高齢者の生活動線のあり方~リハビリや脳の活性化にも効果的!
人が移動する経路のことを動線といいますが、住まいの中で無駄のない動線計画によって家事や作業等がしやすくなることはよくあります。
ここでは、家の中の高齢者にとっての生活導線や介護の場合の導線など、気にしたいポイントを紹介します。
高齢者にとって、家の中の生活導線を短くしたからと言っていいとは限りません。
実際に、高齢者の歩く機会が減り、筋力が落ちた、などという声も聞かれるからです。
家の中には家事動線や介護の動線が混在している

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動線といえば家事動線を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
洗濯室から干し場までの距離をできるだけ短くしたり、リビングを通らないで玄関からキッチンや浴室に行けるようにするなど、いろいろな生活動線があります。
では介護についてはどうかというと、トイレや浴室、さらには外出までの経路をできるだけ短く移動しやすい動線にすることはよくあります。

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家の中で日常的に歩くことも考えて
しかし、歩く距離を短くすることが良いかというと、必ずしもそうとは言い切れません。
高齢になると筋力も弱まって転倒しやすくなり、あまり外出もしなくなりがちです。
家の中では何時間も座ったままということもよくあります。
住まいの中で体を動かすことが減少すれば筋力や体力はますます落ちていくでしょう。
こうしたことから、できるだけ日常的に家の中で歩くことをオススメします。

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廊下や段差を利用してリハビリや脳の活性化に
そのためには、家の中の動線をあまり短くしないほうが良いように思われます。
まだまだ自立歩行できる人は、自然に体を動かすことができるよう、長めの廊下や段差があってもいいように思います。

Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)
適度な運動の積み重ねは、筋力をはじめ脳の活性化にも役立ちます。
リハビリが必要な人は家の廊下を歩いたり、段差や階段を上り下りしたりすることで、毎日少しずつ機能回復することができます。
つまり家に住んでいるだけで自然に歩くことになり、結果として最期まで自分で歩いてトイレにも行けるようになる、という効果が期待できます。
たくさん歩ける動線計画も考えてみる
必要以上に便利にして歩く距離を短くしたり、バリアフリーにしたりすると、身体能力の低下を進めてしまうことになりかねません。
必要なところと、それほど必要でないところを見分け、歩くための動線計画という発想を持つことも大切でしょう。

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新築やリフォームの際は、高齢者が最期まで自分の足で歩き続けられるよう空間や動線の工夫をしてみましょう。
意外に大きい歩く効果について
適度なウォーキングや有酸素運動は認知症やいろいろな病に効果があることがわかっています。

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歩数と病気予防の関係を調べている東京都健康長寿医療センター研究所によると、認知症予防に効果があるのは一日5,000歩とのこと。
ちなみに、骨粗しょう症やがんには7,000歩という数字も挙げています。
もちろん家の中でこれだけ歩くことは難しいでしょう。
散歩や買い物、通院なども合わせて、こうした数字を一つの目標にしてみても良いのではないでしょか。
【参考】