暮らしのコツ

堀本 一徳堀本 一徳

児童相談所ってどんなところ?元職員がその実態をお話しします

2017年11月、港区は南青山の一等地を「(仮称)子ども家庭総合支援センター」建設のために購入しました。

いわゆる児童相談所、母子生活支援施設などを含めた総合支援施設です。

住民説明会で一部の住民から猛反発があったことはニュース等の報道でご存じの方も多いと思います。

児童相談所ってどんなところ?

南青山

naonao / PIXTA(ピクスタ)

住民の方たちの主張は、おもに以下のような内容です。

  • 「青山じゃなくてもいいんじゃないですか?」
  • 「表参道の一等地に建てる必要はあるんですか?」
  • 「港区としての価値が下がるんじゃないですか?」

「児童相談所ってどんなところ?」という住民の疑問や不安が現れたのでしょう。

そこで、今回は元職員として、児童相談所の活動や子どもたちの生活環境などを紹介し、皆さんの疑問や不安を少しでも解消できればと思います。

 

子どもの「命」を守っているところ

虐待

タカス / PIXTA(ピクスタ)

皆さんは児童相談所にどのようなイメージを持っていますか?

「犯罪を犯した子どもを収容してるところでしょ?」

という方も多いでしょう。正直、私の周りにいるママさん・パパさんも同じです。

確かに、喧嘩や万引きなど軽犯罪によって保護される子どもも一定数います。

しかし、大半の子どもたちはまったく異なる理由で保護されているのです。

  • 保護者に育児放棄されている
  • 保護者から虐待を受けている
  • 保護者が病気等で育児できない

など、このままでは「命」に関わると判断された子どもたちです。

私が働いていた施設でも、大半の子どもは育児放棄や保護者からの虐待が理由で保護されていました。

軽犯罪によって保護された子どももいましたが、全体の1~2割程度です。

児童相談所は「子どもの命を守っている施設」と聞くと、ちょっと見る目も変わるのではないでしょうか。

 

子どもたちの1日の生活スケジュール

子ども

Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)

児童相談所は子どもたちを保護して終わり、ではありません。

子どもたちが規則正しい生活を送れるよう、サポートすることも役割の1つです。

  • 7:00~ 起床
  • 7:30~ 朝食
  • 8:30~ 掃除
  • 9:30~ 学習
  • 12:00~ 昼食
  • 12:30~ 自由
  • 15:00~ おやつ
  • 16:00~ 入浴
  • 18:00~ 夕食
  • 18:30~ 自由
  • 21:00~ 就寝

ざっくりとしていますが、私が働いていたころの1日のスケジュールになります。

小学生以上になると洗濯や掃除は自分でしますし、短時間ですが学習時間も設けられています。

決してダラダラと過ごしているわけではないのです。

ルールを守らないで遊んでばかりの子もいましたが……。

もちろん、職員は保護者代わりとして、ルールを守らない子には厳しく対応します。

また、悩みを抱えている子には、深夜過ぎまで相談に乗ることもあります。

いろんな境遇の子どもたちが集まっている「大家族」という感じですね。

 

子どもの脱走はまず起こらない設計

港区役所

Caito / PIXTA(ピクスタ)

港区の住民説明会でも指摘がありましたが、子どもの脱走を不安に思っている方も多いと思います。

「やんちゃな子どもが増える=治安悪化」と思うのはごもっともでしょう。

ただ、児童相談所の内部を知る者の考えとして、まず脱走は起こらないと私は思います。

というのも、児童相談所は外部の危険(主に虐待をしてきた保護者)から子どもたちを守るよう設計されています。

  • 出入り口は鍵のかかった鉄製の扉
  • 一定幅以上開かない窓
  • 飛び越せないほど高さのある塀

というように、児童相談所は外部からしっかりと隔離された空間です。

また、子どもたちの側には、つねに複数人の職員がついています。私のいた施設では、日中で10人以上、夜中でも3人以上の職員がいました。

某スパイ映画並みに計画を立てない限りは、勝手な出入りはまずできないので安心です。

 

子どもたちの未来のためにも温かく見守ってほしい

子どもたち

Greyscale / PIXTA(ピクスタ)

正直、私は土地売買の専門家ではないので、児童相談所があることでその土地の地価にどう影響するかは分かりません。

しかし、児童相談所によって、助けを求める子どもたちが救われていることは断言できます。

皆さんのすぐ隣にも、保護者から日々暴力を受けている子どもがいるかもしれないのです。

もし、皆さんの地域に児童相談所ができるとしたら、子どもたちの未来のためにも温かく見守ってほしいと私は思います。