メキシコでは政府が「住宅購入」の援助をしてくれるってホント?
憧れのマイホーム。
読者の皆さんはいずれはマイホームを、と計画している方も多いのではないしょうか。
著者の住むメキシコでは、一生懸命働いていても家を購入する資金を貯める余裕がない人がほとんどです。
しかし、政府のある支援が、メキシコ人のマイホーム購入を可能にしています。
今回は、メキシコの政府機関が支援する驚きの住宅ローンについてご紹介します。
INFONAVITと呼ばれる「連邦労働者住宅公社」の住宅ローンとは?
メキシコ人はINFONAVIT(インフォナヴィ)と呼ばれる「連邦労働者住宅公社」からの住宅ローンを利用して、住宅を購入するのが、とても一般的です。
こちらの住宅ローンが利用できる人の条件は、以下になります。
- 常勤の仕事について社会保障登録があること
- 仕事について1年以上の先任権があること
- 家族収入が月額最低賃金の2倍を超えていること
- 17歳以上50歳未満であること
これらの条件をクリアしていれば、INFONAVITの住宅ローンを利用して住宅を購入することができます。
そして、多くのメキシコ人が銀行でなく、INFONAVITで住宅ローンを組むのには大きな理由があります。
保有ポイント分の金額をINFONAVITが負担してくれる!
メキシコでは、このように町の至ることろで住宅販売情報を見ることができます。
一般的に、常勤の仕事をしているメキシコ人は、雇用先が社会保障登録をしているため、自動的にINFONAVITを利用できます。
毎月のポイント数はお給料の額によって差はあるものの、INFONAVITは登録者に毎月ポイントを与えます。
このポイントを利用して住宅ローンをくむことができます。
貯まったポイント分は金額に換算され、その分をINFONAVITが負担してくれます。
つまり、INFONAVITで住宅ローンを組むと、住宅の金額の全額を払わずに購入できるのです。
例を挙げると、友人Cは、2DKの400,000ペソの家を購入しました。
数年勤めたお仕事でポイントが200,000ペソ分貯まっていたので、ポイントをINFONAVITが払い、残りの半分200,000ペソ分をローンで返済しています。
彼女の場合は、住宅価格の半額をローンにて返済していますが、保有ポイントが多く、住宅価格が安ければ、価格のほとんどをINFONAVITが負担してくれる、ということもあるわけです。
このシステムは、幅広い層のメキシコ人に住宅購入のチャンスを与えています。
INFONAVITは土地を購入する時にも利用できる
さて、こちらのINFONAVIT、実は土地購入にも利用できます。
住宅の場合は家・アパート・マンションなどあらゆるタイプの住宅に利用できます。
一般的には、ハウジングプロジェクトで建てられた、同じ家が複数並ぶ集団住宅を購入する人が非常に多いのは事実です。
下の写真のアパートもハウジングプロジェクトで建てられています。
集合住宅も様々なタイプがあり、日本でいう1K~4DKの一軒家まで、予算の家族構成や生活スタイルに合わせて購入できるのは、とても便利です。
集合住宅は、300,000ペソ(日本円で約170万円)で購入できる1Kのアパートから1,000,000ペソ(日本円で約580万円)以上する3DKの庭付き一軒家まで値段に幅があります。
どれも、日本に比べると驚くほど安いです。
こちらは2DK庭付き一戸建ての集合住宅。同じ家がずらりと並びます。
メキシコ流の住宅ローン問題の解消法
簡単に住宅ローンが組めるので、住宅を購入するのはいいのですが、計画的に返済できない人が多くいるのも事実です。
返済を何年も怠ると、最終的には住宅を失うことになりますが、それを避けるために返済途中の住宅を、他人にローンごと引き渡す制度があります。
この場合、住宅の名義が購入者にうつり、家主は残りの住宅ローンを返済することになります。
また、購入者は、家主(家を引き渡す人)に彼が今まで払った分のローン分、もしくはそれに近い金額を払うことでこの制度は成立しています。
引き渡す側も、家は失うものの今まで払ってきたローン分に近い金額は入ってくるので、悪くはありません。
著者の近所にもINFONAVITが差し押さえた家や、家主が引き渡し相手を探している家が数件あります。
以前借りていた家の家主は、購入後一度もローンの返済をしておらず、INFONAVITから最終警告の通知が来ていました。
結局、せっかく住宅を購入しても家を失う人の率も高いのは、残念だなと思います。
それでも、多くのメキシコ人のマイホーム購入の夢を叶えてくれるシステム、ともありがたいです。
著者宅も来年あたりには利用しようと思っています。