条件付きの土地「地域地区」って知ってる?家づくりの時には要注意!
住みやすいまちづくりのために定められた「都市計画法」は、家を建てる際の土地選びで確認が必要な法律です。
様々な決まりがありますが、その中でも「地域地区」と呼ばれる決まりでは、容積率や高さ、構法、時にはデザインについて条件付きの場合があります。
今回は、伝統ある街並保存のための「歴史的風土特別保存地区」、全体として調和のとれた街並にするための「景観地区」、そして自然の趣きを残していくための「風致地区」、これら3つの地域地区について取り上げ、解説します。
「歴史的風土特別保存地区」奈良、京都、鎌倉などが該当地
「歴史的風土特別保存地区」とは、古都の風土を保存するために指定される区域です。
この地区では、建築物の建築や宅地造成、木竹の伐採などを行うには知事などの「許可」が必要になります。
また、建築物の色彩の変更でも許可が必須であり、景観や伝統建築物が厳しく保護されているエリアです。
奈良県や京都府、神奈川県鎌倉市に多く見られます。

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「景観地区」北鎌倉、尾道、芦屋などが該当地
「景観地区」とは市街地の良好な景観の維持のため、場合によって建築物の外観や色彩、デザインに規制がある地区です。
都市部だけでなく農村部も対象にしていて、地域の個性あるまちなみを保存し促進していくための決まりです。
厳しいところでは、植える樹木の指定があることもあります。
神奈川県北鎌倉エリアや広島県尾道市、兵庫県芦屋市などが指定されています。

下河内 覚 / PIXTA(ピクスタ)
「風致地区」世田谷区、杉並区、練馬区などが該当地
「風致地区」とは自然の風景が持つ趣きや美しさを維持・保全するために、建築物の高さや建ぺい率が厳しく規制されている地区です。
公園や庭園、寺社などの緑豊かな環境に近いエリアで環境保護のため指定されていることが多いです。
樹木の伐採なども制限され、ゆとりのある環境を目的としています。
東京都を例に挙げると、世田谷区、杉並区、練馬区に多くみられます。

freedom / PIXTA(ピクスタ)
どうすれば調べられるの?
試しに、現在お住まいの場所がどのような都市計画法の制限を受けているのか、調べてみましょう。
検索エンジンに、市区町村名と「都市計画」と打ち込むと、市区町村公式サイトの都市計画情報ページが開くので、そこから正確な住所を打ち込むことで、地図上で確認することができます。

Graphs / PIXTA(ピクスタ)
他にも、用途地域や様々な区分所属があることがわかります。
また、新居を検討している土地がある場合は、一度その土地を同様の方法で確認してみましょう。
もちろん、ハウスメーカーや建築士が把握している内容ですが、希望しているイメージの家が建つエリアなのか、法律を手がかりに自分たちで探ることができます。
家づくりは「街並づくり」への参加の第一歩!
家を建てる際に街を散策して目で見て下調べされる方は多いと思いますが、法律の面から探ったことのある方は少ないかもしれません。
一軒の家を建てることも、その街に街並の一部として参加することといえます。

舞流sky / PIXTA(ピクスタ)
趣きのある街、自然豊かな街、景色がきれいな街……住みたい街がどんな法律のサポートを受けながら作られているのかをぜひ知って、生活のイメージを膨らませてみてはいかがでしょうか。