住宅ローン控除と住まい給付金、両方受けるにはどうすればいい?
住宅ローン控除の歴史は、1972年に導入された住宅取得控除までさかのぼります。
一方の住まい給付金は、平成26年から始まった新しい制度です。どちらも住宅購入者には嬉しい制度です。
これらの制度を最大限に活用するために、制度の内容をおさらいしましょう。
住まい給付金と住宅ローン控除の違い

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住宅ローン減税は、控除金額を所得税から差し引く制度です。
控除金額は、ローン残高をもとに計算するため、融資金額が少ない収入が低い人は、収入が多い人に対し、節税効果が少なくなります。
2019年に消費税率の引き上げが予定されています。
それにより、同じ住宅なのに、購入金額は消費税率上昇分だけ高くなり、低収入の人にとっては、金銭的負担が増えます。
負担軽減させるためにできたのが、住まい給付金です。
目的が違う2つの税制優遇制度は、条件さえ満たせば、同時に受けることができるのです。
住宅ローン控除とは?

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住宅ローン控除は、年末のローン残高の1%を所得税から控除する制度です。
10年間継続して控除を受けることができるため、節税効果も大きくなります。
所得税から控除しきれない場合は、翌年の住民税から一部控除することも可能です。
控除を受けるには…
- 取得する不動産は自己の居住用である
- ローン返済方法は10年以上である
- 連帯保証人はなくローンを借り入れた本人であること
- 住宅取得の日から6か月以内に居住し、適用を受ける各年の12月31日まで居住し続けていること
- 親族から個人的な借入れをしてない
- 床面積の合計は50平米以上240平米以下である
- 床面積の1/2以上は居住用である
- その年の所得金額が3,000万円以下
- 居住した年の前後にほかの税金の優遇措置を受けていない
- 耐用年数を超えていない。または超えた場合耐震基準を満たす
- 親族などから購入していない
- 贈与で取得していない
というすべての要件を満たす必要があります。
住まい給付金とは?
住まい給付金とは、消費税率引上げによる金銭的負担を緩和するために創設された制度です。
給付額は、収入額によって異なります。給付金額は「給付基礎額×登記上の持分割合」により算出します。
給付基礎額は、市区町村発行の個人住民税の課税証明書により決定します。
すまい給付金を受け取るためには、給付申請書を作成し、確認書類を添付して申請することが必要です。
新築住宅の場合

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- 床面積が50平米以上(床面積は登記事項証明書に記載してある平米数)
- 住宅ローンを利用している場合は、新築なら、検査を受けている住宅(住宅瑕疵担保責任保険へ加入した住宅または住宅性能表示制度を利用した住宅など)
- 住宅ローンの利用がない場合は、新築なら、施工中に検査を受けていることに加え、フラット35Sと同等の基準を満たす住宅
中古住宅の場合

TATSU / PIXTA(ピクスタ)
- 床面積が50平米以上(床面積は登記事項証明書に記載してある平米数)
- 売主が宅地建物取引業者である中古住宅。売り主が個人の場合は、消費税が課税されないので除外
- 既存住宅売買瑕疵保険への加入など、売買時に検査を受けている
- 住宅ローンの利用がない場合、年齢が50才以上の者が取得する住宅が対象。年齢は、引き渡しになった年の12月31日時点の年齢で判別する
消費税が10%になったときは、収入額の目安が650万円以下(都道府県民税の所得割額が13.30万円以下)の要件が追加される予定
制度を受けるときの注意点は?

ふじよ / PIXTA(ピクスタ)
住宅ローン控除も住まい給付金も、受けるための要件が細かく規定されているので、契約前に購入しようとする物件が適用になるかをチェックすることが大切です。
また現在のところ、平成26年4月1日以降、平成31年6月までに入居完了した住宅が対象となっています。
住まい給付金は収入が一定以下であることが要件となります。
消費税が8%のとき収入額の目安は510万円以上、10%のときは775万円以上の人は、住まい給付金の給付対象外となるので自分の課税所得を確認しておきましょう。
これらのことに注意して、上手に物件選びを行い、両方の制度を利用しましょう。
【参考】