車椅子での外出がラクになる「玄関まわり」の改善法とは?

高齢者にとっての外出は、デイサービスや病院、近隣との交流など、意外に多くあります。

新築やリフォームでは、玄関から道路までの外出ルートをいかにスムーズにし、気軽に出かけられるようにするかが重要です。

ここでは、要介護者が車いすでも気楽に外出しやすい「玄関まわり」のルートづくりについて紹介します。

手すりにつかまり玄関の段差に腰かける

認知症高齢者の場合、いずれ車椅子が必要となるのは致し方のないことでしょう。

車椅子

ふじよ / PIXTA(ピクスタ)

なかには最期まで自分で歩いて外に出ることができる人もいますが、あくまで少数派だといえます。

外出ルートでポイントになるのは、段差をどう解決するかということです。

まずは玄関までの通路には手すりを設置し、歩行を助けます。

手すり

Mills / PIXTA(ピクスタ)

歩ける状態であれば手すりにつかまって、ゆっくりと玄関まで進み、段差(框)に腰掛けて靴を履くことができます。

近くにベンチがあると、そこに座って靴を履いたり、一息ついたりできる場となります。

段差近くの手すりは、横ではなく縦に設置します。

手すり

Graphs / PIXTA(ピクスタ)

床と室内との上り下りや、座ったり立ったりするなど、人の動きが上下になるからです。

 

段差が高い時は「携帯スロープ」を利用して車椅子を移動

問題は室内から車椅子を使用している場合です。

室内と床との段差が高いときは携帯スロープを利用すると良いでしょう。

携帯スロープ

チンク / PIXTA(ピクスタ)

18cm程度の段差であれば、120cmほどの携帯スロープで昇降できます。

ただし、玄関の広さは120cmにプラスして介助者と車椅子が動ける広さ(約1~1.5m)が必要となります。

スロープで車椅子を使うときに注意したいのは、上りは前向き・下りは後ろ向きで通行するということ。

逆にしてしまうと、座っている人が前に落ちる可能性があります。

 

玄関から道路へはスロープやワイドステップで

玄関ドアの前のスペース(玄関ポーチ)は、ドアの開くスペースのほかに車椅子がとめられるスペースも確保しましょう。

玄関スロープ

東北の山親父 / PIXTA(ピクスタ)

ポーチから道路までスロープを設ける場合、車椅子が無理なく通れる角度と長さを考慮しなければなりません。

玄関ポーチと道路との高低差は30cm以上という住宅が多く見られます。

勾配1/12(120cm行って10cm上がる)とすれば、30cm上るためには360cmのスロープが必要になります。

玄関から道路まで360cmのスロープを確保するのが難しい場合、スロープを住宅の壁面に沿うようにつくったり、「ワイドステップ」にしたりすると解決できることがあります。

ワイドステップとは、10cm以下の段差を2、3個つけることで、一つひとつのステップ(階段でいうと足で踏む部分)が短くできる、省スペース型のスロープのことです。

30cmの段差の場合でも、2つ段差をつけると1ステップは90cmほどの長さで済み、全長180cmのスロープにすることが可能です。

 

「段差解消機」や「階段昇降機」などの設備も活用できる

より手っ取り早く段差を解消するのが「段差解消機」という設備です。

段差解消機

ABC / PIXTA(ピクスタ)

仮に玄関ポーチが100cmの高さであっても、エレベーターのように車椅子に乗ったまま昇降できるので、スロープをつくる必要はなくなります。

また、屋外や室内で階段の上り下りのある住宅の場合、「階段昇降機」という製品もありますので、検討してみてはいかがでしょうか。

階段昇降機

taka / PIXTA(ピクスタ)

これは階段に昇降機が走行するためのガイドレールを設置し、そのガイドレールに沿って椅子が動くという仕組みです。

屋外用と室内用があり、費用は平均で50万~60万円。やや高額ですが、補助金が利用できるケースもありますので、考えてみてもいいかもしれません。

介護の必要な高齢者が外出する場合、介護者はその対応で体力的にも精神的にも大きな負荷がかかります。

障害物のない平坦な通路ならまだしも、階段があり、モノが置かれ、風雨にさらされたりする玄関まわりでは、高齢者とともに介助者の負担も軽減するルートづくりが大切であることを理解しておきましょう。