は、なんと両グループとも差がありませんでした。

厳密にはAグループは平均1キロ、Bグループは1.2キロと若干の差はあったのですが、これは誤差の範囲です。

ダイエット記録

momo / PIXTA(ピクスタ)

「それじゃ、結局、何も分からないのでは?」と思いますよね。

ところが、この実験の目的は「各グループが1週間で何キロ痩せたか」を比べることではなかったのです。

1週間のダイエットを終えた被験者に、こう尋ねました。

「このプログラムを、あと10週間やってみますか?」

この質問こそ、実験の要だったのです。

 

続けたいか?続けたくないか?それが問題!

「1週間で1キロ痩せる」というきっちりした目標を立てたAグループで、10週間のプログラムに追加で申し込んだ人は約50%でした。

それに対して「1週間で0.5〜1.5キロ痩せる」というアバウトな目標を立てたBグループでは、同じプログラムに80%以上の人が申し込んだのです。

ダイエットクラブ申し込み

shimi / PIXTA(ピクスタ)

つまり、「アバウトな目標を立てた方が、努力を持続しやすい」ということが判明したのです。

 

「到達可能性」という心理作用とは?

なぜ、人はアバウトな目標の方が努力を維持しやすいのでしょうか?

原因としては、「アバウトな目標の方が、自分の裁量に幅を持たせられる」ということが挙げられます。

「1週間に1キロ痩せる」と決めてしまうと、結果は「達成できた」or「達成できなかった」の2つしかありません。

「0.5〜1.5キロ」としておくと、「達成できた」の中にも「なんとか達成できた(0.5キロ)」から「すごく達成できた(1.5キロ)」まで幅が生まれます。

体重計

aijiro / PIXTA(ピクスタ)

そして「どの程度の達成を目指すか」を、自分で調整することもできます。

ダイエットをしていれば、調子の良い日があれば悪い日もあります。

そんな時に「なんとしても1キロ痩せなければ!」と思うのと、「今週は0.5キロまででもしょうがないか」と思えるのでは、モチベーションに大きな差が生まれるのです。

たとえ少し調子が悪くても、「なんとか達成できた」という選択肢を残しておくことに意味があるんですね。

これを、心理学的には「到達可能性」と呼んでいます。

 

幅を持たせて正しい目標に設定し直してみましょう。

ダイエットと同じく、片付け習慣も「続けてこそ意味がある」といえます。

片付け

SoutaBank / PIXTA(ピクスタ)

そのためには調子の良い時だけでなく、調子の悪い時にも目を向けて考えてみるのが「正しい目標の立て方」なんですね。

もちろん、調子が良ければ目標の上限(ダイエットの実験でいえば「1.5キロ痩せる」)を目指すのも良いでしょう。それは調子の悪い時のための貯金だと考えておけば良いのです。

ということで、冒頭の目標を心理学的に正しく設定し直すとこうなります。

「1日5分〜15分、掃除しよう!」

掃除

xiangtao / PIXTA(ピクスタ)

これで、片付け習慣はグンと身につきやすくなりますよ。

 

【参考】

※ 『スイッチ! ──「変われない」を変える方法』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)