人口が減っているのになぜ住宅がつくり続けられるのか?

人口減少が社会問題となっている日本で、「なぜこんなにたくさんの住宅をつくり続けているの?」って思ったことはありませんか?

今回は、人口が減っていく日本で「住宅がつくり続けられる理由」について解説したいと思います。

日本の住宅って、どの位つくられているの?

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総務省統計局によると日本の人口は2005年の1億2,808万人をピークに減り始めているにもかかわらず、今なお一戸建てやマンションの新築住宅の戸数はあまり減っているようにみえません。

実際に、2017年の新設住宅着工戸数は964,641戸で、前年比では0.3%減となったものの、着工戸数が減少に転じたのは3年ぶりです。

では、なぜ人口が減少に転じているのに、新築住宅着工戸数は減っていかないのでしょうか?

 

新築住宅着工が減らない理由とは?

1. 都市の人口が増えているから

通勤ラッシュ 駅

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日本全体では人口減少が始まっていますが、実は首都圏を筆頭とした大都市圏では人口が減っていません。

それどころか、ほとんどの大都市では人口が増加しているのです。

まず、東京都の人口を見てみましょう。

東京都総務局統計部のデータによると、東京都では1980年代後半から1990年代後半まで若干の人口減少が見られたものの、その後は22年間にわたり人口の増加が続いています。

過去10年間の人口推移をみると、2008年の人口が約1,285万人で2018年の人口が約1,375万人なので、多少のばらつきはあるものの東京都の人口は1年間で約9万人づつ増えている計算になります。

この増加人口のほとんどが人口移動(他の国、道府県からの移住)によるものなので、移動してきた人口分の住宅が必要になります。

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東京都都市整備局によれば、東京都では2017年度の新築住宅着工件数は約14万戸なので、日本の新設住宅着工戸数の約15%を占めます。

この新設住宅着工戸数の中には、古い住宅を壊して建て替えるものも含まれますので、実際に増加する住宅数はこの数字よりも少なくなります。

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もちろん、移動してきた人たちすべてが新築した住宅に住むわけではなく、既存の住宅に住む場合も多いでしょう。

しかし、既存住宅は年月とともに老朽化し、「住居として使用出来なくなっていくもの」が増えていきますので、そのエリアに以前から居住している人たちが住み替えるための住宅も常に確保されなければならないのです。

 

2.住宅供給を抑制する法律がないから

現在、日本では住宅供給を直接的に抑制する法律はありません。

欧米では「都市計画」で住宅供給数を行政がコントロールしている国や州、市などがありますが、住宅供給を規制していない日本では、住宅を「つくりたければつくれる」ので、民間が住宅供給を主導している以上、住宅を「つくれる場所があればつくる」という状況です。

新築戸建て住宅と住宅街

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この、「住宅供給のコントロール」をできないことが、日本の中古住宅市場が活性化しない理由だともいわれています。

ただ、住宅の「総量規制」ともいうべき住宅供給の規制には賛否両論があります。

 

それでも人口は減り続ける

日本の大都市では東京以外でも人口が増え続けていますが、東京都と同様に人口が増えている大都市も、その人口増加は移動(移住)によるものなので、出生率が低く自然増加(出生と死亡の差)が見込めない日本では将来、大都市でも「必ず」人口は減り始めます。

つまり、このまま住宅をつくり続けると、将来的に必ず住宅の供給過剰状態に陥ることは間違いありません。

住宅が供給過剰になれば、地価の下落、空き家の激増による外部不経済(空き家が管理不全になることで近隣に迷惑をかけること)等、さまざまな問題を引き起こしてしまいます。

chachacha / PIXTA

今後、住宅供給をコントロールできるかは分かりませんし、そして、その是非も分かりません。

ただ、人口減少時代を迎えた日本にとっては少なくとも「つくっては壊し、またつくる社会」から、「いいものをつくり、きちんと手入れをして長く使う社会」への転換は避けられないのかもしれません。

 

【参考】

※ 総務省統計局HP「人口推計」

※ 東京都総務局HP「東京都の人口」