空き家には、必要なものと不要なものがあるって本当?

日本では年々、地方・都市圏ともに空き家が増加しています。

今回は、地方と都市圏で増えている空き家の「種類の違い」と、「ある程度の空き家は必要」である理由を解説します。

空き家には種類がある

空き家

decoplus / PIXTA(ピクスタ)

空き家には下記の様にいくつかの種類があります。

  1. 別荘やセカンドハウスなどの「二次的住宅
  2. 新築・中古を問わず、賃貸または売却するために空き家になっている「賃貸用又は売却用の住宅
  3. 上記以外で、転勤・入院その他の理由によって長期にわたり人が住んでいない住宅や、取り壊し予定があるなどの「その他の住宅

空き家の種類で、もっとも問題を引き起こすといわれているのが「その他の住宅」です。

 

地方で増えている空き家

空き家

ABC / PIXTA(ピクスタ)

地方で増えている空き家の種類は、「その他の住宅」です。

総務省の「平成25年度住宅・土地統計調査」によると、3大都市圏以外では空き家総数のうち、「その他の住宅」が46%を占めています。

このタイプの空き家は管理不全のものが多く、倒壊や崩壊、火災発生のおそれなど「防災性の低下」や、犯罪の誘発(治安の悪化)など「防犯性の低下」、ごみの不法投棄や悪臭など「衛生の悪化」等、さまざまな問題を引き起こします。

toreppy / PIXTA(ピクスタ)

人口や世帯数の減少が加速していくと、このタイプの空き家がさらに増加していくと考えられます。

 

都市圏で増えている空き家

nonchanon / PIXTA(ピクスタ)

都市圏で増えている空き家の種類は「賃貸・売却予定の住宅」です。

東京都の空き家数をみると、約82万戸(平成25年度住宅・土地統計調査)となっており、5年ごとの調査では東京都の空き家も年々増加傾向にあります。

空き家の内訳をみると、「その他の住宅」は減少傾向(5年前比約4万戸減)にあり、「賃貸用の住宅」が増加傾向(5年前比約10万戸増)となっています。

しかし、空き家が増えても東京都では人口や世帯数が増加しているために、総住宅数に対する「空き家率」は1998年から2013年の15年間、約11%で横ばいとなっています。

スイマー / PIXTA(ピクスタ)

 

都市圏の空き家は統計よりも「少ない」かも!?

空き家数の根拠となっている総務省の「住宅・土地統計調査」の調査方法について。

空き家の定義(新築賃貸住宅や新築分譲マンションなども空き家として扱っている)が広かったり、居住世帯のない住宅についてはオートロック付の高層マンションなど訪問調査が難しい場合、調査員が外観等から判断するなどの手法をとったりしているため、都市部においては、その調査結果に大きな誤差があるのではないかという意見もあります。

タワーマンション

まちゃー/ PIXTA(ピクスタ)

例えば、平成25年度住宅・土地統計調査によると、東京23区のなかで空き家率が最も高い「豊島区」の空き家率は約16%という高水準です。

つまり、豊島区ではおよそ、住宅6戸のうち1戸が空き家だということになります。

しかし、豊島区が独自に行った空き家調査(調査期間平成28年9月20日~平成29年3月31日)では、戸建住宅の空き家率は2.1%、分譲マンションの空き家率は2.2%、民間賃貸住宅(非木造含)の空き家率は4.3%という低水準になっています。

もちろん、調査方法の違いや、空き家の定義によって調査結果に違いが出るのは当然ですが、空き家率にこれほど差が出ることを考慮すると、人口増加が続いている都市圏の空き家は想定しているよりも「少ない」可能性も否定できません。

 

人口が移動するために一定程度の「空き家は必要」

ABC / PIXTA(ピクスタ)

ネガティブなイメージが先行する空き家ですが、実は一定程度の空き家(その他の住宅以外)は必要です(※現在の空き家率が適正という意味ではありません)。

国内外問わず、人口移動(ある場所から他の場所への移住)は常に起こっていますが、その際、ある程度の空き家がなければ、移動してきた人たちは住む家が見つからなくなってしまいます

これは、その地域内の移住についても同様で、「家族構成の変化」や居住していた建物の「老朽化」などにより同エリア内で住み替える必要が発生した場合も、ある程度の空き家がなければ住み替え先を選ぶことが出来ません。

地域内・外で住み替えが円滑に行われるためにも、一定程度の空き家は常に必要なのです。

 

しかし都市圏の人口減少が始まると…

マンション

PIXTOKYO / PIXTA(ピクスタ)

先述のように、「人の円滑な移住を確保する」ためには一定程度の空き家は必要です。

しかし今後、都市圏でも人口減少が始まれば、これまで横ばいだった都市圏の空き家率が高くなり、以前は「賃貸用又は売却用の住宅」としてカウントされていた空き家も、いつかは管理の不全な「その他の住宅」に陥ってしまう可能性もあります。

ABC / PIXTA(ピクスタ)

空き家の種類を知ると、空き家には必要なものと不要なものがあることがわかります。

ただし、地方・都市圏にかかわらず人口の減少が続くことは、「不要な空き家」である管理不全な「その他の住宅」を増やし続けてしまうことでもあるのです。

【参考】

※ 総務省統計局 平成25年度 住宅・土地統計調査

※ 東京都都市整備局 空き家の現状と取組

※ 豊島区 空き家等発生メカニズム分析調査業務