パティオ(中庭)がスペインの家に必ずある理由とメリットとは?
スペインの南部、アンダルシアにはパティオ(中庭)のある家が一般的です。
パティオという中庭は、スペイン建築でよく見られます。
なぜ、パティオ(中庭)のある家が多いのかを考えてみました。
アンダルシアの古い町並みは、細い道が特徴
アンダルシアの夏は暑いことで有名です。
午後3時くらいが最高気温で、45度になるなんてしょっちゅう。
2018年の夏、メスキータがあるコルドバは52度を記録しました。
そのように暑いアンダルシアでどうやって生活しているの?と思う人も多いのではないでしょうか。
実は意外に家の中は涼しいのです。
その秘密は、細い道。
細い道だから、家と家があまり離れていません。そのためお互いに影を作り合うのです。
おまけに古い家は、分厚い壁で覆われています。
壁の厚さがなんと60cmもあるため、外の温度に左右されません。
外壁が白いのは、細い道で影を作りあっても光を反射して、暗くならないようにしているのです。
家と家が近くにあっても中庭を作れば影ができる!
いくら道を細くしても家が庭で囲まれていては当然、家と家の間隔が広くなってお互いに影を作れません。
家と家をくっつけて建造し、真ん中に庭を作ること、これがパティオ(中庭)の始まりなのでしょう。
数件がパティオを共有しているところもあります。
古い学校や病院、市場にもパティオがあり、くつろぎ空間を作っています。
パティオを飾るのがアンダルシアの楽しさ
パティオは建物に囲まれているため、車道とは切断されています。
それは、干して貯蔵する食材を作るためにも有利です。
昔は特に舗装されていない道を馬車が走ると埃が舞い上がったことでしょう。
そのため、アンダルシアでは赤ピーマンなど野菜類を干して貯蔵する習慣が多いのです。
例えば、私の住んでいるハエン県では赤ピーマンだけではなく、豚肉のロース肉にお塩をしっかりまぶして干します。
これはもちろん冬だけです。
アンダルシアというと年中温暖だと思う人も多いのですが、冬は0度を切るほど寒くなります。

壁の鉢植えに水やりをする方法(コルドバの街にある彫刻)
パティオの長所は、ほかにもあります。
外側に庭ですと外からの視線が気になりますが、パティオならパジャマのまま水やりをしていても問題ありません。
外にテーブルを置いて食事をしても外から見えるわけではないというのもメリットです。
そして暑い時期になるとギラギラ太陽で枯れてしまう花たちが元気に花を咲かせ、冬の間太陽不足で花を咲かせない植物も白い壁の反射で太陽の光がたくさんあり1月でもゼラニウムの花が咲いています。
その土地にある家の形にはやはり理由があるのですね。
伝統的なことには意味があるようです。
確か京都にも中庭文化がありました。京都には京都の理由があるのでしょう。
長所がたくさんあるパティオ。
新しく家を考えるときに取り入れてみてはいかがでしょう。
きっと素敵な空間が作れますよ。